2021/10/13(水) WBS(ワールドビジネスサテライト)

世界的な原油高が直撃
値上げに踏み切る現場は

都内のガソリンスタンド。
こちらのレギュラーガソリンの価格は159円。
先週から2円値上がりしました。
今日資源エネルギー庁が発表したレギュラーガソリンの全国平均価格は162円を超え6週連続で上昇しました。
これはおよそ7年ぶりの高値水準です。
このガソリンスタンドでも1年前の同じ時期と比べてもおよそ30円高いといいます。

原油価格の指標となるWTIニューヨーク原油先物は11日の取引でおよそ7年ぶりに1バレル82ドルに達するなど高騰が止まりません。
原油高の影響はこんなところにも。

東京や埼玉などに52店舗を展開しているクリーニング店アニカ。
例年この時期は衣替えシーズンで書き入れ時ですが、苦渋の決断をしました。

今月から価格を改定。
Yシャツだけでなく、ズボンやジャケット、セーターなども80円値上げに。
過去最高の上げ幅になります。

値上げに踏み切った理由の一つがクリーニング工場にありました。
皮脂による汚れなどを落とす時に使う石油系のクリーニング溶剤。
1ヶ月に使う量はおよそ130L。
この溶剤を再利用できる設備を導入するなどしていますが、クリーニング料金に転嫁せざるを得ないほど石油系溶剤の値段が上がってきているといいます。
またプレスする作業に使う蒸気を作るため、ガスのボイラーを使っていますがそのガスも原油高に連動し価格が上昇しています。

原油高でトマト農家も悲鳴
家計負担も大幅増

埼玉県北本市、特産品の北本トマトを栽培する加藤さんも原油価格の高騰に頭を痛めています。
その理由が暖房機。
「どのハウスにも最低1台暖房機が設置されていて、温度センサーで自動運転をするように設定してあります」

その燃料はA重油、ガソリン同様原料となる原油価格に比例して価格は上昇しています。
加藤さんは300坪ほどのビニールハウス3棟でトマトを栽培しています。
仮に燃料代が10円値上がりすれば、8万円から10万円余計に費用がかかります。
このまま燃料価格の高騰が続けば、利益が出ないことを理由に栽培をやめるの農家も出てくる可能性も。
その結果、生産量の減少によってトマトの価格が上がることも考えられます。

さらに値上がりしているのは燃料だけではありません。
ビニールハウスのビニールなども原油価格に大きく影響されています。

住友化学ではプラスチックの原材料の製造販売を行っています。
原材料は果物を包むフルーツキャップ、マヨネーズのボトルなどの日用品から自動車の内装まで広く使われていますが、長引く原油の高騰に耐え切れず値上げしました。

専門家は今年後半の原油価格が1バレル平均80ドルで推移すれば、今後一年間の家計負担は28000円増えると分析しています。

どうするエネルギーの安定供給
岸田新政権のキーマンに聞く

世界的に高騰が続く原油価格。
家庭向けの電気料金に上限を設けたり、低所得者の支払いを猶予したりするなど対応に動く国も出ています。
ヨーロッパ委員会は先ほど再生エネルギーの更なる活用促進や複数の国での天然ガスの購入を検討することなどを発表しました。
国境を越えて人と物が動く中、経済活動にとってかつてないほど重要になっているエネルギーの安定供給。

岸田政権はエネルギーや半導体など、重要品目の安定的な確保を担当する経済安全保障を担当大臣を新たに設置。
今回の価格高騰に日本政府はどう対応するのでしょうか。

小林経済安保担当大臣
「エネルギーについては原油に限らず、天然ガスも経済安全保障の一つだと私思ってます。
需要が高まって、ブレントもWTIもどんどこ上がってきてますから、そこについては非常に注視をしています。
備蓄のあり方も政府の中で検討してきてますけれども、本当に最悪のシナリオまで考えて、それで今の体制で本当に大丈夫なのかどうか、国民生活を守れるのかどうか、これはやっぱりしっかりと定期的に不断に見直しをしていく必要がある。」

半導体不足でiPhone減産も
経済安保の司令塔に直撃

Appleの最新機種iPhone13。
元々年内に世界で9000万台の生産を計画していましたが、
「1000万台ほどの減産になる見込みだ。」
ブルームバーグは複数の関係者の話として、半導体不足によって減産となると伝えています。
Appleは今のところこれについてコメントはしていません。

一方こちらは都内にあるカー用品店。
ここでも半導体不足が影を落とします。
オートバックスの店舗ではカーナビゲーションに中心に影響を受けています。

こちらの店ではそれぞれ20種類ほどあるカーナビとカーオーディオが半導体不足の影響で現在1種類以外すべて品切れ状態です。
トヨタやホンダなどの半導体不足を理由に一部の車種の生産停止などを発表しています。

私たちの生活に大きな影響を及ぼす半導体不足。
この危機をどう乗り越えるのでしょうか。

その舵取りを任されたのが岸田内閣で新設された経済安全保障担当大臣で46歳の小林氏。
日本の半導体産業を瀬戸際と表現した小林大臣。
半導体産業は1980年代は日本企業が世界を席巻しましたが、今はアメリカや台湾に大きく水をあけられています。

こうした中注目されているのが、半導体の受託生産で世界トップのシェアを持つ台湾のTSMCの日本への誘致です。
今は先端半導体の供給網の中で日本の存在感は低いですが、TSMCの交渉を日本に誘致すると日本も中で存在感を示すことができ、半導体を優先的に確保できる可能性があります。

ソニーと合同で熊本県に工場を進出させる計画で、建設などの費用は8000億円程度。
日本政府は誘致のため、半分の4000億円程度を補正予算にのせ負担する方針です。

今夜岸田総理大臣は小林大臣も出席するNSC国家安全保障会議を開催。
TSMC誘致について議論したとみられ、近く公表する方針です。

小林大臣は海外の半導体企業を誘致する以外にも日本の半導体生産能力の向上が経済安全保障にとって欠かせないと訴えます。

「他の国との連携は当然考えていかなければいけないんですけども、その中でどうしても落ちてしまった日本の半導体産業の力をまだ技術も人も残っている。そこをしっかりとこの先時間をかけても将来の今再生につなげていくためには、やはり先端の半導体を国内で製造する拠点は必ず必要だと思っています。」

半導体不足が深刻となるなか、アメリカは既に半導体製造の支援のため、5.7兆円の予算を当てる方向で動き始めています。

「それなりの規模で支援していかないと日本の半導体産業の再生という所にはなかなか結びついていかないんじゃないかと。
20年かかるかもしれないけれども、もう1回世界のど真ん中に日本の半導体産業を持っていく。
私はそういう思いを今持っています。」

深刻な半導体不足
重要性増す経済安全保障

原田さん
元々半導体は産業のコメといわれていましたが、今もっと進んで産業の基盤とか心臓とか言われるくらい。
人工知能も自動運転も、とにかく半導体の塊ですから、これがないといけない。
ただ現時点で言うと日本メーカーの解はほとんどないので、巨額の投資を負担できるなそういう企業がないんですよね日本には。

TSMC、サムスン韓国ですね、インテルはアメリカ。
ハイエンドから一応下まで全部カバーできると。
日本はどこにいるかって言ったら、ミドルレンジからローエンド。

例えば自動車の半導体とか家電の半導体をやっている。
今回のTSMCはミドルレンジのところの多分半導体の工場になるんじゃないかと言われてます。

半導体工場がないと日本が優位性を持つ素材メーカーなどが海外に行ってしまうんですから、まず引き止めることが大事と。
空洞化を止めると。
その先は、省電力型の半導体をどう開発するか、日本のメーカーの強さ弱さ分析して、うまいやり方を考えて欲しい。

ホンダ、中国初自社ブランドEV
今後5年で10車種投入へ

ホンダは今日中国で初めて自社ブランドのEV電気自動車を投入することを発表しました。

ホンダが発表したのは中国初の自社ブランドEV。
e:Nシリーズ。
来年春に発売するモデルがe:NS1とe:NP1。

中国の電池大手catlと共同で開発したバッテリーを搭載し1回のフル充電で走る距離は500km以上と日本で販売するEVより大幅に伸びました。
今回日本のメディアで唯一車に乗ることができました。

「運転席に座ってみましたスピードメーターは完全な液晶パネルですし、ここにもですね大きな液晶パネルが鎮座しています。」

ドライバーが話しかけると、様々な情報を画面や音声を通して入手することができます。
これまでの自動車開発で培った技術が至る所に生かされている新型EV。
なぜ今競争が激しい中国市場に投入するのでしょうか。

本田技研工業 井上中国本部長
「中国はEVが一般的になってます。日本より遥かに台数が多いし、お客さんのニーズも非常に高いものがあります。
目の肥えた中国のお客様たちが、これはホンダらしい、言っていただけるものに対するこだわりを徹底的に入れてます。
中国で勝って、中国のお客様に認めていただける車であれば世界で認められると。」

2030年以降中国で新たに投入するモデルを全てEVなどの電動モデルにすることを明らかにしているホンダ。
今後5年間でEVを10車種投入し、世界各国への輸出を予定しています。

「私たちの想像をはるかに超えるスピードで競合もお客様も規制についても全て動いてますのでこのスピードに乗り遅れないように。
本当に大変なことと思ってます。ただそれをやらないとこれから電動メーカーとしてのホンダの将来がないと思ってます。」

NY老舗ステーキ店上陸
コロナ下での開業に密着

9月中旬東京恵比寿。
開店準備の仕上げ中のピータールーガー
トラックから次々降ろされる箱の中身はアメリカイリノイ州から空輸された牛肉の塊。
この日届いたのは2.5トン。
ニューヨークの本家ピータールーガーが選び抜いた最上級のプライムビーフです。
ピータールーガーではこの肉を4週間以上、湿度や温度などを管理する特別の部屋で熟成させてからステーキにします。
レストランは3階建て、吹き抜けのダイニングに7つの個室。
206席の超大型店です。
店を仕切るのは支配人の横溝さん。

コロナの影響で企業の接待需要はしばらく見込めません。
そこで当初計画にはなかったテイクアウトやデリバリーで店の売り上げを少しでも伸ばそうと横溝さんは考えていました。

店の一角にある販売コーナー。
熟成肉を使用した持ち帰り用ハンバーガーやステーキ用の生肉などを販売する予定です。

緊急事態宣言の最中、10月のオープンにむけ予約は入るのか。
オープンから3ヶ月先まで予約が埋まったのです。

9月下旬、肉を寝かせ始めてからおよそ4週間。
表面が黒ずんできました。
熟成が進んだ証拠です。

熟成具合をチェックするためこの日試食してみることに。
900度まで上がるオーブンでじっくりと焼き上げます。

フィレとサーロインの両方が味わえるティーボーンステーキ。
2人前22000円。

本場ニューヨークの味を再現できているのか。
さらに熟成させることになりました。
ピータールーガーの味を知る客をがっかりさせるわけにはいきません。

全国で緊急事態宣言が解除された10月1日。
この日は正式開業前のテスト営業の初日。
客に初めてステーキを提供します。

社員アルバイト合わせて総勢130人のスタッフで、巨大ステーキハウスを運営します。
初日の客はグループ企業の社員およそ90人。
キッチンでは次々に肉が焼かれていきます。

まずは順調な第一歩を踏み出しました。
迎える明日の正式開業から勝負が始まります。

輸送時のCO2排出量を表示
日通が新たなサービス開始へ

日本通運が明日からホームページ上で提供するサービスでは顧客が荷物の発着地や個数などを入力すると、トラック便や航空便などその輸送方法に応じて二酸化炭素の排出量を算出して表示します。
配送にかかる日数なども表示され、顧客は最適な輸送方法を選ぶことができると言います。
サービスの利用料金は無料です。
企業活動などでの二酸化炭素の排出量を正確、かつ簡単に把握したいというニーズに応えたもので、日通ではこれらのサービスを通じてさらなる顧客獲得につなげたい考えです。

国際課税ルール合意を確認

G20、20の国と地域の財務相中央銀行総裁会議がまもなくワシントンで開幕します。
日本からは日銀の黒田総裁や財務省の神田財務官が出席し、136の国と地域で合意したおよそ100年ぶりの国際的な課税ルールの見直しについてG20の閣僚レベルで確認します。
GAFAをはじめとした巨大IT企業などの税逃れを防ぐためのデジタル課税の創設や、各国共通で15%の最低法人税率を導入することが柱です。
また会議では原油や天然ガスの価格上昇などによって、インフレ懸念が高まっている世界経済の現状について、各国で対応を検討して日本時間明日未明に共同声明を採択する見通しです。

中国輸出28%増、予想上回る

中国の税関当局が今日、発表した貿易統計によりますと9月の輸出は1年前に比べて28.1%増加し3057億ドル。
日本円で34兆7000億円となりました。
全国的な電力不足で工場などの生産削減が懸念されていましたが、スマーフォンなどの電子機器や自動車が牽引し市場予想を上回る伸びとなりました。

携帯価格、代理店が自由に設定

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話大手3社は今日、販売代理店がスマートフォンなどの端末の販売価格を自由に設定できるように取引条件を改善したと発表しました。
公正取引委員会からの要請を受けた見直しで今後、端末価格の値下げが進む可能性があります。

仲介数、ギネス世界記録に

M&A仲介大手の日本M&Aセンターの去年の仲介件数がギネス世界記録に認定されました。
コロナ禍で事業を見直す企業が増える中、年間783件のM&Aを仲介しました。
M&Aの仲介件数で日本企業がギネス世界記録に認定されるのは初めてです。

アメリカアップル18日に発表会

アメリカのAppleは現地28日の午前10時からオンライン発表会を開くと発表しました。
アップルからの案内状にはパワー全開との言葉が添えられています。
発表会の詳細については明らかになっていませんが、現地メディアによりますとノート型パソコンMacBookProの最新機種などが公表される可能性が指摘されています。

1億総中流復活目指す

立憲民主党は個人年収が1千万円程度までの人を対象とした一年間の所得税の税率免除や、時限的な消費税率の5%への減税などを柱とする次期衆議院選挙の公約を発表しました。
一億総中流社会の復活を目指すとしていて富裕層や巨大企業には応分の税負担を求めることも盛り込んでいます。

アメリカ物価上昇高水準続く
エネルギー、家賃など影響

世界的なインフレが懸念されている中、先ほどアメリカの9月の消費者物価指数が発表され1年前と比べて5.4%のプラスとなりました。
5%を超えるのは5ヶ月連続でインフレの圧力が続いていることを示しました。
内訳を見てみますと原油価格の上昇を受けてエネルギー価格が大きく上昇、全体を押し上げました。
半導体不足で需要が増している中古車トラックも大きく上昇したほか、住宅価格の上昇を受けている家賃の項目が上昇しています。

価格の変動が激しい食品とエネルギーを除いたコア指数も4.0%のプラスと高い水準です。
前の月と比べても0.4%のプラスと伸び率は拡大していて足元でも物価の上昇が加速しています。

発表を受けた市場の反応ですけれどもアメリカの長期金利を見てみますと、インフレの加速でアメリカの利上げが意識されまして1時1.59%まで上がる場面もあったんですけれども、現在は低下し1.54%。
円相場は113円の30銭から40銭となっています。

アメリカ消費者物価5.4%増
為替への影響は

原田さん
構造的にやっぱり原油高とか半導体不足ってすぐに治らないです。
高止まり着くんじゃないでしょうかね。
注目すべきは中国やヨーロッパで起きてるエネルギーショックと通貨の関係。
資源を輸入している国、あるいはユーロ、ここが今弱い。
アメリカはドルですけれど、資源今輸出国ですからこれがドル高につながっている。
ドルと一蓮托生だった円が一人で円安の方向に歩き始めたという状況だと思います。
日本はエネルギーを海外に8割も依存している国ですから、そこが為替市場で評価をされてるんじゃないかな。

トレたま:折り紙の食器

File-5404

まずは切り取り線に沿って食器となる型を取り出します。
あとは型にある筋に合わせて折り紙のように折っていくのですが、折るだけだとすぐに広がってしまって食器になりません。
紙を織り込むことで広がらない食器ができました。

紙食器はカップとお皿そしてどんぶりの3種類です。
そこでそれぞれの食器に料理を盛り付けてみました。

紙には穴や切れ込みがないので液漏れはしません。
また耐熱加工のため熱くならず、撥水加工も施されていて水で洗って使うこともできます。
災害時やキャンプなどに役立ちそうですよね。

beak(5枚セット)
450円前後

経済安保、部署も受けた企業
国に求める新制度とは

経済安全保障の対策へ政府が本格的に動き始める中、すでに専門の部署を設けている企業があります。
家電大手の三菱電機。

こちらの部署は去年10月に設立。
主にアメリカと中国の輸出管理政策を分析しています。
両国の対立による制裁などで自社製品の製造や輸出に影響が出た場合、すぐに対応できるように準備を進めています。

政府への要望の一つとしてあげるのが
「セキュリティクリアンスの制度だとか、秘密特許的な制度は早く整備をしてもらいたい。」

セキュリティクリアランスとは安全保障などに関わる機密情報の取扱いを認められた人に限定する制度。
欧米などでは企業が国の重要な情報を扱う場合、このセキュリティクリアランスの資格を持つ人だけが情報を扱うことができます。
日本ではまだこの制度はありません。

こうした制度を整備することで民間にも転用可能な重要技術を製品開発に活かせるようになれと言います。

動き出す経済安全保障
企業の対応は

原田さん

技術が盗まれるスパイのリスクだとか、サイバーアタックをされるリスクとか、セキュリティクリアランスの制度っていうのが日本にないって問題があるんですよね。
機密に接する資格があるかどうかをチェックする、それにはコストもかかるんですけれど資格証明があれば欧米の政府に絡む仕事の分野で広がっていくと。
企業は積極的に政府に働きかけるべきだと思います。

三菱電機は早い。
他の会社そんなにないんですよね。
そういう意味で時代は変わって情報戦、インテリジェンスの時代になってる。
なのでサイバー攻撃含めて、技術の流出に神経尖らせられている。
ここが非常に重要になってます。