2021/10/7(木) WBS(ワールドビジネスサテライト)

ローソン5000店改装
店舗改革で冷凍食品2倍

コンビニ大手2社の今年8月までの半年の決算が発表されました。

本業のもうけを示す営業利益はセブン&アイホールディングスは1年前に比べて3.6%。
ローソンは60%増えました。
ただ新型コロナウイルスが流行する前と比べてみると大きく減ったままです。
コロナで様変わりした消費者のニーズをつかむためのコンビニ改革の現場を取材しました。

東京都三鷹市にあるこちらのローソン
コロナ禍の不況を打開すべく大々的な改装を行ったと言います。

店内の厨房で作った弁当はコロナ禍で需要を増やし、売上が去年の3倍近くに伸びたといます。
コロナ禍で特に需要が伸びたものといえば冷凍食品。
冷凍食品の売り場を一気に拡大。
品揃えを2倍以上に増やしました。

さらに客と店員の接触をなるべく減らすため、電子レンジやコーヒーマシンもセルフ型を導入しました。
コロナ禍で変化するニーズに対応した店作りはローソンにとって最優先の課題になっていて、決算発表の場で竹増社長は今年度内に5000店舗改装する方針を示しました。

竹増社長
「コロナ前と同じ商売をしているようだと今の店舗数でもなかなか維持していくのは難しいと思います。立地、お店、どのようなお客様にご利用いただいているのか、そういうことによって店舗を理想形にしていこう、その町のお客様にとって最も使いやすい、最も便利だいう形の店舗に変えていこう。」

セブンに静岡おでん
地産地消、地域独自の店づくり

withコロナ時代の新たなコンビニの形を模索しているのはローソンだけではありません。
セブンイレブンが今月発売した新商品に新たな戦略の鍵があるといいます。

セブンイレブンでは静岡市と連携協定を結び、地元の名産品を使った商品を開発。
ラインナップは地元のブランド牛肉するが牛のおにぎりに、濃口醤油の黒いスープが特徴の静岡おでん。
そして静岡茶を使ったシュークリームです。

これらの商品を販売するのは静岡市内を中心とした158店舗のみ。
実はセブンイレブンではコロナ以降こうした地元の食材を使ったオリジナル商品をその地域限定で販売する地産地消の取り組みを強化しています。

一体何故なのでしょうか。

「コロナの関係で売り先のホテルとかお客さん来ないとお肉も出てこないので需要が減り、肉がだぶついて価格が下がってしまった。売り上げは4割減。」
こう語るのはセブンイレブンのおにぎりの具として採用されたするが牛を育てる畜産農家の勝山さん。
県の品評会で最優秀賞を受賞するなどを高く評価されていましたがコロナで販路が縮小していました。

セブンイレブンは地域と連携し行き場を失っていた地元の名産品を活用した商品を開発することで生産者を支援。
さらに店にとっても地域の特色を出すことはwithコロナ時代を生き抜く上で重要だと思います。

コンビニ決算底打ちの兆し
規模から質へ転換加速

これまでのコンビニというのは出店数を増やすことで成長してきましたが、人手不足なのでそれも難しくなっているということで、各社は店舗の質をたかめることで一店舗あたりの売上を増やす動きというのを加速させているということです。

メルカリでトマト販売
ネットショップ出店支援のワケ

今日開かれたメルカリの発表会。
メルカリといえば、個人間で売り買いするフリマアプリが主力。
しかし今日から始めた新サービスメルカリショップスではメルカリアプリの中に自分のお店を開くことができます。
販売手数料は10%かかりますが初期費用や月々の利用料などはかかりません。
農家や老舗の商店など小規模な事業者が出店しやすくしているのです。

7月のプレオープンの段階からサービスに参加しているのが岐阜県でトマト農家を営む石垣拓さん。
これまでは地元のJAなどに商品を卸していましたが販路を広げる方法をずっと模索し続けていたと言います。

メルカリショップスに出店し反響が大きかった商品が、品質には問題はないものの形が悪く多少の傷がある訳あり品。
訳あり品を一般的な市場で販売しようとすると2kgで400円ほどで買い取られますがメルカリでは1800円で販売。
送料などを引くと850円ほどが手元に残ります。
市場に出す場合の2倍以上です。

今後は地方自治体と手を組み、更なる事業展開を進めます。

米中高官、異例の6時間会談
年内にオンライン首脳会談へ

アメリカと中国の高官がスイスで会談し両首脳が年内にオンライン形式で会談することで合意しました。
注目されていました対面での首脳会談はひとまず見送られた形です。

およそ6時間にわたって行われたアメリカのサリバン大統領補佐官と中国の外交トップ楊潔篪共産党政治局員との会談。
アメリカ側は人権や香港をめぐる問題について懸念を表明。
中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入するなど懸念が高まる台湾情勢については、現状を一方的に変更しようとするあらゆる試みに反対すると強調しました。

一方中国側はアメリカに内政干渉を止めるよう要求しましたが、同時に米中の対立は世界に深刻な損害をもたらすとして緊張状態の回避が重要だと指摘したということです。

会談後、アメリカ政府高官はバイデン大統領と習主席が年内にオンラインで会談を行うことで合意したと明らかにしました。
アメリカ側が模索していた今月下旬のG20サミットでの会談は見送られましたが、意思疎通の場を維持することを重視した形です。

米中韓の火種の一つとなっている台湾では今日、蔡英文総統がフランスのリシャール元国防大臣などと会談。
台湾の国際機関への参加を支持する決議案を可決したことに感謝を伝えました。
蔡英文総統はまたオーストラリアのアボット元首相とも今日会談、国際社会との連携をアピールする狙いがあるとみられます。

高まる米中の軍事的緊張
今後の注目点は

原田さん
年内と言いつつ具体的な時期は決まってません。
6時間高官が話してるわけですから相当激しくやったんじゃないんでしょうかね。

台湾問題ですね。ここがポイントなんだと思うんですよ。
アメリカにとっての最大の懸念っていうのは中国による台湾の武力統一。

ロシアがクリミア併合した時がソチの冬季五輪の後だったもんですから、その連想から北京の来年2月の冬季五輪の後を心配する声が結構あるんですよね。
各国台湾を舞台にいろんな動きが出てると。

バイデン政権は発足直後から対中包囲網を作る。
その成果の一つが出てきた。
アメリカとイギリスとそれからオーストラリア。
アボットさんが行きましたけれど、今こういう対中安保枠組みが新しくできた。

フランスは元国防大臣がそのリーダーで台湾を訪れた。
このミラージュという戦闘機を台湾に納入してて軍事的な結びつきがあるんですね。

来年の秋、中国は習近平国家主席は3期目の党大会を迎える。
一方バイデンさんは中間選挙で重要な時期を迎える。
その節目の前に偶発的なリスクが起きないよう首脳会談していただきたい。

うどんだけじゃない
トリドール海外戦略に密着

中国深セン。
ショッピングモールでランチタイムにひときわ賑わっている店が。
ライスヌードル専門店タムジャイ。
6種類のスープに20種類以上の豊富なトッピングの組み合わせ、自分好みにオーダーメイドできるのが特徴。
一番人気の麻辣スープ。
タムジャイは香港生まれのヌードルチェーン。
150店舗を展開していますが、今年4月に中国大陸へ初めて進出しました。

実はこのタムジャイ。
トリドールが2018年に買収し傘下に収めたブランド。
この日東京の本社で粟田社長が香港と結んで会議をしていたのは統括する子会社のトップです。

世界一ヌードルカンパニーへ
海外4000店計画のカギは

実はこのタムジャイこそトリドールにとって海外の4000店計画のカギを握る会社。

タムジャイを香港市場に上場させる計画が話し合われていました。
上場で市場から調達した資金をもとに、巨大な中国市場に打って出る戦略。
将来的にはタムジャイだけで世界1000店以上を見込んでいます。

実はトリドールは丸亀製麺以外にも国内外で20以上のブランドを展開。
複数のブランドの新規出店と、さらなるM&Aで海外4000店を目指しています。
なぜ今海外展開を強化するのでしょうか

トリドールHD 粟田社長
「この日本の市場っていうのは八方ふさがり的な感じがあったのも事実。しかし海外っていうのはまだまだ人口も増えてますし、市場そのものが成長していってる。チャレンジするにはふさわしいは市場かな。」

粟田社長が海外拡大へ舵を切る転機となったのがロンドンでの失敗と成功です。
7月、丸亀製麺イギリス1号店をオープン。
初日には1時間待ちの行列ができるほど話題に。
しかし、このロンドン進出、実は1年前に一度断念した苦い経験があります。
出店場所の確保に苦戦し撤退を決めた。

一方、この頃同じロンドンでその後の戦略を変えるヌードルチェーンと新たに巡り合ったという。

中華鍋を使い客の目の前で調理。
フライドヌードルを提供するWOK TO WALKです。
好みに合わせて麺やトッピングを選ぶスタイルとこのパフォーマンスに見せられて客がやってきます。

2015年ウォックトゥウォークを買収。
海外の飲食チェーンの買収は初めてでした。
その成功をきっかけに日本から人や資金を送り、海外展開を進めるこれまでのスタイルを止めて、現地企業とパートナーを組んで任せるスタイルに転換しました。

こちらは世界の飲食チェーンの店舗数ランキング。
サブウェイの41000店を筆頭に有名ブランドがずらりと並びますが日本生まれのチェーンは一つもありません。

そして今日、トリドールは世界に挑む第一歩を踏み出しました。
香港とライブで行われたのが上場セレモニーです。
あのタムジャイが香港市場に上場を果たし150億円を調達。
海外4000店計画が本格的に始まります。

コロナで増えるM&A
テーマパーク休業で打撃

コロナで経営が苦しくなった中小企業が生き残りを図るためにM&A企業の買収合併を選ぶ事例が増えています。
中小企業のM&Aの件数ですが右肩上がりでそれに伴って仲介を手掛ける業者も急増しているんです。
M&A仲介会社の業界団体が設立されました。

埼玉県春日部市にある創業71年の菓子メーカー三州製菓。
やきせんべいやパスタを油で揚げたフライパスタスナックなどが主力製品です。
三州製菓はOEM受託製造でテーマパークや観光地のブランド商品を製造。
売り上げの半分を占める主力事業です。

しかし新型コロナの感染拡大でテーマパークや観光地などからの受注が激減。
コロナ前の2019年6月末にはおよそ30億円あった売上が去年はおよそ17億円まで落ち込みました。

そこで今年7月、M&Aの道を選択。
広島県にある洋菓子メーカーの子会社になりました。
M&A成立後、三代目社長に就任した斉之平社長は
「私の祖父の代から創業して一族経営でやってきたので、M&Aすることで社員が不安になるんじゃないかと。コロナの状況がいつまで続くのかっていうのが先の読めない状況でしたので、資本業務提携(M&A)っていうのがベストだと最終的には結論に至った。」

今回のM&Aの成立にはある仲介業者が関わっていました。
実は今M&Aの仲介業者が急増しています。

M&A業者約1000件増
業界団体が品質向上へ

中小企業庁に登録されたM&Aの仲介や支援を手掛ける業者は2253件。
そのうち2020年以降に設立された業者が1000件以上あり全体の4割以上です。
専門の企業以外に税理士や公認会計士なども手掛けています。

こうしたなか、今日都内で開かれたのがM&Aの仲介を手掛ける上場企業5社が中心となり、業界団体を設立したと発表しました。
代表理事を務める日本エムアンドエーセンターの三宅社長は。
「ベーシックな秘密保持をどうやってやっていくか、買収監査をしてリスクを洗い出して正しい契約書の草案を作っていくようなことが必要です。非常に難しい仕事なんですね。」
またモラルの低い業者がいるとも指摘します。

コロナの影響が長期化する中今後もM&A市場は広がると見ていて、業界団体を通じて品質やモラルの向上を目指すとしています。

活況のM&A
成否のカギは雇用

原田さん

農業にも似てるんですが構造問題が3つある。
一つは後継者難。
二つは零細経営。
三つ目はe-commerceとかの環境変化。

経営者がやっぱり平均年齢62.5歳まで上がってると。
それとともに旧廃業や解散件数が増えてるんですね。

アンケート調査の結果なんですけれど、従業員の雇用維持っていうのがやっぱり一番多いんですね。
もちろん後継者の問題とかそういう理由もあるんですけれど、従業員を守りたいという気持ちが多いと。

Q:事業再生に必要なことというのは何なんでしょうか?

右から左に仲介をして会社を売るということで済まない。
経営者を見つけ出して、それで事業改革をして、デジタル化とかeコマースまでやると。
本来地方銀行などそういう信頼できる相手にならなくちゃいけないんですけれど今回の試みにも期待をしたいですね。