WBS 2021/4/29(木)

アメリカ1-3月期、GDPが好調
回復のカギはワクチンとマスク

アメリカの1月から3月期のGDP速報値が発表され6.4%のプラスとなりました。
ワクチンに接種が済んだことで確実に経済が回復していることを示す数字となりました。
足踏みを続ける日本経済とは対称的なアメリカの経済実態はどうなんでしょうか。
ニューヨークにいる西野さんに伝えてもらいます。

私は今ニューヨークマンハッタンの中心部にありますタイムズスクエアに来ています。
ここに立って街の変化を最も大きく感じるのはその音と匂いです。
車が絶え間なく走っていまして、近くの工事現場からは工事の音も聞こえます。
そしてレストランからは食べ物の美味しそうな匂いが漂ってきています。
現在朝の9時を回ったところでして今通勤する人でしょうか、その姿もとても多いですね。
賑やかなニューヨークが戻ってきた印象です。
新型コロナの感染が拡大した去年の3月がこの辺りひっそりとしていますのしていましたので景気回復の鮮明さをひしひしと肌で感じています。

1月から3月の実質GDP国内総生産の速報値にも現れています。
年率換算で6.4%のプラスで前の期の4.3%から加速しました。
牽引役となったのはGDPの7割近くを占める個人消費でこちらは10.7%と大きく増加しました。
設備投資も9.9%、住宅投資も10.8%伸びました。
アメリカが1月から3月期の決算発表シーズンを迎えていますが、こちらも好調です。
Googleの親会社alphabetは過去最高益、アップルとFacebookの純利益は1年前と比べおよそ2倍となりました。
ここまで決算を発表した企業のうち86%が市場予想を上回る決算は発表しています。

アメリカでワクチン接種は完了した人が人口のおよそ3割に達しています。
私も30日に2回目の接種を完了する予定となっています。
ワクチン接種が進み経済活動が再開した実態が今回のGDPにも反映された形と言えそうです。

27日にはアメリカの当局がマスク制限を緩和する指針を発表。
ニューヨークでマスクは外している人はまだほとんど見かけません。
実際に少人数で屋外で集まる時や運動する時など限った状況で緩和されている状態です。

ニューヨーク市長は7月には経済の正常化を目指すとの意向を示しています。
経済活動の再開これからも加速していきそうです。

東京新たに1027人感染
1日12万件、PCR検査ロボ

トラックに運ばれ京都大学医学部附属病院に運ばれたおよそ12メートルのコンテナ。
川崎重工業の施設を訪ねました。

まるで工場のラインのように作業するのは2台のロボット。
これを使えばその数を飛躍的に飲ませるといいます。
採取した唾液を入れた容器の蓋を開けるロボに、熟練した検査技師に変わって検査の前段階の準備をするロボ。
決められた容量の試薬を調合するのも全てロボットの役割。
わずか80分で判定します。
ロボットを使った全自動の検査システムは世界的にも珍しいと言います。
川崎重工は今後検査を受託するサービスを本格展開に乗り出します。

すでに複数の自治体や空港などと交渉を始めています。
川崎重工は今年度中に第50機ほどの稼働を見込んでいて最大で1日22万件を超える検査体制を目指します。

GW初日人の流れは?

ゴールデンウィーク初日の今日、東京浅草の雷門周辺は多くの店舗が休業していることもあり人通りはまばら。
渋谷では1回目の緊急事態宣言中だった去年の4月の平均と比べると人手が10%ほど増えています。
午後3時、電光掲示板に表示された今日の東京都の新規感染者数は1027人、1000人を上回ったのは1月28日以来3ヶ月ぶりです。
大阪府では過去最多となる44人の死亡が明らかになっています。

交通機関は今日、のぞみ号の自由席の乗車率は60%にとどまりました。
羽田空港でも目立った混雑は見られませんでした。

観光に新需要予習旅とは

2回目となるステイホームのゴールデンウィーク。
打撃を受けている旅行業界で今、この一年間の参加者が7万人を突破したという注目のサービスがあります。
HISのオンラインツアー、旅行に行けない代わりに参加する人が多かったと言いますが、最近ではコロナ後の旅行に備えた予習旅としての需要が高まっているのです。
最も人気なのがこの世界一周ライブツアー。
人気の5都市を現地にいるガイドが15分ずつ生中継で案内してくれるのが特徴です。

今日行われたツアーには120人ほどが参加。
参加者がチャットに書き込んだ感想や質問に現地ガイドが答える形式のため、まるで実際のツアーに参加しているような雰囲気です。

実際に旅をすると移動だけで70時間かかるツアーですが、オンラインなら1時間半。
料金は2500円からで、追加料金を払えばお土産も受け取れます。
1200種類以上あるツアーの中にはインドの有名占い師に占ってもらうツアーまであります。

急増の家庭用冷凍食品
外食チェーン次の柱に

コロナ前2019年の冷凍食品の出荷額のグラフ。
これまでは家で調理する家庭用よりも飲食店向けの業務用の方が多かったんです。

コロナ禍の去年は家庭用が業務用を調査開始以来初めて上回りました。
急拡大する家庭用の市場を狙って新たな冷凍食品が続々登場しています。

東京足立区のスーパー。
訪れた客が購入していたのは冷凍食品。
このスーパーでは夕食のメインにもなる商品が人気です。
餃子は去年よりもおよそ2割、シュウマイは6割ほど売り上げが伸びました。
去年の冷凍食品の出荷額は巣ごもり需要によって家庭用が19%増えた一方で、業務用は外食を控える動きが広がり14%減少とコロナの影響が鮮明に現れました。

苦境に局面する外食業界では持ち帰りの冷凍食品に活路を見出そうとする動きも。
東京世田谷区にあるこちらのレストラン。

ズラッと並ぶ冷凍食品、ファミリーレストランなどを展開するロイヤルホールディングスが販売している家庭用の冷凍食品です。
「昨年の1-3月の売上に対しまして、10-12月が6.6倍に伸長しております」
一番人気はエビやチキンが入ったコスモドリアで530円。
ロイヤルホールディングスでは今後さらに家庭用冷凍食品に力を入れていく考えです。

独自技術で販路拡大へ
日本酒・すしも冷凍

拡大する家庭用の市場を狙い新たなタイプの店も登場しています。
他にもソーセージやフレンチトースト、さらには日本酒まで珍しい冷凍食品が並びます。
こちらは冷凍食品のみを扱う専門店です。

冷凍機械メーカーが立ち上げたこの店、特殊な冷凍技術を使っています。
機械の中に入っているのは-30度のアルコールです。
投入から1分足らず。
冷凍庫のように空気で凍らせる場合よりもおよそ20倍早く冷凍できるといいます。
急速冷凍により食材の細胞を傷つけずに凍る前に近い状態を保つことができるため、お寿司も。

今後は店舗数を増やすと共に、飲食店が自分たちで冷凍食品を作れるようにする装置も開発するといいます。

アメリカは再び動き始めた
バイデン氏3つのCを強調

29日に政権発足から100日を迎えるのを前に行われたバイデン大統領の施政方針演説。
オバマ元大統領の時、後ろには当時副大統領を務めていたバイデン大統領の姿が。
今回演説したバイデン氏の後ろにはハリス副大統領、ペロシ下院議長と史上初めて女性2人が並びました。
今日の演説で強調したのは、3つのCでした。
1つ目は新型コロナウイルスへの対応です。
新型コロナへの対応や追加経済対策での成果をアピールしたバイデン氏。
ワクチン接種が進むがアメリカ国内での直近の一日当たりの新規感染者数はおよそ54000人。
バイデン氏が大統領に就任した1月20日当時から7割も減少しています。

続いてバイデン氏が力を込めたのが覇権争いを続ける中国(China)について。
バイデン氏は中国の習近平国家主席の名前に複数回言及。
中国がアメリカを急速に追い上げている都市次世代の技術で優位に立たなければならないと対抗する姿勢を鮮明にしました。

そして3つ目のCが気候変動(Cimate change)。

演説で気候という言葉を使った回数は全部で7回と1934年のフランクリンルーズベルト大統領以降の演説で最多に。
環境分野で国際的なリーダーシップを図る狙いがあるとみられます。
さらに気候変動対策を通じてアメリカ国内に新たな雇用を生み出し成長戦略とする考えを強調。
気候変動対策を含めたインフラ投資家教育の拡充などの成長戦略に総額4兆ドルおよそ430兆円規模を投じ、経済の再生を図るねらいです。

バイデン政権100日
環境政策に揺れる町

ただその環境政策の転換を巡り、戸惑う人たちもいます。
アメリカ北東部にあるペンシルベニア州。
ピッツバーグ郊外にある人口9000人ほどのこの街を訪れてみると、シェールガスが採掘されてます。
地下深くに存在する天然ガス、シェールガスを掘り出す施設があちこちに。
ペンシルベニア州は生産量が1900億立方メートルと日本の一年間の天然ガス消費量を遥かに上回るシェールガスの一大産地。
2010年代のシェール革命と呼ばれたこの資源でアメリカはエネルギー大国に転身しました。

町中心部に広がる工業団地にもエネルギー関連企業の看板が目立ちます。
そのペンシルベニアが今、バイデン政権の方針に揺れています。
気候変動対策としてシェールガスの掘削が制限されるおそれがあるというのです。

シールガスを掘り出す技術フラッキングでは地下深くにあるシェール層にパイプを通し砂や化学物質を混ぜた水を高圧で送り込みます。
地層にひびを生じさせ、閉じ込められた天然資源を取り出す仕組みです。
民主党などの左派議員は掘削に使われるエネルギーの多さやシェールガスのメタンガスの温室効果が二酸化炭素を上回ることなどから、シェールガスは気候変動対策にならないと全国でフラッキングを禁じるよう政権に求めています。
実は大統領選でも争点の一つとなっていました。
否定していたバイデン大統領ですが、就任後ほどなくして国有地での新たなフラッキングの申請について承認を一時取り止める大統領令を出しました。
現在の天然ガス事業には影響を与えないものの、住民からは地域経済への影響を危ぶむ声が。

かつて石炭や鉄鉱の町として栄え、その後不景気に苦しんだペンシルベニア。
新たな産業で収入雇用を取り戻しただけに、再び活気を失うことにならないか地元の経済団体も危機感を持っています。

バイデン政権100日何点?

滝田さん

430兆円の財政支出をサポートしてくれと議会に対して政策を売り込んだというのが内容のポイントだと思います。
つまりトランプ大統領以上に政策のセールスマンという色彩が強いんじゃないですかね。
グリーンの政策、環境政策なんですけども、その売り込みの材料として雇用を作るんだって事言ってるここに注目したいと思いますね。
この100日間と言うのを考えてみると今のアメリカの状況は完全に国論二分してますからどんな頑張っても5~60点だと思うんですよね。
ところがワクチンの接種でコロナをかなり抑えて経済を再活性化してるという点で下駄を履かせて70点の及第点にはなるかと思います。

ただし、実際にバイデン大統領の今回の演説を聞いてどう評価するかって声なんですけれども、これはアメリカのCNNの視聴者調査。
トランプ大統領の時の好感度よりも今回大きく下回っている。
CNNは民主党寄りのはずですが、バイデン大統領の演説には一種のずるさを有権者ってか視聴者が見抜いたからだと思うんです。

ズバリ雇用と言っても、労働組合のことを向いた発言があったということなんですよね。
今組合の組織率ってアメリカで大体2割を下回ってますから、僕たちのことを本当に考えてるのかという非組合員の一般の世論がそういうふうに感じ取ったとしても不思議じゃないと思うんです。

高級戸建てブランド登場
3億円の全容は

2階建てで延べ床面積は283平方メートル。
建物だけでおよそ3億円という超高級住宅です。
およそ50畳のリビングダイニングは全長15Mのガラス貼り。
鉄筋コンクリートと木造を組み合わせ柱を減らしたのが特徴です。
坪単価は165万円からと通常の2倍以上。
内装は全てオーダーメイドです。

新型コロナの影響もあって2020年度の住宅着工戸数は前の年度に比べ8.1%減少。
大和ハウス工業が手がける5千万円以上の高級住宅では着工件数が20%増えています。

新型コロナ関連ニュース

今日新たに感染が確認された人の数は5918人でした。
亡くなった人は78人でした。
ワクチン接種の回数は祝日のため発表はありません。

工場を一時停止します。
スズキは感染が急拡大しているインドにある三つの工場で生産を一時停止することを決めました。
インドでは医療用酸素が不足していてスズキは自動車の生産に使われる工業用の酸素を医療に回すため工場の停止を決めたということです。
停止期間は来月1日から9日間です。

ドイツやロシアなどから医療用の酸素などが届き、各国がインドへの支援を強化しています。
ただインドでは今日の朝までの24時間におよそ38万人が新たに感染し、過去最多を更新するなど患者を受け入れられない医療崩壊の状況の改善の見通しが立っていません。

そのインドで老夫婦が希望を与えました。
インドの西部の都市で新型コロナに感染していた105歳と95歳の夫婦が治療を受けて回復しました。
夫婦の息子は二人の回復は人々に明るい希望と自信を与えるだろうと話しています。
インドでは昨日死者が20万人を超えています。

GAFA決算好調も異例発言
アメリカ経済はフロス

日本時間のきょう未明発表されたAppleの決算。
iPhone12が販売を伸ばし、純利益は1年前の2.1倍となりました。
さらにFacebookも純利益がほぼ倍増。
Googleを傘下に持つアルファベットも四半期ベースで過去最高の純利益を叩き出しました。
新型コロナで社会のデジタル化が進んだことを背景にGAFAの好調ぶりが目立ちます。
景気の回復が加速するアメリカ。
下支えしているのは市場に出回る資金を増やす空前の金融緩和です。
株価は史上最高値圏が続いていて、実態を超えたバブルではないかとの懸念も指摘されています。
それでも金融政策を担うFRB連邦準備制度理事会のパウエル議長は当面緩和を続ける方針を強調。

しかし気になる発言が。
「フロス」とは細かい泡のこと。
バブルのように大きく弾けるリスクは低いものの、相場が加熱している状況を示す言葉です。
パウエル議長が資産価格の上昇を認めるのは異例。
今後の金融政策にどう影響するのでしょうか。

パウエル氏フロスとは

滝田さん

リーマンショック前なんですけれども当時のFRB議長だったグリーンスパンさんはアメリカの住宅事情についてフロスという表現を使ってたんですよね。
ところが実際バブルだったわけですよね。

バブルと言っても実体経済が好調な時にユーフォリアって言うんですけど、みんな幸せな気分になると大前提ですよね。
今のアメリカそんな感じだと思うんですよね。
そうした中で金融の蛇口やひらきっぱなしにしてるわけですから、非常にお金が膨らんでいろんなとこ行きやすいという、そういう構図はリーマン前と同じだと言って良いと思います。
パウエルさんはそのことは誰にもよくわかってるんですけど、やっぱアメリカのFRBは雇用の最大化が使命ですから、なかなか閉めづらいとこだと思いますよ。

中国宇宙ステーション打ち上げ

中国は今日独自の宇宙ステーション研究の中核部分の打ち上げに成功しました。
有人宇宙船など相次いで打ち上げドッキングさせ2022年の運用開始を目指します。
日本やアメリカ、ロシアなどが参加するISS、国際宇宙ステーションには中国は参加していません。
中国が独自のステーション建設で宇宙でもアメリカに対抗していく構えです。

三菱航空機99%減資

三菱重工業傘下の三菱航空機が1350億円あった資本金を99%減らし5億円としたことがわかりました。
資本準備金1350億円も取り崩して0にしました。
国産初のジェット旅客機スペースジェット事業で膨らんだ損失の穴埋めに充てた形です。
スペースジェットを巡っては納期を6度延期した上で去年10月に事業が凍結されました。

集団免疫獲得への道のりは

滝田さん

野村総研が試算したんですけれども、大体5割から7割の摂取が必要だと言われてきたんですけれども、実際の年齢や人々の活動状況を加味して試算すると大体4~5割ということになるわけです。
だいぶ変わってくるんですね。
実際アメリカ・イギリスの状況でだいぶ新規の感染が減ってきてるという結果もあり、日本でも実際の状況を確認して接種を急ぐというのが正しいアプローチのような気がしますがどうでしょうか。
前向きの発想がすごく重要だと僕は思います。