2021/10/11(月) WBS(ワールドビジネスサテライト)

岸田総理生出演
経済・外交 問われる手腕

Q:金融所得課税について当面は触ることは考えていないという風におっしゃいましたので方針転換かなと思った方も多いと思うんですが、どうしてこの発言なさったんですか?

岸田総理
「成長も分配も、という考え方、経済を成長させてその成長の果実を分配する方策を色々用意したわけですが、その中の一つが金融所得課税でもあったんですが、そのメニューやっぱり優先順位しっかり考えなきゃいけない。
何から始めるかを考えなきゃいけない。そういったことで整理した上で、まずは民間企業において、従業員の方の給料を引き上げるための税制ですとか、大企業と中小企業の下請けの関係、これを適切にするとか、こういった政策をまず優先するべきではないか、看護婦、看護師それから介護士、保育士公的に決まる給料は引き上げる。
こういったこの皆さんの所得を引き上げる政策を優先してやるべきだと。
よって順番を考えた場合にこちらの課題については今言ったようなこのまず政策をやった上でまた考えていく。
これが順番ではないかということを申し上げた。
結果としてご紹介いただいたような発言になったということです。」

Q:日経平均株価の推移ご覧ください、岸田総理が選出されて以降、もしかしたら金融所得課税というのが結構警戒されてと言いますか、海外要因も大きかったと思うんですが日本の株価の下落っての一段と大きかったわけですね。そのあたりもありましたか?

「私の立場からは日々の為替の動き、コメントするのは控えるべきだということなんで、その動きについて直接は申し上げませんが、まあいろんな要素が絡んでいたということだと思っています。私の発言が直接影響したかどうかも含めて、私からはコメントは控えたいと思います。」

Q:22年度の税制改正では、この問題は取り上げないという理解でよろしいわけですね?

「そうですね、先ほどの政策をまず進める。政策自体かなり重たい政策ですから、そう簡単にできるものではない、努力しなければいけない。そっちへの努力が優先されるということだと思っています。あの金融所得課税については様々な議論もまだ存在しますんで政策をすすめながら議論を進めていくことは当然考えられるとは思いますが、優先順位は先ほど言ったような順位であると私思ってます。」

Q:自民党の税調の方ではこの理論はオープンに議論してことになるんでしょうか?

「もともとこういった議論がありました、いろんな議論は毎年続いているんだと思います。
どれを採用するか結果に結びつけるか、それは毎年毎年の議論の結果です。
私は今、政策の優先順位は先ほど言ったとおりを優先したいと思ってます。」

Q:分配どう実現?賃上げ促す具体策は?

「従来から似たような税制は存在しました。
企業でも新規の採用を行いますとそれに対して15%ですかの控除が行われる。
新規の採用、数をたくさん集めて賃金を膨らましたとしても一人一人の賃金では上がらないですから、もうストレートに一人一人と賃金をあげたならばそれを評価して優遇税制行う。
控除の率も15%ですと、全国合わせても1千億円程度の減税ですから、これはもっと思い切ってやらなければいけない。
税率を引き上げることによって、減税額を大きくしていく。
対象を一人一人の給料の引き上げに焦点を合わせ、なおかつ税率も引き上げる。
そういったことで多くの企業が1人1人の従業員の給料を引き上げるこういった方向にこの舵を切るそこ行ったことができないだろうかと思ってます。」

Q:看護師介護士等の業界の料金っての基本的に国が定めているわけでその公的な価格の引き上げていこうということですね?

「働きに比べて所得が少ないのではないかと言われている方々の給料。なおかつ国が決める賃金。
これを引き上げることを考えて言ったらどうかこんなことを申し上げてます。」

Q:この財源をどうするのかここも気になるとこ。

「財源は成長と分配、成長なくして分配はないわけです。
医療医療の市場今40兆円と言われています。
介護の市場が10兆円と言われています。
この市場自体をまず大きくすることを考えて、そしてそれをどう分配するか、検討委員会みたいなものを作って分配を考えていく。」

Q:消費税の引き上げのようなもので財源にしていくというお考えではないという理解でよろしいんですね?

「違います。税を引き上げることによって財源にするそういったことは想定していません。まず基本は成長、成長なくして分配なし。成長を実現してそれを分配することによって皆さんの給料を引き上げる。結果として消費が喚起される。そして消費がこの増えることによって、投資をしようとか研究開発をしようというようなことになる。つまりこの分配、消費が次の成長をまた引き出してくる。
成長なくして分配なし、分配なくして次の成長なしということで、この成長と分配の好循環作ることができるんではないか。
今、現実所得倍増ってなかなかこれは難しいと思うんですが、基本的な考え方、昭和の時代の所得倍増計画、あれはみんな貧しい社会の中で、みんなの給料をこの等しく引き上げる。
そのことによって消費を喚起する。
当時は三種の神器とか、新三種の神器とか電化製品とか爆発的に売れる。
そこにつながっていった。
そして経済の好循環が実現した令和においてもこれ同じこの理屈で、一部の人の所得を引き上げて、そしたら平均が上がるってんじゃなくて、皆さんの方の所得をできるだけ広く引き上げることによって、消費そして次の成長に繋げるとかって所得倍増と同じ理屈で今日の経済を回すことができないだろうか、これが基本的な考え方としてあります。」

Q:文藝春秋に財務次官の矢野さんがエッセイというのか論文を書かれましたよね。その中ではっきりおっしゃっておられるのは日本の債務の水準とは先進国の中でずば抜けて大きいと、タイタニックが氷山に向かってるようなもんだという話があります。それは今総理はおっしゃった成長と分配の理論、一方でこの財務省的に言うと財政の状況は厳しいからやはり増税を考えなきゃいけないというインプリケーションがあると思うんです。財務省に対して非常に理解を強くお持ちだから、矢野さんのご意見自身が岸田さんの胸の内を示してるんじゃないのかという見方もあるかと思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか?

「いやそんなことはないと思います。
私は財政というのは国の信頼の礎ですから、財政の健全化の旗は決して降ろしてはならないと思いますが、経済あっての財政ですからまずは順番を間違えてはならない。
まずはコロナ禍、緊急事態ですんで、人の命を守る、生活を守るために必要なものはしっかりとお金を使わなきゃいけない。
緊急事態だと思います。
しかしこの事態をなんとか乗り越えたとしても、いきなり財政の話をするんではなくして、まずは経済を動かしていくところから始める。
そして経済が回りだしたならば財政についても考えていく。
この順番を間違えると物事が回っていかなくなってしまう。
これを再三申し上げています。
財政、国の信頼として大切な要素ではありますが、かといって時が来たらいっぺんに借金を穴埋めするなんてことはこれできるわけではないわけですから、
時が来たならば財政を考える時が来たならば、これは将来に向けて日本はこの財政についてどういった考えを持っているのか、日本のこの政府の財政に対する考え方をしっかりとこの世界に示すことによって信頼を引き止めておく。
こういった姿勢が大事なのではないかとこの道筋、経済財政そして将来の信頼を考えていくことが現実であると私は思っています。」

Q:「成長」どう実現?経済安全保障の具体策は?

「日本の経済安全保障の考え方において、
大変重要な動きだと思っています。
半導体は我が国にとりまして大変重要なこの製品であり、それを国内においてしっかりとサプライチェーンという形で確保できるということ、これは経済安全保障にとって大変重要だと思います。
是非こういった取り組み、政府としてもしっかり支援をしたいという風に思いますし、これから経済対策を用意しようと思いますが、経済対策の中にもこういった動きを支援するといった内容を盛り込みたいと思ってます。」

Q:海外の企業であっても日本にこれだけ半導体をくださいねですとかそういったことが要請できるんでしょうか?

「国内においてサプライチェーンを完成させてしまうということが大事だと思っています。経済安全保障ってのは国内における自律性を完成させる。
そして海外において日本の製品の不可欠性、日本の製品でなければだめだというぐらいの信頼を得る。
この二つ自律性と不可欠性の二つが大事だと思ってます。」

Q:公明党の子供に10万円相当の支給はこれに賛成するかどうか?

「現金給付は私もあの行うべきだと思ってます。その範囲については今苦しんでおられる方々ということですので、重なる部分はあるんだと思います。
これから公明党の皆さんとも与党としての協議をして具体的に決めるということです。
ですからぜひ制度を作り上げるそういった意味でもあるとして○とさせてもらいました。
重なる部分あるいはそれ以外に加える部分があるかどうかも含めてぜひ協議して現金の給付これは実現したいと思ってます。」

Q:GoTo再開はどこで悩まれたんですか?

「経済回していく、通常の経済社会活動を取り戻すためにはワクチン接種とそれからの経口治療薬、口から飲める治療薬この二つが必須だと思っています。
これ二つ、世の中においてしっかりと普及させるには年内いっぱいかかるのではないか。
こういった事は言われています。
ですから年内にこれ動き出すということ動かすということについては状況をよく見た上で考えないとならないなというんで悩んだ。
この質問が年内ということだったの。
ワクチン接種証明とかあるいは陰性証明、こういったものを活用して安全な形で、かつてのGoToトラベル、中小零細の業者が潤わなかったということもありますので、中小零細業者のポイントをより深堀りする形で、中小零細の業者の方々にもこのシステムを享受してもらえるような工夫も必要なんじゃないかなと。
その辺をワクチン接種そして経口薬、経口治療薬の普及を進めながら様子を見ながら考えていかなければならない。」

Q:対面で会いたい外国首脳決めている丸と出されましたがズバリどなたですか?

「アメリカバイデン大統領。日本外交の基軸は日米同盟です。まずは日米で信頼関係を作る、これが基本だと思ってます。」

Q:衆議院議員選挙一週間前倒ししまして10月31日にしましたよね、G20がちょうどパッティングするわけですよね。

「重要な会議だと思いますが、この現状を考えますと、オンラインを活用しながら参加する道も考えていくべきではないかと思ってます。」

Q:バイデン大統領とローマで会えたはず?

「G20は国際会議ですから、バイ会談はその会議の合間を縫って日程を調整するということですんで、その辺の日程調整等も可能かどうか、行けば必ず会えるというものではないと思ってます。」

Q:G20サミットの後にCOP26ですよね、つまり温暖化の問題のルールづくりの場ではないですか、日本が欠席裁判になってしまう恐れありませんか?

「これもどういった形で参加するか、さまざまな工夫の中で日本の存在感発言力確保するべく努力します。今のところ何も決まってません。参加の仕方も含めて検討しております。」

Q:外務大臣の経験も長い岸田総理ですから外交はかなり重視していらっしゃるのかなと思ったんですけれども?

「当然です。だからこそ就任して一週間ですがクワッド、アメリカ、豪州、インド諸国全部と首脳電話会談行いましたし、ロシア・中国とも電話会談すでに済ませています。
今後も首脳電話会談、どんどんセットしたいと思ってます。
外交が大事だということ、今の条件の中で最大何ができるか、努力をしているこういったことです。
おっしゃるように対面が大事、私も外務大臣4年8ヶ月やりましたから、いかに大事かこれは十分認識しています。
しかしそれを補う形で何が出来るのか、しっかり考えていきたいと思ってます。」

Q:オリンピックの開会式閉会式出席したいかどうかこれも

「まだ何も決まっていないという意味で△を出したということです。
オリンピック・パラリンピックの精神に基づいて、平和の祭典が行われる事は期待したいと思っています。
ただ私が参加するしないは全く今決まっておりません。」

Q:台湾問題点をどのように認識していらっしゃいますか?

「台湾は人的交流あるいは経済関係において大変重要なパートナーであると思います。
そしてこの台湾海峡をめぐる問題についてはこれは当事者による平和的な解決、台湾による解決、これが基本であると思いますし、そうした努力をお願いしたいと思っています。
ただそうは言っても様々な展開が予想されるため、我が国としましてはどんな事態にも対応できる、そういった体制、法整備はしっかりしておかなければならないと思ってます。」

Q:どんなことを具体的に立てば防衛力も含めてお考えでしょうか?

「中国に対しては私たちが大事にしている普遍的な価値、自由民主主義、法の支配、人権、こういった価値を守るという観点から中国にも国際社会において、大国としてしっかり振る舞ってもらわなければならない。
こういった観点から物言ってかなければならないと思ってます。
そのためには我が国のみならず、こうした普遍的な価値を共有する同盟国同士国とも協力しながら中国に対して物事を言っていく。
こういったことは大事ですが、そもそも日本と中国隣国であり、経済的にも大変深い関係にあるわけですから、国と国との関係を安定させることはまず基本として大事ですが、一方で今言ったものを言っていく、こうした関係を維持していくのが大事だと思ってます。」

Q:人権問題担当の補佐官を設けるということもおっしゃっていましたけれども具体的に進んでいるんですか?

「補佐官人事はまだこれからではありますが、是非人権担当の補佐官を任命したいと思っています。
人権問題、国の内外において省庁の縦割りの範囲内に収まらない。
こうした重要な課題になってきてます。
それを横ぐしでしっかり見れる存在は大事だと思ってます。」

JR東の変電所火災
設備故障が原因か

埼玉県蕨市にあるJR東日本の変電所で昨日発生した火災を受け、警察と消防は今日現場に入り原因を調べました。
警察によりますと出火したのは変圧器などが収納されている鍵のかかった電気設備室だということです。
JR東日本は設備故障があったとみて詳しく調査を進めています。

米、アフガン支援を表明

アメリカ政府の代表団とアフガニスタンで暫定政権を樹立したイスラム主義組織タリバンによる会談がカタールで二日間にわたり行われ、アメリカがアフガニスタンに人道支援を提供することで合意したということです。
支援の具体的な内容は明らかになっていませんが、タリバンはこれを歓迎するとし、必要に応じて今後も会談を続ける意欲を示しました。

一億総中流社会を復活

岸田総理の所信表明演説に対する代表質問で、立憲民主党の枝野代表は総理が掲げる成長と分配の好循環は一般論に過ぎず、今の日本には当てはまらないと批判しました。
そのうえで、立憲民主党が政権を取った場合は格差を縮小して貧困を減らすことで消費拡大による経済成長を実現するとして、年収1千万円程度までを対象に1年間所得税を実質免除とする方針を表明しました。

中間層も含め10万円支給

共産党は次期衆議院選挙の公約を発表し、新型コロナウイルスで経済的な影響を受けた人々への支援策として、世帯年収1000万円に満たない中間層も含め、10万円の特別給付金を支給するとしました。
また、トリクルダウンからボトムアップへの転換を掲げ、最低賃金の時給1500円への引き上げや消費税率5%への減税などを盛り込みました。

リモート勤務の課題解決

バーチャル空間サービスを手がけるオビスは、リモート勤務中の人がオフィスにいる人と円滑なコミュニケーションを図れるという新サービスを公開しました。
360度カメラを操作してリモート環境に居ながらオフィスの様子を自由に見られる他、話したい相手にアバターを近づけて音声通話をすることも可能です。
来年3月以降のサービス開始を予定しています。

コロナ禍からの反転攻勢へ
HISが欧州で小売店を展開

こちらロンドンの中心部に新しい小売店がオープンしました。
実はこれ、大手旅行代理店HISの新規事業なんです。。
店舗で販売しているのは現地では手に入りづらい日本各地の特産品などで目玉は100銘柄以上用意した日本酒です。
製造工程や生産者をアピールし、将来日本へ生産地ツアーなどを計画する予定です。
この場所、旅行の販売窓口に使おうと新型コロナの感染拡大前の去年2月に月100万円以上の賃料で10年契約を結んでいました。
有効活用するために新事業として小売業を始めたのです。
今年に入りドイツのベルリンなどでも小売店をオープンしていて、今後はイタリアやフランスなどの大都市でも展開して、コロナ禍からの反転攻勢を狙います。

ノーベル経済学賞、米教授らに

今年のノーベル経済学賞には労働市場に関する分析で大きな貢献があったとして、カリフォルニア大学バークレー校のデイビット・カード教授などアメリカの大学の研究者3人が選ばれました。
カード氏などは自然実験という手法を使って、最低賃金や教育などが労働市場に与える影響を実証したことが評価されました。

アメリカ、初のコロナ飲み薬申請

アメリカの製薬大手メルクは開発していた新型コロナの軽症者向けの飲み薬モルヌピラビルについて、アメリカのFDA食品医薬品局に申請しました。
認められればコロナの飲み薬としては世界初となる見通しです。
日本政府も早期に承認する方針を示しています。

抗体カクテル療法予防にも

中外製薬は今日新型コロナウイルス感染症の軽症者向けの治療薬として、すでに承認されている抗体カクテル療法ロナプリーブの用途を拡大して、感染予防に使用することを厚生労働省に申請しました。
投与の方法が現在は点滴のみですが注射もできるようにあわせて申請しました。
厚生労働省は審査を簡略化する特例承認を適用する見通しです。

コロナ対応病院6.6億円の黒字

財務省の分科会は今日新型コロナ用の病床を確保した医療機関の収支について議論し、一般患者の受診歯科医などによる減収分を補助金が上回り、2020年度の平均収支は6億6000万円の黒字だったことがわかりました。
患者一人あたりの補助金が5900万円以上に登るケースもあり、財務省は補助金の費用対効果は検証する必要があるとしています。

エネオス再エネ大手を買収

石油元売り最大手のENEOSホールディングスは、再生可能エネルギー発電大手のジャパンリニューアブルエナジーをおよそ2000億円で買収すると発表しました。
世界的に脱炭素の動きが進む中、石油依存からの事業転換を加速させます。
ENEOSはクリーンな水素や合成燃料の実用化に取り組んでいて、将来は再生エネルギー電力で作った水素を供給したい考えです。

原油に供給不足の懸念
一時7年ぶりの高値

原油の価格が上昇しています。
WTIニューヨーク原油の先物の価格は11日の取引で、2014年10月以来およそ7年ぶりに1バレル82ドルに達しました。
経済の正常化が進む中、主な産油国が11月の生産量を据え置き、増産を見送ったことで原油の供給不足への懸念が広がってきています。
NY原油現在の値をご覧ください、現在は1バレル81ドル代の半ばということになっています。