WBS 2019/9/27(金)

原発マネーが還流か。関電と地元。

なんとも歯切れの悪い会見だった
高浜原発をめぐり、会長や社長を含む関西電力幹部20人が3億2千万円をある人物から受け取っていたことがわかった。
その人物が森山栄治氏。
1977年から10年間、高浜町のナンバー2である助役、今でいう副町長を務め原発誘致に深く関わった人物。
助役を引退後も関電との関わりが深く、地元の有力者として有名だったが今年3月に亡くなった。

不透明な金銭のやり取りがあったのは、福島第一原発で事故が起きた2011年からの7年間だった。
当時電力会社は原発施設への補強工事などに追われ、関西電力は高浜町の建設会社に少なくとも25億円を発注。
関西電力と結びつきが強かった森山氏にこの建設会社から工事受注の手数料が渡り、その後3億2千万円分の金品が中元やお歳暮などの名目で関連幹部20人に渡っていたのだ。
我々の電気代を原資とする巨額な金品が還流し、関電幹部の懐に入った形。

返すつもりだったと説明した岩根社長。
岩根社長は不適切だが違法とまではいかないとし辞任を否定。
自身を含め複数を処分したと言うがその詳細は明かしていない。
関西電力の株価は前の日と比べ一時8%下落。

一方高浜町の野瀬町長は33年前に退院された方で詳細について知る由もないとコメント。
今回判明した不正は氷山の一角なのか。全容解明にはまだまだ時間がかかりそうだ。

関電幹部ら多額受領。
原発への逆風に。

滝田さん
一連の資金の流れを考えてみると、とても個人情報だというような言い方は通用しないと思います。
謝るだけで済むような話でもないと思います。
この問題は日本のエネルギー政策全体にも影を落としかねない問題に発展していく可能性がある。

今実際に動いてる原子力発電所は日本で現在六つしかない。
その3つは関西電力で、その関西電力が揺れてるわけです。
しかも関電の社長の岩根さんは、原子力政策を含めた問題について議論する電気事業連合会の会長も務めている。
関電のトップが非常に不安定な状況にあるということは今後の原子力発電に逆風が一段と強まるということは十分考えられると思います。

デザイナーズホテル開業。
注目は格安。斬新。そして。

大阪通天閣から程近い場所にオープンするホテル ヨロベース
値段はシングルで一泊3500円からという安さです。
こちらのホテル一部屋一部屋デザインが異なるという。
日本の注目アーティスト100人がデザインを手がけました。
メインターゲットは外国人観光客です。
レストランは広いスペースを取り世界各国の料理が味わえます。

実はこのホテルもう一つの顔があります。
受付係やレストランで働く人。従業員の98%が外国人。

このホテル、外国人が日本で働くためのスキルが学べるトレーニング施設でもあるのです。
南海電鉄が開業したこの施設。運営するのはベンチャー企業のヨロジャパンです。
外国人を雇いたい企業と国内にいる留学生などの働きたい外国人とをマッチングさせるサイトを運営している企業です。
ここで外国人は働きながらホテルや飲食業の実務経験を積むことができます。
時給も1000円以上と周辺の水準と変わりません。

これまで企業は外国人を雇いたくても語学力やスキルが実務レベルに達しておらず、採用に結びつかないケースが多くありましたが、ここでトレーニングすることでこういったミスマッチを解消するのが狙いです。

さらにこちらで開かれていたのは日本語講座。
働いてる人達は無料で受けることができます。
ここまでして人材を育成しようとする背景にあるのが、今年4月もっと外国人の人材を活用できるように新たに作られた特定技能という在留資格。
この資格を取った外国人はアルバイトだけでなく正社員としても日本で働くことが可能になります。
ここではこの資格取得のサポートも行います。

米中貿易戦争 水面下の兆しに密着

アメリカ中西部のノースダコタ州。
大豆やトウモロコシなどの生産地として知られる場所です。
大豆の収穫シーズンを間近に控えた今月中旬。ある異変が。
地域で生産された穀物を買い取るカントリーエレベーターと呼ばれる集荷施設。
ここに持ち込まれたのは、まだ収穫が始まっていないはずの大豆。

実は去年収穫された大豆が今取引されているのです。

集荷施設の担当者
「国際的に大豆の需要がなかったため農家が在庫として持ち続けていた」

去年の7月、中国がアメリカ産の大豆に報復関税を課して以来、中国向けの輸出がおよそ半分に減ってしまっています。

余った大豆を心配そうに見つめているのがアメリカ大豆輸出協会の副会長モンテピーターソンさんです。
曾祖父の代からノースダコタ州で農家を営み大豆やトウモロコシを育てています。
37年間に渡り中国に大豆を輸出してきました。

中国向けの大豆輸出が減ったことで、販売価格が大幅に下落したことも悩ませていました。

モンテ・ピーターソン副会長
「1ブッシェル(約27キロ)あたり7ドル6セントから7ドル75セントだった。その価格では生産コストを吸収できず赤字になってしまう」

貿易戦争が本格化した去年6月半ばから大豆のシカゴ先物相場が急落。
価格は1~2割ほど下落したまま推移し回復していないのです。

「中国市場は大きすぎて無かったことにはできない。購入額が大幅に減った今でも中国は最大の購入者。1年以上にわたる米中協議で何一つ合意できないことにいら立っている。」

ところが今週に入り中国側に変化の兆しが。
中国がアメリカ産の大豆を時間をおよそ60万トン購入したとロイター通信が報じたのです。
その真意を探るべくピーターソンさんが向かったのは中国の南部にある南寧市。

家畜の餌として大豆などを扱う中国のバイヤーが一同に会し、マーケットの動向を話し合う会議が開かれています。
中国側にはアメリカ産の大豆を必要としている事情がありました。
中国では輸入した大豆は主に食用油を取るために使われ、残った大豆カスが豚などの餌として使われています。
そのためこれから収穫が始まるアメリカ産大豆の輸入が欠かせないと言います。

こうした国内の事情もあるのかこの会議の主催者はアメリカ産大豆の大量購入はすでに始まっていて、米中通商協議が再開される10月10日までにおよそ600万トンを購入するとの見方を示したのです。
中国商務省の報道官も昨日、中国企業が相当な規模の大豆と豚肉をアメリカから購入したことを表明。
しかも契約した大豆と豚肉を追加関税の対象外にすると述べ歩み寄りの姿勢をアピールしました。

アメリカ中西部で大豆の収穫が始まる10月。
アメリカの農家が待ち望む米中の合意は見られるのでしょうか。

五輪チケット人気競技も対象。
不正IDで1億8000万円分購入。

大会組織委員会によると5月に行ったオリンピックチケットの1次抽選販売で、虚偽の個人情報で取得された疑いのあるはIDがおよそ3万件見つかりました。
このうち1200件が当選し、不正に購入されたチケットは人気の高い協議を含むおよそ6900枚。
金額は1億8千万円に及びます。
不正購入はグループで組織的に行われていると見られ、海外からのアクセスの可能性もあると言います。
組織委員会は不正が確認された時点でチケットを無効にし、代金の払い戻しもしない方針です。

JDI再建に不透明感。
立て直すのかつぶすのか。

ジャパンディスプレイが開いた臨時の株主総会。
集まった株主からは
「とりあえず会社を立て直すのか。もう二つに一つだと思うんだよね」
「最初っから1/10ぐらいになっちゃって、もうだめかな」

ジャパンディスプレイは昨日金融支援を受けるはずだった中国のファンドが支援の枠組みから離脱すると発表。
臨時総会の中で新たに社長に就任した菊岡氏は、みなさまに混乱を招いたことをお詫びすると謝罪しました。

2014年に上場したジャパンディスプレイ。

一時は836円にまで上昇した株価も27日の終値は60円。

ジャパンディスプレイは株主に対して当面の資金繰りについては目処が立っていると説明。
総会後、菊岡氏を直撃しました。

「一定程度資金調達が遅れた場合でも資金繰りに対して問題がない。顧客から一定のサポートを得られる確約を得ております。心配ない」

THE行列:間借りの本格カレー

東京新宿にある新宿ゴールデン街。
およそ280店の小さな店がひしめき合う飲食街。
夜は眠らない街だが昼は夜の賑わいが嘘のようにひっそりとしている。
そんな人気のない昼のゴールデン街に行列。

12時。店がオープンした。並んでいた客が入ると7席しかない小さな店内はあっという間にいっぱい。
南インドカレーの専門店およそ3年前にオープンしたエピタフカレー。
SNSなどの口コミで広がり、新宿ということもあり平日はサラリーマン客も多いという。
店内で挽いた挽きたてのスパイスを使うことで香りひきたつカレーにするのがこだわりだ。
カレーは定番の豚肉のカレーや季節限定のメニューなど様々。
2種類のルーのあいがけも1000円で楽しめる。

客を虜にするカレーを作るのは店主の佐藤さん。
実はカレー作りは独学。この店を開く前に3週間インドへ渡航。
現地のレシピを学んだという。開店してからわずか2時間で閉店。

実はこの店、夜はバーとして営業している。
佐藤さん元々はこちらのバーの従業員。
カレー店を開く夢をバーのオーナーに伝えたところ賛同してくれたため、昼の時間に間借りすることに。
資金がなくても間借りならコンロや流し台を使わせてもらえるため初期費用を10万円ほどで気軽に店を始められたそうだ。
まずは間借りスタイルで店を始めて3年、行列ができる店に成長した。
新たな目標は脱間借り。

日本宇宙ベンチャー。
混迷続くイギリスになぜ?

イギリスウェールズの国際展示場。
エントランスにあったのは巨大な月のオブジェ。
開かれたイギリス最大の宇宙産業イベントの会場。
様々な技術を持った宇宙ベンチャーが集まった。

日本の折り紙の参考にした構造でアンテナや遠征に使う折りたためる素材を開発した。
発射の時にはコンパクトなまま。宇宙空間で広げることができる。
実は今、イギリス政府は宇宙産業の支援に積極的で、法整備や規制緩和で企業の成長環境を整えている。
しかし、1ヶ月後に迫ったEU離脱、ブレグジットの影響が気になるところ。

イギリス宇宙庁 グラハム・ターノック長官
「問題ありません。我々は欧州宇宙機関の一員だが、EUの枠組みとは関係ない。EU離脱の影響は限られたものになる。問題よりむしろチャンス。離脱で様々な変化が起きる。我々はもっと外の経済圏に目を向けたい。日本ともっと働きたい。新興国とも何かできる。」

海上にできた人だかりの中心にいたのはアストロスケールの岡田さん。
おととしイギリスに現地法人を立ち上げた。
ブレグジットが決まったあとのことだ。
売り込んだのは衛星を使って過去のロケットなど宇宙のゴミ、デブリを回収するという独自の技術。
来年にはこれを宇宙へ飛ばす計画。

今後民間の宇宙利用が進めば、国やロケット業者がデブリの回収に多額のお金を払うはずだと言う。
既に日本の投資家から150億円以上調達した。
実はアストロスケールがイギリスでのビジネスに力を入れるのには明確な理由がある。

アストロスケール 岡田CEO
「宇宙で何か活動しようと思うと許可がいります。宇宙のゴミを除去するという衛星の動きっていうのは我々が初めてなので、その許可をどこの国がくれるのか苦労してた。イギリス政府が許可を出すといってくれたのが大きかった」

イギリスでは宇宙ベンチャーが年々増加。岡田さんはそうしたベンチャーと自ら交渉し、提携を決めている。

そしてこちらがアストロスケールの衛星のコントロールセンター。
一般的な衛星よりはるかに複雑な動きをするというデブリ回収衛星を最新のシステムを使って制御する。
この拠点で来年に迫った衛星打ち上げに向けて着々と準備を進めている。
特にこのエリアには宇宙ベンチャーが90社も集積。
ブレグジットの不安を上回る魅力があるのだという。

対話継続も主張は平行線

茂木外務大臣は26日、訪問先のニューヨークで就任後初めて韓国のカンギョンファ外相と会談し、日韓関係の改善に向け閣僚レベルを含めた外交当局間の対話を続ける方針で一致しました。
元徴用工問題や輸出管理の強化、韓国によるジーソミア軍事情報包括保護協定の破棄通告については双方の主張を繰り返すに止まりました。

韓国向けフッ化水素の輸出ゼロ

財務省が発表した8月の品目別の貿易統計によりますと半導体の洗浄に使用するフッ化水素の韓国向け輸出は数量と金額が共に0でした。
7月から輸出管理を強化した影響が統計上で裏打ちされた形です。
一方ビールの輸出額が前の月に比べて92.2%減少しました。
韓国国内で起きた不買運動が影響したとみられます。

日EU インフラ協力強化を強調

安倍総理大臣はベルギーの首都ブリュッセルで開かれたヨーロッパとアジアの関係強化について話し合うフォーラムで講演し、日本とEUヨーロッパ連合がの高いインフラ整備で協力する必要性を強調しました。
中国が巨大経済圏構想である一帯一路を通じ、ヨーロッパで影響力を拡大していることを牽制した形です。

トヨタがスバルに追加出資

トヨタ自動車はスバルに追加出資する新たな資本業務提携に合意したと発表しました。
トヨタは出資比率を現場のおよそ17%から20%以上に引き上げ、スバルを経営の影響力が強まる持ち分法適用会社にします。
スバルのトヨタグループ化を加速させ、自動運転などの次世代技術開発を強化したい考えです。

パートの厚生年金 拡大で一致

厚生労働省は年金と年金の制度改正に関する本格的な議論をスタートしました。
パートなど短時間労働者への厚生年金を拡大するため、従業員501人以上と定めた加入の要件を引き下げることで一致しました。
半分を負担する経営側の委員は、事業者への負担増は無視できないとして中小企業への支援を求めました。

燃料規制・自動運転。
日本自動車で対抗。

滝田さん
トヨタはジャイアントなんですけれども、一社だけで解決できない問題いっぱいあるじゃないですか。
例えば2025年にEUの燃費規制。すごいきつい規制が出てくるんですよね。
自動走行の分野だとGoogleなんかが殴り込みかけてくる。
日本の自動車メーカーをトヨタファミリーにして、強いところを補い合うような仕組みを作るんだと思うんです。
今回の資本参加だけではなくて、海外のメーカーに対しても今後かなり出資出てくると思いますね。

来月米中貿易協議。
香港が重しに。

滝田さん
アメリカと中国の通商協議来月の10日に再開されるということなんですが、そこに影を落としている問題がある。
香港問題なんですよね。

今アメリカの議会で、香港人権民主主義法が25日に、アメリカの上下院、外交委員会で全会一致で可決された。
どういう法案かと言うと、一国二制度、香港の自治を守るべきだと。
それを仮に中国が侵害した場合には制裁を科す。とそういうきつい内容のものなんです。
今後、本会議で議決されるわけですけど、おそらく可決される可能性が高い。
そうすると、次はトランプさんということになり、トランプさんがサインすると法律として成立する。
中国側がこの法案に相当神経をとがらしている。これが現状なんです。
トランプ大統領としてもこれに署名すれば新たなカードが手に入るわけ。
けれども貿易交渉が滞る可能性があります。
非常に難しい判断になると思います。