WBS 2020/6/1(月)

米抗議デモ 略奪や放火も
コロナからの経済再開黄信号

31日にはタイムズスクエアも抗議デモの参加者で埋め尽くされました。
平和的なデモの参加者が多い一方で、全米で起きているデモの中には一部が暴徒化し、略奪や放火をしてしまうケースが相次いでいます。
企業は店舗や従業員の安全確保のため営業の中止や、木の板で防御するといった対応に追われているんです。
こうした事態を受け、中西部の州シカゴでは3日に予定していた経済活動の一部再開の延期を検討するとしています。
ここニューヨークでは来週8日にようやく建設業や製造業の一部が再開するんですが、まさに経済が再び動き出そうとする目前で抗議デモに火が付いた形です。
抗議デモは今日で7日目を迎えますが、収束する気配はなく、アメリカ経済の再稼働にも影響を与えるという懸念が高まっています。

米抗議デモ コロナ不満も
外出禁止令40以上の都市で

抗議活動は今アメリカ各地に広がっています。
街のいたるところから炎が上がっているのは首都ワシントンDCです。
激化の一途を辿る市民と警察の衝突。
その発端となったのは、25日ミネソタ州で白人の警察官に取り押さえられた黒人男性ジョージフロイドさん。
武器は持っていませんでしたが首を強く抑えつけられ、搬送先の病院で死亡しました。

この事件を受け、黒人差別だと抗議する声が全米に広がっています。
抗議活動はこれまで75以上の都市で行われ、40以上の都市で夜間の外出禁止令も。
ニューヨークマンハッタンの中心タイムズスクエアも抗議する人達で埋め尽くされました。

これまでに一連の抗議活動で逮捕されたのは4000人以上。
抗議の声がここまで広がった背景は新型コロナとを無関係ではありません。
世界を襲った新型コロナウイルス。
週末にはわずか1日でこれまでで最も多い13万人が世界で新たに感染しました。
アメリカは世界で最も多い179万人が感染。
そのうち10万人以上がなくなっています。

中でも黒人層は白人の2倍以上となっています。
貧困層を中心に十分な医療が受けられなかった人が多かったものとみられます。

新型コロナで溜まった不満が白人警官による黒人への暴行事件をきっかけに、一気に噴き出した形です。
ようやく動き出そうとしていた経済活動にも暗い影を落とします。

略奪などを防ぐため、小売り大手のターゲットやウォルマートなどは、31日全米各地で数百店に及ぶ店舗を閉鎖したことを明らかにしました。

米抗議デモ 人種問題だけでなく
トランプ政権への不満噴出

トランプ大統領はデモが始まった際、一時ホワイトハウスの地下シェルターに避難したと報じられています。
大統領はデモの参加者が暴徒化したことについて、極左集団の仕業だとしてテロリスト集団に指定すると宣言。
徹底抗戦の構えです。
さらに最新のツイートでは、民主党の大統領候補者指名を確実にしたバイデン前副大統領が極左集団に支えられていると投稿しています。

ただ今回のデモの参加者たちを見ていますと、若い人たちが多く人種も分け隔てなくいて、人種差別への抗議として始まったデモですが、むしろ社会格差や社会不安、そしてトランプ大統領への不満に怒りの矛先が向かっているように見えます。
デモ隊の落書きには「金持ちは死ね」や「資本主義は殺人だ」さらに「トランプはくたばれ」などと書かれています。
新型コロナで溜まった社会不安が噴出したともいえる今回の抗議デモ。

さらなる感染拡大を引き起こしかねない状態。
秋の大統領選で再選を目指すトランプ大統領にとっては、まさに逆風の状態で今後抗議活動、さらには新型コロナを収束できるのかその対応が問われています。

社会不安、コロナも背景に

滝田さん

非常に悩ましいのはデモと暴力行為というのは一線を引かなきゃいけないんですけど、それが難しくなっている。
まず黒人男性の死亡事件ですね。
それに対して抗議デモが広がったわけですね。
ブラックライブズマター、黒人だって同じなんだっていう意味ですよね。
ところがその一部で、暴徒化の動きが起きてしまってるということだと思います。
その結果として、ミネソタ州知事のウォルツさんが、暴力沙汰は黒人の死亡事件と無関係なんだってことを強調して、州兵の動員や夜間外出禁止を打ち出してるというようなところに今のアメリカの現状はあると思います。

行き場を失った人たちが平和的なデモではなくて、暴力行為の方に走ってしまうということになると、極めて悪循環と言わざるを得ないんですよね。
コロナの収束が見込めなくなる一方で、経済の再開が難しくなると黒人とかヒスパニックという少数派の人が苦しむ。
この辺に今のアメリカの矛盾があると思います。

経済活動再開課題は

今日、幅広い業種の休業要請を解除するステップ2に移行した東京都。
およそ2ヶ月ぶりに再会した後の教習所では今日の予約は満席。
1日で200人以上の人が訪れました。

密室になる車内には、窓を開けて車内は換気をし、指導員にはマスクやフェイスシールドに加え、手袋の着用を義務化。
教習を受ける生徒の中で、希望する人にはビニール手袋を配布するなど感染防止対策を徹底しています。
今後も新しい生活様式を意識して、利用者にサービスを提供していきますが、従業員の働き方には課題があるといいます。

「テレワークというのがちょっとできない業種でありますので、今後色んな教習所とちょっと話し合いながら考えていかなければいけない大きな課題だと思っております」

こちらも今日から再開した映画館。
座席や手すりに抗菌加工を施すなど感染予防策を強化。
さらには、さいの目状態で販売をしている状況です。
初日の今日客はまばらですが、最大でこれまでの50%に抑えているため、営業すればするほど赤字状態だと言います。

その他、商業施設の渋谷109や東急プラザでは、従業員がマスクとベースシールドを着用し、再開。

経済活動再開 感染予防に2000万円

また都内の展示施設では、世界最大級の屋内型ミニチュア展示場スモールワールズTOKYO
当初4月の開業予定でしたが、コロナが直撃。
一度も客を入れないまま延期になっていました。
全面開業を前に、試験的に施設をあけました。

施設の入り口には、空港の保安検査場を参考にディフェンダーXというシステムとサーモグラフィーの二つを導入。
人が発する振動を測定し不審者を検知できるというシステムを導入。
発熱など体調不良を隠しての入場を未然に食い止めます。

ホロライトというライト。写真を撮られる際に、2メートル離れて待ってくださいということで明かりを灯している。

こうした感染予防の設備投資は2000万円ほどかかったと言います。
そんなスモールワールズは新たな試みも始めています。

それは施設の一角の貸し出しです。
行われていたのはコロナ対策のため製品だけが並ぶ新しい形の展示会。
訪れたバイヤーは現物を手に取りながら、オンラインで出展者と商談を行います。

実はこの展示会、新型コロナの影響で仕事がなくなったイベント設営に関わる職人たちを救うために実験的に開催されました。

きょう解禁 面接もオンライン

今日政府が定める解禁日を迎えたのが企業の採用面接です。
ここにも新型コロナの影響が。

三井物産では感染拡大のため採用選考の一部をオンライン形式に切り替えました。
オンラインでも学生の考え方や能力はある程度判断できると見ていますが、現場では課題も。

「対面だとノックして入ってくるときの学生のリアルな姿が手に取るように分かるの」

例年と大きく様変わりした採用活動ですが、
「3000人以上の面接をこなした結果、問題なければ来年もオンライン面接を導入することもあり得る」

学校再開 北九州市は

休業要請の緩和ではステップ1だった学校ですが、都立の学校は今日およそ3ヶ月ぶりの再会を迎えました。
分散登校が始まりました。

一足先に学校が再開されていた北九州市ではクラスター発生の疑いが持たれています。
市内の小学校では同じクラスの児童5人が新型コロナウイルスに感染。
北九州市では今日も新たに16人の感染が確認されました。

新型コロナ関連ニュース

日本国内の感染者数は37人増え16889人となりました。
回復した人の数は43人増え14487人となっています。
亡くなった人の数は2人増え900人となりました。

マスクの着用を強く呼びかけています。
空港では今日から搭乗客にマスクの着用を強く要請しています。
着用しない場合は搭乗を断ることもあるということです。
全日空では搭乗ゲート前に乗客同士が感覚を取るための目印を設置し、搭乗前の消毒も呼びかけています。

入国制限緩和の検討に入りました。
政府は新規感染者数の減少が続いているタイ・ベトナム・オーストラリア・ニュージーランドの4カ国からの入国制限を緩和する検討に入りました。
現在日本は111の国と地域に対し入国制限の措置をとっていますが、政府高官によりますと、この4カ国のビジネス関係者などに限り、入国制限を緩和する方向で協議していくということです。

一万人規模で調査します。
厚生労働省は新型コロナウイルスに感染歴があるかどうかを調べる抗体検査を東京都と宮城県で始めました。
3日からは大阪府でも実施し、あわせておよそ1万人を調査します。
症状が出なかった人を含め、感染の広がりの実態を推定する狙いです。

オリエンタルランドは東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの休園期間を延長すると発表しました。
運営準備などが整った段階で再開日を決めるとしています。
一方ユニバーサルスタジオジャパンは8日からおよそ3ヶ月ぶりに営業を再開することを明らかにしました。

アメリカ政府は新型コロナウイルス感染症の予防や治療のためとして、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン200万回分をブラジルに送りました。
WHO世界保健機関は先月下旬、副作用の懸念からこの薬の国際的知見を停止していますが、両国は共同で臨床試験も実施するということです。

花火にコロナ終息の願いを込めました。
今日午後8時ごろ東京などを全国各地で花火が一斉に打ち上がりました。
コロナの影響で隅田川花火大会など花火大会の中止決定が相次ぐ中、花火を見て笑顔になってもらおうと、全国の花火事業者が企画しました。
3密を避けるため打ち上げ場所は非公表で行いました。

独占日本コロナ新薬開発
武田薬品の秘策とは

アメリカユタ州に住むマットさん。
3月に新型コロナウイルスに感染しました。

感染した時のマットさん、咳き込み、胸を押さえて苦しんでいます。
2週間以上家族と隔離され、自宅で療養を続けました。

回復後、彼が向かったのは地元の血液センター。
アメリカでは今、回復した患者から血液を集める活動が始まっています。
採取されたのは血しょうと呼ばれる血液の成分。
実はこの血しょうが世界中で新薬の開発につながると注目されているのです。

日本で血しょうに目を付けたのが武田薬品工業
4月下旬、緊急事態宣言の最中、オフィスに行ってきた男性の姿が。

武田薬品の柏谷さん。
新型コロナの治療薬を作る特命プロジェクトのメンバーです。
この日は会社にある資料を使い、血しょうの確保の状況について話します。

コロナウイルスに感染すると多くの人がウイルスと戦う抗体を体内で獲得します。
武田薬品は回復患者の血液を採取。
この抗体を含んだ血しょうを世界中から集めます。

こちらがアメリカで採取された実際の血しょうです。
血液から赤血球を除いているため、色は薄い黄色です。
この集めた血しょうから抗体を取り出し、治療薬を作ろうというのです。
生産はアメリカの工場。
去年およそ6兆円で買収したアイルランドの製薬会社の施設です。
社運を賭けた一大プロジェクト、買収の成果も問われています。

実は武田は今回、治療薬の開発のスピードを上げるため世界のライバルメーカーにも共同開発を呼びかけています。
患者のために今は利益を度外視しているといいます。

先月15日、柏谷さんはある場所に向かっていました。
医療機関で新薬の安全性などを確認する治験ができないか相談に来たのです。

そしてプロジェクトに大きな進展が。
「治験薬の製造が米国の工場で始まりました」

治療薬の鍵を握る血しょうがアメリカの工場に集まってきました。
武田はまずは治験用の薬を生産。
来月から日米欧で治験を始め、安全性や効果を確認して行くとしています。

武田薬品工業 ウェバー社長兼CEO
「日本が迅速な承認プロセスを取るなら、年末までに患者に使ってもらえます。どれだけ頑張っても年末です。数量は最初は限定的になります」

武田が総力を挙げて挑む治療薬。
新型コロナを制圧できるのでしょうか。

香港・大豆・豚肉・宇宙
米中新冷戦が本格化

中国外務省の報道官は香港情勢をめぐるアメリカ側の対応次第で対抗措置に踏み切る考えを示唆した上で、改めて深刻な内政干渉だと強く反発しました。
またロイター通信は先ほど関係筋の話として、中国が国有企業に対しアメリカ産の大豆と豚肉の購入を停止するよう求めたと伝えました。
この米中関係をめぐっては、宇宙を舞台にした競争も激しさを増しています。

アメリカでは31日、民間企業のスペースXが有人宇宙船の打ち上げに成功しました。
これに対して中国では今日、火星探査機を7月にも打ち上げる方針が国営メディアで改めてを報じられました。

多方面にわたって深まる対立について、新冷戦が本格化しつつあるとの見方が広がっています。

基礎的収支の赤字66兆円

財務省は財政制度等審議会を開き、新型コロナウイルスに対応する経済対策で今年度の歳出が大幅に増加したことからプライマリーバランス、基礎的財政収支の赤字が66兆1000億円に登ると指摘しました。
増田会長代理は政府が掲げる2025年度のプライマリーバランス黒字化達成はなかなか大変だとして、今後新たな目標を議論する考えを示しました。

中小企業へファンド新設

大手銀行グループりそなホールディングスの南社長は新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業に、資本を増強するための新たなファンドの設立を検討していると明らかにしました。
議決権が制限された優先株の取得や返済の順位が通常の融資よりも低い、劣後ローンでの支援を検討しています。
総額で100億円程度を見込んでいます。

企業にテレワーク継続要請

西村経済再生担当大臣等は経済団体などと会談し、新型コロナウイルスへの対応のため、今後もテレワークや時差通勤を継続するよう求めました。
これに対し経団連の中西会長は
「ウイルスは撲滅したわけではなく、注意深く経済をやっていかなければならない」と応じました。

日経平均3か月ぶり高値

日本の株価が再び回復に向かっています。

今日の東京株式市場で日経平均の終値はおよそ3ヶ月ぶりに節目の22000円台を回復しました。
東京都で休業要請の緩和がステップ2に移行するなど、国内での経済活動再開への期待が支えとなりました。

アメリカでは先ほど、製造業の景況感を示す5月のISM製造業景気指数が発表されました。
43.1ポイントで前の月より1.6ポイントを回復しました。
ただ好況と不況の節目とされる50は引き続き割り込みました。

現在のニューヨーク株式市場の値を確認します。
3指数上昇しています。
ダウは現在70ドル以上の上昇となっています。

世界のマーケット

アジア各国上昇しています。
今日から全土封鎖を段階的に解除し始めたインドは2.7%の大幅高となりました。

現在も取引が続いているヨーロッパです。
午後11時15分現在ですがドイツは休場、各国上昇しています。

円相場、現在1ドル107円50銭台から60銭台で取引されています。
WTIニューヨーク原油は1バレル34ドル86セント付近で推移しています。

日本株回復に日本再評価

滝田さん

注目したいのは新興株。
ジャスダックとマザーズなんですけれども、実は東証マザーズ指数、ついに1000ポイントを回復しちゃってるんですね。
景気回復を先取りする格好で、成長性の高い小型株にどっとお金が入ってるとこういう構図だと思いますね。

キーポイントはコロナとの関係で考えてみたいと思うんですけれども、3月の半ばの段階ではもう先行くわかんないって感じだったと思うんですけれども、4月の末から5月にかけてかなりコロナにかけて収束というのか、拡大が何とか抑えられそうだって、そういう雰囲気が出てきた。
株を売ってた外国勢が買い戻してるって言うのが大きな構図だと思います。

G7延期も中国包囲網へ

滝田さん

今まで先進7カ国だったのに、ロシア・インド・オーストラリア・韓国を加えるという事なんですね。
中国包囲網というんですが、実はロシアみてください。
中国と仲いいですよね、韓国に至っては習近平さん是非いらしてくださいって言ってんだから、本当に包囲網になるんですかね。
足元見透かされちゃうんじゃないかと心配ですよ。