東京五輪、観客あり、なし
菅総理、私が責任を持つ
午後7時、政府は10の都道府県に発令している緊急事態宣言について沖縄県を除き20日を期限に解除することを決めました。
ただ、東京や大阪など7つの都道府県では蔓延防止等を重点措置に移行します。
そして、解散予定日まで36日となった東京オリンピック、菅総理は大会の開催と新型コロナの感染拡大防止を両立すると強調しました。
菅総理は国内の観客を入れて開催することを明言。
政府はその上限を1万人とする方向で検討しています。
一方、総理の記者会見に同席した政府の新型コロナ対策分科会の尾身会長。
引き続き、感染拡大への警戒が必要だと強く警鐘を鳴らしました。
尾身会長ら専門家は五輪を開催する場合でも無観客が望ましいとの考え方を示しています。
期待と不安、来てほしくない
政府が観客を入れた開催に向けて前のめりになる中で会場整備は進んでいます。
観客の有無がまだ正式に決まらないままですが、すでに座席の設置作業を終え、作業は最終段階を迎えていました。
ヨットレースが行われる神奈川県でもすでに駐車場が封鎖されて着々と準備が進んでいます。
島の一角はすでに関係者以外は立ち入り禁止に。
3カ国の機材を積んだとみられるコンテナも並びます。
ヨットハーバーから目と鼻の先にある飲食店。
専門家無観客がリスク最小
競技会場に観客を入れるかどうかを巡り菅総理は今夜の会見で。
「プロ野球とかJリーグは人を入れながら今日まで来てます。クラスターはほとんど発生しない。そうしたことを参考しながらやっていく。」
サッカーやラグビーの会場となる東京スタジアム。
普段はJリーグの試合会場として使われ、緊急事態宣言中も5000人を上限に観客を入れての試合を開催しています。
しかし分科会に参加する専門家からは、観客が全国から集まるオリンピックは感染リスクが高まることはもちろん、人出の増加によって感染が全国に広がってしまうと警鐘を鳴らしているのです。
尾身会長ら専門家は明日オリンピックを開催する場合は無観客が最も感染リスクが小さいとする提言を公表する方針です。
観客を入れる場合でも出来る限り人数を少なくして、パブリックビューイングや飲食店での感染は控えるようにと訴える見通しで、政府と専門家の家痴漢に対する温度差は残ったままです。
追跡電化製品に異変
品切れ、生産終了のワケは
都内の自動車用品の専門店を尋ねると、カーナビやカーオーディオのコーナーのいたるところに品切れ中の札が。
理由は半導体。
家電量販店では、電話機に売りつくしの文字が。
半導体不足があるわけで生産を終了し販売は現品限りとのこと。
さらに夏場に欠かせないエアコンも。
「半導体の調達が難しくなっていて、今後の製造の見通しが立ちにくくなっている。」
実は今家電などに使われる重要な部品半導体が不足し、生産への影響が出てきているのです。
追跡、なぜ半導体不足?
受注殺到の製造工場は
なぜ不足しているのでしょうか。
半導体の製造工場を訪ねました。
工場内は髪の毛の1/100程度のホコリも入らないよう厳重に管理されています。
特別にクリーンルームの中の様子を撮影してもらいました。
左右にずらりと並ぶ製造装置の中で半導体は製造されています。
ウエハーと呼ばれる薄い円盤。
薄く入った線は電子回路です。
それを何重にも焼き付け、カットします。
そしてひとつひとつを切り離して、この先についているのが、1.5mmという非常に小さいサイズの半導体です。
一つの円盤から作られる半導体は1万個。
完成までには3~4ヶ月以上かかると言います。
高性能家電ほど多く必要に
受注が殺到している半導体。
いったいどんな役割を果たしているのでしょうか。」
こちらの掃除ロボットで見てみます。
中を開けると黒いもの全てが半導体です。
半導体とは電気を通す銅やアルミなどの導体と電気を通さないゴムなどの絶縁体。
この両方の性質を持つ物質で電気を必要な大きさに変えることができます。
例えば掃除ロボットの場合、コンセントからまずバッテリーに電気が流れます。
そしてホコリを取るセンサーには2V、異物をよけるセンサーには3Vなど動作に合わせて電気の量を調整する役割を担うのが半導体です。
電気を使う製品には不可欠なもので、高性能な家電になればなるほど多くの半導体が必要になるのです。
車だと5000個以上を使われているものもあります。
急速に進むデジタル化に加え新型コロナによる巣ごもり需要でパソコンなどを購入する人が急増。
そこに半導体大手のルネサスの工場火災が追い打ちをかけ半導体不足に拍車が掛かりました。
追跡、半導体産業の強化へ
世界最大手の工場が日本に
こうした状況に打開策はあるのでしょうか。
今月上旬、政府は半導体産業の強化を国家事業と位置づけた新戦略を決めました。
米中対立が半導体の覇権争いに発展するなか、世界的な半導体メーカーを抱える台湾や韓国、ヨーロッパも参戦。
各国は1兆円以上の資金を投じた技術開発やメーカーの囲い込みに躍起になっています。
しかし日本が現在確保している予算は技術開発に当てる基金2000億円ほど。
半導体産業に詳しい南川さん
「半導体の最先端の工場を1つ立てるだけでも1兆円近くかかる。もうちょっと予算をつけないといけない。」
日本経済新聞によると半導体製造の世界最大手台湾のtsmcが初めて日本で半導体の工場を建設する検討に入りました。
その場所は熊本県だと言われています。
最先端技術を誇るTSMCの誘致が実現すれば日本の半導体不足の解消につながるのでしょうか。
「ただ来てもらえれば強さが復活するわけではない。半導体の材料と装置の分野は世界の中でも日本はトップクラス。技術の進化のためには一緒に開発していくことが必要。」
被害総額8億円超
トランクルーム投資にご用心
新型コロナの影響で在宅時間が増える中、生活空間をより広く確保した人たちの間でニーズが高まっているのが普段使わないものを保管するトランクルームです。
トランクルームなどの収納サービスの市場規模はこの5年ほど拡大を続けていて、今後もこの傾向が続くと見られています。
ところがトランクルーム事業のある盲点をついた投資トラブルが発生しています。
住宅地の一角に並んだコンテナ。
荷物を保管するトランクルームとして使われています。
会社員のAさんは4年前からトランクルームへの投資を始め、都内で合計52基のトランクルームをおよそ2千万円で購入しました。
貸せば15%以上の利回りを得られると聞き、投資を決めたと言います。
Aさんが購入した先は全国でトランクルーム事業を展開するにはユアスペース。
商談は都内の本社で行われ、取締役営業部長が担当したと言います。
トランクルームの購入後、Aさんの口座には毎月数十万円が振り込まれてきました。
ところが去年10月突如ユアスペースから連絡があり、Aさんが結んだ購入契約は全て違法なものだったと伝えられたのです。
会社の説明では担当した当時の営業部長が架空の購入話を持ちかけ、Aさんの投資資金を自分の口座に入れていたと言います。
賃料としてAさんに支払った金は自分の口座から出していたとみられ、トランクルームの売買そのものが存在していなかったというのです。
「勝手に詐欺を働いて警察に自首したということ。」
会社側は当時の営業部長が個人でやったことだと主張、和解金として購入代金の2割を返金すると提示しましたが、2割はちょっとあまりにも低いなと。
当時の営業部長や会社を相手取り、全額の賠償を求めて提訴しました。
会社側の説明では少なくとも被害者は97人、被害総額は8億6千万円以上にのぼるということです。
Aさんの担当弁護士はトランクルームのある特徴が悪用されたと指摘します。
「コンテナは登記がないですね。物を買うと自分のところに入ってきますけど、本当に名義が変わったのかとか、本当に所有者の方かどうかってのはなかなかわからないんじゃないかなと。」
会社側はテレビ東京の取材に対し、警察が捜査中なのでお話できないとしています。
新型コロナ関連ニュース
新たに感染が確認された人の数は1554人でした。
今日発表されたワクチン接種の回数は684749回となっています。
64歳以下の接種も始まりました。
自衛隊が東京と大阪で運営する新型コロナワクチンの大規模接種センターでは今日18歳から64歳を対象にした接種が始まりました。
防衛省によりますと東京海上の予約は27日分まで埋まりましたが、大阪では21日から27日の分についてはおよそ17000人分の枠が空いているということです。
来月にも交付が始まります。
政府はワクチンの接種歴を公的に証明するワクチンパスポートについて来月中旬をめどに交付の準備を進めていることを明らかにしました。
日本から海外に渡航する際の規制緩和につなげたい考えです。
1日100万回の接種が実現する見通しです。
河野ワクチン担当大臣は今日、日本商工会議所の三村明夫会頭とオンラインで懇談し、1日あたり100万回のワクチン接種について今週中にも達成できるという見通しを示しました。
政府は中小企業の共同接種に対し費用の一部を支援するなど職場での接種を後押しします。
中国の協力姿勢に疑念を示しました。
アメリカのバイデン大統領は米露首脳会談後の記者会見で新型コロナの起源調査に関し中国は本気で真相に迫ろうとしているのかと述べました。
中国の武漢ウイルス研究所から流出したとする議論が再燃していて、バイデン氏は先月情報機関に追加調査を指示しています。
少子化コロナで加速
必要な重点政策は
ケーキ販売店で働く関根さん25歳。
元々は飲食店でアルバイトとして働いてきましたが、新型コロナの影響で一か月の収入は10万円程度に激減。
そこで販売の仕事を探し、正社員として採用されたのですが、
「昨日は12時間拘束で11時間労働、長時間労働が結構しんどい、最低賃金すれすれ。」
残業代は支払われず、ひと月の給与は20万円前後。
違法と見られる労働条件です。
プライベートな時間はほとんどもてなくなったと言います。
経済の低迷が長引き、子供を持ちにくいと指摘されてきた日本社会。
新型コロナが直撃し、少子化に追い打ちをかけているのです。
一方、社員の働き方を変えたことでベビーブームが起こっているという会社があります。
新潟県長岡市で屋根の金具などを製造するサカタ製作所。
従業員150人ほどのこちらの会社では2014年社長が突然残業ゼロを宣言。
残業時間は月1時間ほどに減少しました。
当初は反発も少なくなかったといいます。
坂田社長
「これだけ残業してても納期を守れないようなケースがある。ギリギリなんだという話も出てくるが、仮に納期遅れを起こすような事が起こったとしても、残業をゼロにしなさいと言った。」
社員は残業しないよう、互いの知識の共有や業務の効率化を徹底。
削減された残業代は年間3,500万円。
その全額が社員のボーナスに上乗せされました。
Q:業績っていうのはどう変化しましたか?
「もちろん増収増益ですよね」
もう一つ、サカタ製作所が取り組んだのが、男性の育児休暇の取得を推奨することです。
これにより社内で出生数が劇的に増えたといます。
男性の育児参加が増えると出生数が増える。
こうした傾向は国民のデータでも裏付けられています。
日本総研 山田主席研究員
「OECD諸国で男性が家事育児に参画している時間の長い国ほど出生率が高くなる傾向があるんですね。女性だけに負担を集中しない。負担をシェアしていくっていうそういうことがあるんだと思います。」
こうした働き方に惹かれ、この会社に転職してきた吉原さん。
平日も一歳の息子としっかり向き合うことができる今の働き方に満足しているといます。
加速する少子化、専門家は国が取るべき対策はまだまだあると指摘します。
「子育てのための社会保障の支出ってまだまだ多くないですね。教育費をもっと安くしていくとか、しっかり方向を示さないと。」
アメリカ金融政策変調の兆し
ゼロ金利解除前倒し
世界経済の中心、アメリカで今売れているのが住宅と自動車です。
住宅は1年前に比べて1.5倍、自動車に関しては1.4倍とそれぞれ販売数が伸びてきています。
背景には住宅や車のローンの金利が以前よりも低く、お金を借りやすくなっているということがあります。
低金利環境を作り出したのが、アメリカの中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会です。
FRBはコロナ禍で低迷した景気を支えるために去年の3月から、政策金利を0%に誘導するゼロ金利政策を実施してきました。
しかし16日、ゼロ金利政策を2023年に解除するとの方針を示したんです。
これは予想よりも早いタイミングで市場では困惑が広がり株価も下落しています。
日本時間今日未明、
FRBパウエル議長
「政策金利はゼロ付近で維持し量的緩和も続行する。」
新型コロナの影響で大きなダメージを受けてきたアメリカ経済。
FRBは景気回復のため、去年3月から金利を下げるゼロ金利政策と、市場に大量の資金を供給する量的緩和の二つの金融政策を取ってきました。
今回開かれたFOMC連邦公開市場委員会ではこれらの政策を継続するとしましたが、景気の見通しには変化が。
「ワクチン接種の拡大と前例のない財政出動が経済回復を強く支えた。」
年末時点の経済成長率を7.0%、物価上昇率を3.4%と見通しを上方修正。
こうした景気の急回復を受け、ゼロ金利政策解除の時期をこれまでの2024年以降から2023年に前倒しする方針を示したのです。
さらに金融政策のもう一つの柱、量的緩和についても
「量的緩和縮小の議論を始める、今日の会合でも議論した。」
緩和の規模を縮小していくことを示唆しました。
株式市場では金融の引き締めが想定より早く進むのではとの懸念が広がり、16日のニューヨークダウは265ドル下落。
株安の流れは日本にもおよび、今日の日経平均株価の終値は272円安となりました。
集団免疫に近づいている
菅総理大臣は今夜の会見で免疫がない人にも感染が広まらなくなる集団免疫を国全体として獲得できるめどを聞かれ、ワクチン接種に総力を挙げている。
集団免疫にはどんどん近づいていると思うとの認識を示しました。
会見に同席した政府分科会の尾身会長は、感染がコントロールできるというのはまだ早いと思うとして、集団免疫獲得にはなお時間がかかるとの見方を示しました。
マンション発売戸数6倍
不動産経済研究所が発表した首都圏の先月の新築マンション発売戸数は過去最低だった1年前に比べおよそ6.6倍となる2578戸でした。
コロナウイルスの影響が出る前の2019年5月との比較でも16.9%増加し、5月としては2017年以来の高い水準となりました。
米露首脳、核軍縮対話で合意
アメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は16日スイスのジュネーブで会談し、核軍縮などを話し合う戦略的安定対話を開始することで合意しました。
アメリカ側が問題視するサイバー攻撃について、プーチン大統領はロシア政府の関与を否定するなど人権問題も含め根深い対立も残りました。
食品ロス削減へ、無人販売機
ネスレ日本は小売業者への納品期限が過ぎたコーヒーやチョコレートを扱う無人の販売機の運用を始めました。
食品ロスを防ぐ取り組みで、販売機は全国5カ所に設置しました。
利用者は専用サイトで決済し、販売機の扉を開くパスワードを入手する仕組みです。
運用の実績を見ながらこの取り組みを拡大するか検討します。
米露首脳会談と中国の立場
滝田さん
ポイントになるのはいつも強面で望むプーチン大統領の態度なんですよね。
2007年ですけれども、メルケルドイツ首相は犬嫌いを承知しながら大きい犬を連れてくるわけなんですよね。
今回なんですけれども、打ち解けた感じを演出してるというとこに大きな違いがあると思いますよね。
戦後最悪と言われていた関係ですけれども、だいぶ違う雰囲気で行ったわけですよね。
お互いの言い分があるんですけど、アメリカにとってみたら核軍縮の新しい協議は始めたいということで、この辺がバイデン大統領の今回のポイントにしたいとこですよね。
一方でプーチン大統領にしてみてたら、アメリカ・ロシアともお互いの大使を国に引き上げてますから、それを元に戻すということはアピールしましたね。
思ったよりも良い内容で治ったということだと思います。
狙いははっきりしていて、アメリカ側はロシアと中国の二正面作戦はやっぱりちょっと不利だっていうことで、中国に今後パワーを集中するというその狙いも今回の会談から見えるとこだと思います。
米中の首脳会談をどうやってセットアップするか。
そして日本もなかなか良い環境になってきたんで、その風を利用するか、その辺がポイントになってくると思います。
CO2排出量9割削減
新燃料SAFとは
飛行機でアメリカのニューヨークからイギリスのロンドンまで飛ぶと、燃費の良い機体でもおよそ33tだということ。
CO2二酸化炭素の排出量はおよそ100トンということなんですね。
実は飛行機は鉄道など他の移動手段よりも多くのCO2を排出していて、どう削減するかが課題となっているんです。
ANAは今日CO2をおよそ9割減らすことが期待される新たな燃料の導入拡大を目指すと明らかにしました。
今日の羽田空港、機体の側には作業者が。
リフトに乗った作業員が翼のカバーを外し、ホースを取り付けます。
実はジェット燃料を期待に補給している様子です。
CO2排出量の9割以上が、航空機の運行によって発生している航空業界。
今脱炭素化の切り札としてある燃料が期待されています。
持続可能な航空機燃料SAF。
こちらは去年ANAが海外の事業者から初めてSAFを調達した時の映像です。
SAFの原料は廃油や藻類など通常の燃料と比べてCO2の排出量をおよそ9割減らせると期待されています。
従来の燃料に最大50%まで混ぜて使用可能で、専用の機体や空港設備も必要ないのが利点です。
しかし、SAFの生産量は現在世界で全航空機燃料の0.1%。
ANAも国産作の商業化を目指すべく、バイオベンチャー企業のユーグレナや東芝などと供給網の整備に向けて協力しています。
ANAは2050年度までに航空燃料をSAFに切り替えることを目指しています。
ワクチン接種で気になる数字
滝田さん
2000万人なんですけど、これは日本国民で一回でも接種を受けた人の比率なんですね。
15%超えてるわけです。
下の方が職場での接種なんですよね。
予定としてるのは1200万人ですから、全国民の約10%になる。
規模が大きいですよね。
全企業の99%は中小企業ですから、そうした中小企業はまとまって接種を受けられるように、一部の費用は国が負担するという話がありましたが、費用全体を負担するぐらいのことをしたらいいと思います。
なぜならばテレワークなかなか難しいじゃないですか。
そこがテレワークではなくて実際の仕事をやるような環境にもなると思います。
景気対策にもなります。