WBS 2020/12/10(木)

NEXTSTAGEコロナとの闘い
全国3000人迫る東京602人

1日の新規感染者数な初めて600人を超えた東京。
年代別にみると30代が137人と最も多いものの、重症化リスクが高い65歳以上も77人います。

感染経路を見ると最も多いのは家庭内での感染。
しかし数が多すぎて半数以上は詳しい感染経路を追えていない状態です。
東京都の感染状況を分析する専門家はこれまでにない強い言葉で危機感を示しました。
訴えたのは医療体制の逼迫です。

東京都の入院患者は一週間で200人増加し、緊急事態宣言が解除されてから最多です。
病床は3000床用意されていますが、すでに6割埋まっている状態です。

さらに今日の重症者は59人、この2週間で重傷者は常に50人以上いる状態で、重症者用の病床も逼迫し始めています。
医療提供体制は上から二つ目の体制強化が必要を維持したものの、通常医療との両立が困難な状況との見解をまとめました。

勝負の3週間どうなる?

2週間前、政府や東京都が先月25日に打ち出した勝負の3週間。
当初3週間目に入る今日あたりには感染者数は減り始めるとの見込みで始まった取り組みでした。

しかし今日東京だけでなく千葉県や大分県など7つの都県で感染者は過去最多に。
全国でも2973人と二日連続での過去最多を更新しました。

先月から外出自粛要請などを行っている北海道でも今日新たに241人の感染を確認。
感染拡大の勢いは衰えていません。
北海道は札幌市での不要不急の外出自粛を2週間延長し、25日まで続けると発表。
病院などで大規模な集団感染があった旭川市も対象に加えます。

感染が減らない背景の一つは人々の行動がここへ来てなかなか変わらなくなっていることが挙げられます。
今夜、東京渋谷駅の周辺には例年とほとんど変わらない師走の光景が。

携帯電話の位置情報から人の動きを分析するデータで見ると勝負の3週間が始まった最初の一週間は都内や北海道の繁華街はいずれも人出が減りましたが、その後2週目は再び人手が増えています。
勝負の3週間は失敗に終わってしまうのでしょうか。
政府は今日、感染状況を分析する会議を開催。
メンバーの一人はこう明かします。
「勝負の3週間は結果として伝わらなかった。今のやり方では駄目だということで今日の会議でも一致した。」

GoToトラベル停止を最低限へ

東京都が現在行なっている飲食店の時短要請などは来週終了予定です。
しかし、これを延長すべきとの声が都庁内で出始めています。
「時短要請、予定通りに終わらせる状況ではないでしょう。幹部の中でも延長すべきという意見が多い。」

さらに現在は大阪市と札幌市のみ停止しているGoToトラベルについても、利用の制限をより広げるよう求める声が出ています。
新型コロナ分科会は明日会議を開き、感染状況が悪化している地域についてはGoToトラベルを一時停止するよう再び政府に求める方針です。

ワクチン接種加速、心配な情報も

一方新型コロナのワクチンの接種に向けた動きも各国で加速しています。
カナダの保健当局は9日、アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンを承認したと発表しました。
アメリカでも日本時間の今夜、FDA食品医薬品局がファイザーのワクチンの研究使用を許可するかどうかを議論する諮問委員会を開催。
FDAの事前の独自調査では安全性は許可できる水準にあるとして、諮問委員会の勧告後、速やかに許可する見通しです。
ただ先行して接種も始まっているイギリスでは心配な情報も出ています。
8日に接種を受けた数千人のうち二人に摂取の直後、激しいアレルギー反応が出るアナフィラキシーのような症状が出たことがわかりました。
ふたりは何も過去に強いアレルギー反応が出た経験があり、イギリスの規制当局は過去に重いアレルギー反応の経験がある人は摂取を控えるよう警告しました。
ファイザー側は治験では安全性に関する深刻な懸念はなかったと説明していて、イギリス当局の調査に協力する考えを示しました。

東京感染者、最多の602人
勝負の3週間、減らないワケは

Q:この2週間の対策となどをご覧になっていますか

国際医療福祉大学の松本教授
勝負の3週間と言いながら実際に何が変わったのか。
確かに緊張感を持ってたとか、言葉は出てくるんですけども、具体的な対策としてこういうことをやって、実際に感染者数を減らしましょう。というようなことに関しては残念ながら、営業時間の短縮だとかそういうぐらいのことはやられましたけれども、本当の意味で人の動きが減るような対策がとられておりませんし、実際に人の動きも減らなかった。
当然感染者数は減る理由がない。
そういう意味ではもう今まだしばらくこの一週間経ったとしても、減るはずもありませんし、3週間と言いながら目に見えてあの感染者数を減らす効果は出せないと思います。
危機感を持ってと言いながら、伝わっていれば国民の方たちが本当に危機感を持って動きが変わると思いますけど、そういうところまでは行かなかった。

Q:感染拡大というのは気温の下落だったりとか乾燥といた要因もあるんでしょうか?

これは呼吸器系の感染症ですので、特に寒くて乾燥してる時期は本当に広がりやすいというのは間違いないと思います。
実際にこれから何が問題なのかって言いますと、この3週間とか仕切りのことではなくて、寒さと乾燥はこれから2月~3月ぐらいまでずっと続くわけですね。
その間ずっと感染者数が増えやすいようにもずっと続くんです。
なのである程度人が変容して減らす方向にちょっと傾いたとしても、またしばらくすればちょっと条件が整えばすぐ上がってきます。
7月8月のように人が緊張感をもって減らしたあの状況と今の状況と同じような行動を取ったとしても今の状況でそう簡単には減らないという風に思っていただきたい。

山川さん

この600人については冷静に見た方がいいかなというところが入ってあります。
2週間前に何があったかと言うと、土曜日11月28日から飲食店の時短要請があって、東京都にあの住んでらっしゃる方皆思い出せば分かると思うけども、その前の金曜日と木曜日ってもの凄い駆け込みで繁華街はどこもすごい人でいっぱいだったんです。
それからちょうど2週間経ってるんでその影響は出てるんじゃないかなと。
少なくともカレンダーで見てみると前週比でみると大体1倍ですから、この3週間横ばいで推移してるのは間違いないんで、中には気をつけて当然行動変容を起こした人たちもいると。
ただし減らしきれていないというのは間違いなくて、これから飲食店の事態要請の効果が出るはずですから、そこを期待して週末以降の数字をちょっと見ていきたいですね。

重症者遠隔で見守る新技術

今日、東京駅前で始まったライトアップ
テーマは感謝と励まし。
光り輝く白鳥のオブジェには医療従事者への感謝の言葉が英語でデザインされています。
今全国で深刻さを増している医療の逼迫。
神戸市にあるこちらの病院(神戸市立医療センター中央市民病院)は新型コロナウイルスの重症車を主に受け入れる兵庫県の基幹病院の一つ。
先月コロナ患者専用の臨時病棟が新設されました。
臨時病棟では36床あるうち14床が重症者用の病床ですが、現時点で13床が埋まっている状況です。
今日も陽性者と思われる患者が運び込まれていました。
少しでも現場の負担を軽くしたいと集中治療室ICUに新たに導入したものがあります。

医師や看護師が集まるなステーションに設置されたこちらのモニター。
ICU内の重症患者を遠隔でモニタリングするシステムです。

このシステムの開発に携わった医療ベンチャーT-ICUの中西社長は自身も現役のICU専門医です。
高性能カメラが設置されていてその数14台。
すべての患者をモニタリングすることができます。
また心拍数や血圧などを計測する機器とカメラを連動させることで離れた場所にいても患者の体の状態を示す数値を正確に把握できるといいます。
24時間体制での観察が人手不足や医療現場の負担の一因となっている中、遠隔システムで一定の効率化が期待できると話します。

さらに感染防止のため患者と接する度に防護服の着用が必要となりますが、遠隔モニタリングシステムを活用すれば接触の頻度を減らすことができます。

神戸市長もこの状況に危機感を募らせます。
このシステムは今後、京都や沖縄の病院へも導入が予定されています。

訪問看護の現場も逼迫

業務の負担を減らす取り組みもある一方で看護師は見えない負担を抱えています。
綴られているのは藤田さんが看護師等から聞き取った声に出せない看護師の叫びです。
こうした実態を近く発表する予定の藤田さん。
自身も看護師歴およそ20年のベテランです。
その藤田さんが所長を務めているのが訪問看護専門とする医療センター(北須磨訪問看護リハビリセンター)。
新型コロナの感染が拡大した4月以降、在宅医療を選択する患者が倍増したといいます。

その理由は面会制限。
患者の在宅ニーズが増える一方で、看護師たちにとって増えるのが感染リスク。
患者の自宅は病院ほど感染対策が施されていないケースが多く、リスクとは常に隣り合わせです。

訪問看護師の福田さん。
訪ねたのは70代の神経系の難病を抱える男性です。
福田さんは週に3回通って、痰の吸引やチューブを通じた栄養分の注入など看護を続けています。

増える訪問業務と感染リスク。
所長の藤田さんはこう話します。
「訪問看護の初動を早くする。悪化しないようにするっていうことは利用者の願いでもあり、これ以上病床を圧迫したくない、病院への思いもある。」

重症病床逼迫、必要な対策は

山川さん
重症者数の推移で、第一波の時は対策を打ってから24日間かかっ重症者がピークをつけました。
第2波の時は同じようにやって21日間かかりました。
ですから今回も11月の下旬に対策をやって、これが効いてるとすれば来週あたりにピークをつけるはずなんですが今回は心配です。
なぜなら第一波も第二波も感染者数が減ったんですが、減ってないです。
一番気になるのは医療現場の逼迫。

松本教授

人は当然のことながら簡単に増やせるわけじゃありません。
そういう意味では少なくとも今の医療体制をそのまま維持することが大事。
資金面で病院をちゃんとサポートしなければいけないと思います。
国のいろんな補助っていうのは残念ながらいろんなことが制限がかかっていて手続きも面倒です。
そこも単純に赤字が出た分は補填するという形でやってくれれば、医療機関もある意味安心してそのまま継続できるんですけど、今のままだと経営の心配もしなきゃいけないというような状況は非常に困っていると思います。

とにかく重傷者を増やさない一番大事なのは感染者数を減らしていくこと。
感染者数を減らすというのも本当に簡単ではありませんけれど、今までいろんな国のリーダーも本当に強いメッセージをそれぞれ自分が発して、まずはこの国をどうするかっていうことをちゃんとメッセージで伝えていたと思います。
なので日本もトップのリーダーが出てきていただいて、そしてどういうストラテジーで感染者数を減らしていくのかということ直接伝えていただいて、だから協力してくださいという風なことを言っていただければ、国が少し動くと思うんですけど、今どう動いていいかわからない、このままだとまだそう簡単に人の動きは変わらないと思います。

新型コロナ関連ニュース

先ほどもお伝えしましたが今日国内で新たに確認された感染者数は再び陽性となった人も含めて過去最多の2973人となりました。
多くの自治体が再陽性者の数も含めて集計しているため、今日から番組でもそれに合わせてお伝えいたします。

日本のワクチン接種は予約制になります。
厚生労働省は今日、専門部会を開き新型コロナワクチンの接種の流れについて大筋で決定しました。
各自治体から接種券が届いたら自分で予約を取って、同じ施設で2回接種を受ける形です。
摂取可能な施設や予約状況は厚労省が新しく作るウェブサイトで確認できるようにします。

病床不足の勧告で切り札投入です。
ソウル市内の病院の敷地内で設置が進んでいるのが合わせて150ものコンテナ型病床。
それぞれ2人から3人の患者を受け入れます。
ソウルなどの首都圏では病床不足が深刻で入院できない感染者が500人を超えています。

コロナ禍で休業を余儀なくされているパートやアルバイトの女性のおよそ7割が休業手当を受け取っていないことが野村総合研究所の調査で分かりました。
特に世帯年収が低い人ほどを受け取っていない傾向がみられ、野村総研は生活困窮者に向けた追加の支援策が必要だとしています。

飲食業界へのエールを込めています。
レストランの格付け本、ミシュランガイド東京の2021年版が発売されました。
調査員が実際に食べて星の数で評価するガイド本ですが、緊急事態宣言の間は調査を自粛していたということです。
三ツ星は新たに2件増え12件になりました。

ソニー、アメリカアニメ大手を買収

ソニーは10日アメリカの大手アニメ配信サービス、クランチロールの運営会社を11億7500万ドル、日本円でおよそ1200億円で買収すると発表しました。
ソニーは人気アニメ鬼滅の刃を手がけたアニプレックスをグループに持つなど有力作品を多く抱えていて、買収を通じて世界に向けたアニメの配信を拡充する方針です。

文春、noteと資本提携

老舗出版社の文芸春秋と文章や漫画などのインターネット投稿プラットフォームnoteが今日、資本業務提携を結んだと発表しました。
文藝春秋は去年11月からnote内で月刊誌文芸春秋の記事が読めるサービスを始めるなど連携を深めていました。
他社との資本業務提携は創業以来初めてで、今後紙とデジタルの融合を図ります。

菅総理、被災地復興に決意

菅総理大臣は今日、就任後初めて東日本大震災の被災地である宮城県と岩手県を訪問しました。
訪問先では復興に向けた施設を見学したほか、津波で甚大な被害を受けた岩手県宮古市田老地区の防潮堤などを視察しました。
菅総理は被災地の復興は総仕上げの段階に入っているとし、残りの課題について内閣で全力で応援すると強調しました。

JDI菊岡社長が退任

経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディスプレイは今日、菊岡社長兼CEO最高経営責任者が今月末で退任する人事を発表しました。
後任の社長は当面おかず、筆頭株主の投資会社を率いるスコット・キャロン会長がCEOを兼務します。
改革を加速するため意思決定を一元化させて、今後はスマートフォン向けの液晶パネルに依存した経営からの脱却を目指します。

アメリカ当局インスタ売却を

アメリカのFTC連邦取引委員会などは9日、Facebookを独占禁止法違反でワシントンの連邦地裁に提訴しました。
写真共有アプリInstagramなどの競合企業を買収し、公正な競争を妨げたとして事業の売却を要求しています。
Facebookは買収はFTCの承認を得て実行したものだとして全面的に争う構えで、政府は寒気がする警告を経済界に送っていると強く反発しています。

ECB半年ぶり追加緩和
コロナ対応枠拡大

ECBヨーロッパ中央銀行は先ほど半年ぶりに追加の金融緩和策を発表しました。
新型コロナの感染拡大で低迷するヨーロッパ経済の下支えを狙います。

ECBはコロナ危機に対応するために今年3月から国債などの資産を大量に購入する特別枠を設けています。
今回はその枠に5000億ユーロ増額し、合計1兆8500億ユーロおよそ233兆円まで拡大しました。
また購入期限を従来より9カ月延長し、2022年3月末までとしました。
一方で政策金利は据え置きました。
ラガルド総裁はワクチン開発のニュースは励みにはなるが、中期的な経済回復のためには引き続き金融面での支援が必要だと語りました。

ただ市場の期待を超えることはできませんでした。
取引が続いているヨーロッパの株価ですがイギリスは変わらず、その他の国では各国下落しています。

ニューヨーク株式市場も見てみましょう。
現在ダウは50ドルほどの下落、ナスダックはほぼ横ばいで推移しています。
現在1ドル104円20銭台から30銭台で推移しています。

アメリカ当局、フェイスブック提訴
インスタグラム売却要求

山川さん
世界中でGAFAと言われるプラットフォーマーに対する圧力をかけようって動きが顕著になっていて、主に三本柱。
個人情報のところ、データの不正利用を摘発しようとする動き。
競争政策好、独禁法などで縛ろうという動き。
それからデジタル課税、これまで物理的な拠点がなかったとこで、課税しにくかった。
ここでも税金を取ろうというこういうものが出てきている中では、今回のFacebookのニュースではこの真ん中の競争政策にかかるとこですね。

民主党はもともとGAFAの分割解体論まで言ってるとこですから、民主党政権になって厳しくなると思います。
基本的に儲け過ぎに対するやっかみ、それから国がコントロールできなくなるんじゃないかっていう危機感。
これから強まってくると思いますね