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WBS 2019/11/12(火)

台風19号上陸から1か月
廃業も。苦悩続く被災地企業

1ヶ月前に台風19号の影響で栃木県佐野市。
1ヶ月経った今も道路の脇にはまだ高く土嚢が積み上げられていて瓦礫もたくさん残っている状態です。
伝統的な地場産業の一つでもある繊維に関わる企業も深刻な被害を受けました
国や県は中小企業がまとまって事業計画を作ることで、最大3/4を支援するグループ補助金制度などで支援を進める考えです。
しかし後継者不足などもあり廃業の引き金となるケースも。

SNSで広がる被災地リンゴ支援

一方で新しい形での被災地支援も始まっています。
立川市にあるカフェ。
看板メニューはりんごを使った洋菓子タルトタタンです。
実はここで使っているのは被災地長野県のリンゴ。
長野県は千曲川の堤防が決壊し、新幹線基地が浸水するなど甚大な被害を受けた。
すぐ隣にあるりんご農園も農園全体が水に浸かる被害を受けました。

農水省は台風19号などの農林水産関係の被害額は2544億円に上ったと発表しています。
1ヶ月経ちりんご農園を尋ねると生産している50tのうち、ほとんどは泥をかぶり、出荷できるのがたったの3t程度だといいます。

実は今こうした農園を救うための支援の輪がSNS上で広がっている。
きっかけはツイッターのあるつぶやきです。
被害に遭われた農園のりんごを買ってタルトタタンを作ってくれたらちょっと嬉しいです。
ツイートしたのはフランスのニース在住の日本人です神谷さん。
長野県のりんご農園の被害を知り、被災地のりんごを買ってお菓子を作ろうと呼びかけたのです。
それに賛同した多くのシェフたちが秘伝のレシピを続々と公開しはじめました。
先ほどの立川のカフェもそのひとつです。

こうした活動のおかげで出荷した1.5tのリンゴが全て直販サイト上で完売。
残りの分も予約が埋まっているといいます。

検証ダムの効果はあった?
台風19号その時

紅葉シーズン本番を迎えた群馬県長野原町。
今週日曜日多くの観光客が訪れていた。彼らのもう一つのお目当てが八ッ場ダム

実は八ッ場ダム、来年の運用開始を前に今回の台風19号の大雨を貯めて、下流の被害を防いだと注目されている。

こちらは今年7月に水が溜まる前の様子。

八ッ場ダムは広大な利根川水系の上流にあり、下流には日本の総人口の1/10が暮らす。

自民党の二階幹事長が現地を視察し賞賛した。
八ッ場ダムは今回最高水位に近づき満水に達した。

実は八ッ場ダム、台風19号の接近前10月1日から試験的な貯水を始めていた。
そのため放流することなく、多くの水をためこむことができた。

河川工学の専門家である宮村氏は今後の検証が必要だと指摘する。

河川工学が専門 関東学院大学 宮村 忠名誉教授
「ちょうど空だったダムが予想を超えて役に立っただけ。ほかのダムや遊水地もあるので、結果的に合流した河川の水位が下がった」

一方台風19号の想定外の雨量で、緊急放流に踏み切ったのが神奈川県相模川上流にある城山ダム。
去年の西日本豪雨の被害が記憶に新しい中、城山ダムは下流に120万人以上を抱えていた。
そして10月12日午後9時30分。
緊急放流を決断した担当者が、その時の心境を明かした。

「何かあると重いことなので、何もないことを祈るしかなかった。過去無いくらい最大級の台風でかなり雨の雨量もあったので、やりたくはなかったが、仕方なく行った。」

緊急放流とは、ダムに入ってくる水と同じ量を放流するもの。
ダムが洪水調節機能を失う異例の事態。

ダムの機能は大きく治水と利水に分かれる。
利水部分は下流の自治体などがダムの管理費を負担しているため、事前の洪水調節に限界があった。

政府はこれまでの利水部分だった一部を買い取り、治水・洪水対策として活用しようと動き出している。

しかし国や自治体のものではない南アルプスの山にある雨畑ダム

実は貯水量の93%が土砂によって埋まってしまっているという。
雨畑ダムは1967年に作られた民間の企業が所有する発電用のダム。

ダムが川の水をせき止めると、土砂も年々溜まっていく。堆砂という。
これが年月とともに進み、上流が氾濫しやすくなってしまうのだ。

先月の台風11号では実際に雨畑ダムの上流が氾濫。
道路が崩壊し一部集落に孤立する事態となった。
国はダムを管理する日本軽金属会8月、行政指導を行ったばかりだった。

大小合わせて3000以上存在する日本のダム。
その検証が今改めて必要となっている。

老朽化したダム・橋・堤防
気候変動に対する術は?

入山さん

土木インフラっていうのは今老朽化が急速に進んでるんですよね。
例えばダムはですね、今2018年ぐらいだと築50年ぐらいのダムっていうのがだいたい全体の3割ぐらいなんです。
2033年には6割超になるって言われている。
同じように道路や堤防なども大体6割を超えてくるという風に言われてまして、そもそもこの老朽化対策というのが重要だったんですね。
進めてたんですが、それを上回るスピードで気候変動の影響で、台風のような大きな天災が急速にやってくるようになってきています。
ですのでまずはよりは未来の予測が重要かなと思ってます。
今回の台風のように今までは比較的老朽化って見えてたわけですね。
これからおそらく全く想定しないような大型の台風ですとか、そういったものがやってくる可能性がありますんで、徹底したシミュレーションをやって、たまたまではなくてきちんとそこに対応していくということが重要。

そうすると、ルールやしがらみの変更というのが出てきますから、ルールの変更ですとかそれにまつわるしがらみに徹底的には対応していく必要がある。
抜本的な対策は必要なとこですね。

高級ちゃんぽんに格安ランチ
二刀流で挑むリンガーハット

長崎ちゃんぽんの専門店を運営するリンガーハットが発表したちゃんぽん。
長崎の名産品である焼きあごやしいたけを甘みが出るまで6時間以上煮込んだというスープに加え、長崎名物の竜眼というゆで卵をいわしのすり身で包んだかまぼこを入れるなど、素材にこだわりました。
価格はなんと1650円。
実はこのちゃんぽんリンガーハットが運営する高級長崎料理店、長崎しっぽく浜勝 銀座本店のみの販売
1日30食限定のランチメニューです。

この店は元々九州で展開していましたが昨年11月東京に進出しました。
高級戦略を打ち出す一方、長崎ちゃんぽんのリンガーハットは庶民の味方。
ただ10月の既存店の売上高は1年前に比べ5%ほどのマイナスとなっています。

8月に価格を抑えたランチメニューを始めましたが、まだ客に浸透していないと見ていて、引き続き価格を抑えたメニューでてこ入れをする方針です。

想定外の苦戦のステーキ店
起死回生の大胆キャンペーン

苦戦を強いられ思い切って声を打ち出すところも。
東海地方中心に展開するステーキチェーン店ブロンコビリー。
消費税増税の他、台風の影響もあり10月の売り上げは前の年に比べ10%以上も落ち込んだと言います。

打ち出したのは今週金曜日まで全てのメニューの20%オフ
キャンペーン初日は売り上げが先週の2倍になる店もあったといいます。
来週から使えるディナーの時間帯全品10%オフのクーポンも配布し、客足を維持したい考えです。

外食勝ち組牛丼チェーン
松屋の世界初自販機戦略

一方攻めの姿勢の企業も。
牛丼チェーン松屋が設置した自動販売機。
ゲームGREEのオフィスに設置されました。

世界初だという自販機の中には牛めしだけでなく、変わり種のチキンクリームカレーなど5種類のメニューが入っています。
フリーズドライの味噌汁もついたプレミアム牛めしは450円。

外出せずに食べられるとデスクワークの多い職場では好評です。
近くの店舗で調理をして、1日2回商品を補充。
1日60食程度売れるといいます。

実は牛丼チェーンは外食の勝ち組。

牛丼の価格を店内とテイクアウトを同じ価格にしたり、
キャンペーンを積極的に導入したりするなどして、増税後も売り上げは好調です。

松屋は新たに仕掛ける自販機ビジネスで持ち帰って食べる中食需要の取り込み拡大も狙う考えです。

増税がきっかけ
今広がるモバイルオーダー

山川さん
増税の影響を見極めるのはもうちょっと時間かかると思います。
10月はどこも特別なキャンペーンやってますから、少しイレギュラーな数字が出てる。
あとこれからカードの明細が出てきますから、そこで消費者が外食に行くのを手控えるかもしれない。
ただ、増税がきっかけになって広がっている外食の新しいこの動きってのがあるんですね。

それがこのモバイルオーダー
事前にスマホ使って、アプリなんかで予約をして注文予約して、そして決済まで済ませてしまう。
お店には取りに行くだけというスタイルが広がってるんです。

元々のメリット消費者のメリットと言えばもちろん待ち時間のストレスから解放されるって事なんですけど、そこに増税によって一つ、テイクアウトで軽減税率の対象になります。
もう一つがキャッシュレスですからポイント還元の対象にもなるということ。

お店のメリットも作業の効率化になり、最終的に手不足の解消につながりますから、これもまさにwin-winなんで相当広がっていくと思いますね。

オーナー負担削減 新たな一手
ローソンレジなし店舗導入へ

コンビニエンスストアの在り方を検討している経済産業省は各社のトップを呼び聞き取りを始めました。

ヒアリングにはローソンやミニストップなど4社が参加し、各社から人手不足対策などが示されました。
ローソンの竹増社長は商品を持ったまま店を出ると自動で決済が完了する、レジなし店舗の実証実験を検討していることを明らかにしました。

竹増社長
「ローソンゴーにチャレンジします。レジなし店舗にチャレンジしたいと思います」

ローソンでは既に深夜の無人化などの実験を進めていて、さらにレジを無くすことでオーナーの負担軽減を目指します。
顔認証やスマホアプリなど決済方法は検討中ですが、来年中を目処に実験店舗をオープンさせたい考えです。

日本人男性香港デモで負傷

香港のデモで日本人の負傷者が出たのは初めてとみられます。
香港で起きた警官隊とデモ隊との衝突で、50代の日本人男性が怪我をしていたことがわかりました。
外務省によると男性は命に別状はなく、病院で治療を受け既に退院したということです。
地元メディアは昨日日本人の観光客が中国人と間違われ、デモ隊に暴行される事件があったと報じていました。

動画見放題に規制案

スマートフォンなどで特定の動画サイトを無制限に視聴できるゼロレーティングサービスについて総務省は回線が混雑した時には通信量の多い利用者から順番に通信を制限するとした指針案を示しました。
大手の通信会社とコンテンツ事業者が結びついて、中小の事業者を排除することなどを防ぐのが狙いです。
年内に有識者会議を開き正式に決定します。

巨大ITに情報開示義務

政府は未来投資会議でAmazonや楽天と言ったプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業が運営する通販サイトなどへの規制を強化する方針を決めました。
商品を表示する順番を決める際の基準や、手数料などをどのように決めているかを開示するよう義務付けます。
政府は年内に具体案を取りまとめ来年の通常国会に法案を提出する考えです。

中国アリババ4兆円突破

中国で独身の日と呼ばれる11月11日に行われた毎年恒例のセールで、
中国のネット通販最大手アリババグループの取引額が2684億元、日本円でおよそ4兆2000億円となり、過去最高を更新しました。
大幅な値引きによる販売促進が消費者の購買欲を刺激しました。
取扱高が多かった15のブランドの中には日本のユニクロも含まれています。

年末商戦本格化
キーワードはカスタマイズ

イトーヨーカドーが年末にかけて売り出すクリスマスケーキやおせち。
今年のキーワードは人数や好みに合わせてカスタマイズできること。

家族みんなで食べるホールケーキもありますがケーキのセットが今年の目玉。
少人数向けのピスタチオクリームと真っ赤なベリーのケーキセット。
ホテルオークラが監修していて、二人でシェアしながら本格的なホテルのケーキが家で楽しめるといいます。

さらに新たに発売したのが組み合わせおせち。
和洋中、全部で7種類のお重がバラ売りされていて、好きな味を好きな量だけ組み合わせて買うことができます。

共働き世帯や単身世帯が増え、大手スーパーでも、みんなで同じメニューを食べるから好きなモノを選んで食べる年末年始に変わりつつあるようです。

日産自動車 新CFO出席も
業績回復に道筋見えず

日産自動車は2019年4月から9月期の連結決算を発表しました
来月からは新たな体制でV字回復を目指しますが、通期の見通しを大幅に下方修正するなど船出は厳しいものになりそうです。

午後5時、会見場に現れたのは新体制でCFO最高財務責任者に就任する予定のスティーブン・マー常務執行役員。
会見はすべて英語。
実は当初現在のCFOが出席予定だったが急遽変更した。

しかし、日産自動車の2019年4月から9月期の決算が厳しい内容に
売上高は1年前に比べて9.6%減り5兆30億円。
純利益は73.5%減り、653億円だった。

その要因は主力の北米や欧州で、新車販売が不振だったこと。
2020年3月期の業績予想を従来の1700億円から1100億円に大幅に下方修正。
10年ぶりの低水準となる見込み。

日産が進めている事業改革の進捗について尋ねられると

「今日は上期の決算発表、事業改革は7月に発表したが、新しいCEO経営体制が更新すると考えたい」

マーケット情報

東京株式市場で日経平均株価は年初来高値を更新しました。
前の日に比べて188円高い23520円でおよそ1年1ヶ月ぶりに高い水準を付けました。
11日のニューヨーク株式市場でダウが過去最高値を更新した事や円安ドル高基調が追い風となり、輸出関連株を中心に買いが広がりました。

名門校でスマホのゲームが
体育の単位になる時代が

東大合格者を多数出す進学校の筑波大学附属高等学校
その体育の授業でやっていたのが、AR拡張現実の技術を使ったゲームです。
スマホで空間を認知すると、丸い的が現れ、それに球を当てて攻撃したり守ったりするもの。
攻撃する側が的に向けて弾を打ちますが人を攻撃することもできます。
このゲーム、実は今年度から単位として認められるようになりました。

授業を提案したのは池田さん。
この学校では生徒が授業の内容を提案する方針をとっています。
「どうせだったらまだ誰もやったことないようなやつをやりたいなと思って選びました。これが体育の新しい形なのかなみたいな感じで、先駆者になったような気持ちでしたね」

採用決定に至った理由は何だったのでしょうか。

中塚体育教諭
「実際の体の運動が加わってくるものだということで、体育科でも体育の授業で採用しようということになりました」

ゲームを作った会社はさらに開発を進め、来年の夏には最新のバージョンを一般向けにリリースするといいます。

グラフィティ 森本CEO
「eスポーツになっていくと思うし、eスポーツかしていきたい」

体育だけじゃない
革命起こすeスポーツ

入山さん
これですね、HADOっていうスポーツがすごく広まってくるんです。
VRヘッドマウントを付けて、昔流行ったゲームでストリートファイターってありますよね、その波動拳を打ち合いながら、今すごく人気が出て健康にもいいっていうことで、実はワールドカップ開かれてるんですね。
客観的に遠目から見るとちょっとって感じがするわけですよね。
だけど新しいテクノロジーが入る時って結局こういう違和感があるもんだと思うんですよ。
だんだん受けられてくれば慣れてくるのかなということだと思いますね。

トレたま:メッセージが浮き出るおむつ

T.T.File-5134

赤ちゃんの尿に反応してメッセージが浮かぶというおむつなんです。
中には尿に含まれるアルカリ性に反応するpH試験紙が仕込まれていて、メッセージが浮かびあがる仕掛け。

メッセージはありがとうだけではなく大好きの2種類を用意。
生後6ヶ月ぐらいの赤ちゃんを持つ親をターゲットにこの機能をつけたと言います。

ナチュラルムーニー
1280円前後

その理由は、本当にあの不安だったり自信がなくなったりすることがすごく多い。
そのようなパパママに対してちょっとでもその心はおむつ交換で支えたいと。

入山先生の視点

入山さん
私個人は率直に言うと今回は失敗だったかなと。
つまり負担軽減策の導入がある意味非常に雑だったなと。
消費税を上げて、だけど一方で軽減税率入れて10%、8%ってよくわからない仕切りがあって、かつそこにキャッシュレス策まで入れてしまったんで、現場の方に話を伺うと大混乱。
とりあえず価格を据え置いた結果、お客さんが離れていっている会社ですとか、小さな会社さんでは、キャッシュレスを無理やり導入しようとして、そこでなかなかコストがかかっちゃって倒産の危機みたいな会社も出てきてるんです。
ですから政府はもちろん良かれと思ってやってると思うんですけど、実際にそれを使ってもらうユーザーエクスペリエンス、そういうマーケティング施策みたいな所への意識が非常に弱かったんじゃないかなという風に思ってます。
打ち出すだけではダメで、どうやって使ってもらうかということまで政策を考えないといけないですね。

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