WBS 2021/7/15(木)

東京、新規感染者1308人
4週間後に2400人超の試算も

今日、東京都で判明した新型コロナの新規感染者は1308人。
その推移をカレンダーで見てみると、前の週の同じ曜日を超えた日は26日連続となります。
感染者の内訳で最も多いのが20代で450人、30代が256人と全体の半分以上を占めています。
また重症者は57人で昨日から3人増えました。

午後に開かれた東京都のモニタリング会議では今後について専門家から警鐘の声が上がりました。

仮に東京都の感染者が今のペースで増え続けた場合、4週間後の8月11日には感染者は7日間の移動平均で2400人を超えると試算。
これは年末年始の第3波のピークを上回ります。
背景には感染力が強いデルタ株の陽性率が全体の21.5%に増えていることなどがあり、専門家は今後、夏休みは東京オリンピックに向け行動に注意が必要と指摘します。

五輪国際放送の舞台裏
毎日PCR検査も

小池知事の元を訪れたのが開幕目前のオリンピックを取り仕切るIOC国際オリンピック委員会のバッハ会長です。
大会の感染対策に自信を見せ、リスクゼロと言い切りました。

住民も行くことができるオフィシャルショップなどが出店する予定の大会パビリオン。
都内の感染拡大を受け、今日中止が決まりました。
異例づくしの環境で開催されるオリンピック。
それを世界に配信するメディアもまた異例の環境で仕事にあたります。

東京有明にある東京ビッグサイト。
オリンピックの取材拠点メディアセンターとなっていて、各国のメディア関係者が毎日2500人ほど訪れる予定です。
前回の大会では世界でおよそ36億人がテレビなどで大会を視聴したということです。
記者が座る席には全て飛沫防止のためのアクリル板が設置されています。
建物内には少し他とは異なる雰囲気の部屋も。

無数のカラーコーン、そして細かく仕切られた空間、PCR検査場です。
検査キットは会場のいたるところで配られています。

来日した海外メディアは原則入国後三日間はホテルなどでの隔離が必要です。
その後も入国から14日目までは競技会場やメディアセンターなどのみ専用の車両での移動が許されます。
街での外食などは禁止です。
一般との接触をなくすバブル方式での運営です。

行動が大きく制限されるため会場内などには生活に必要なクリーニング店なども設置。
気晴らしのためなのかメディアセンターの土産店には外国人記者たちが行列を作っていました。

ただ大会が始まる前からこうしたルールを破っている関係者もいるとみられ懸念につながっています。

北京に新宿・歌舞伎町
経済回復も伸びは鈍化

今日発表された中国の4月から6月までのGDP、成長率は1年前と比べ7.9%と5期連続のプラス成長となりました。
コロナからの経済回復が続く中国。
しかしGDPの伸びは市場の予想をわずかに下回りました。
消費の動きを示す小売売上高も12.1%のプラスですが伸び率は鈍化しています。
押し下げ要因となっているのが大幅に減少している新車販売。
2カ月連続で前年割れしています。
半導体不足による生産減少が大きく響いた形です。
内需拡大を経済成長の中心に据える中国。
消費をどう促せるかが課題です。

こうした中、市民の財布の紐が緩んでいる場所が。

北京中心部の焼肉店です。
入り口がJRの改札口になっていて、中に入ると新宿歌舞伎町のネオンなど日本の街並みが再現されています。
新宿駅前の繁華街をテーマに作られたこの焼肉店。
コロナ禍で海外旅行が難しくなったことで中国にいながら旅行気分を味わえることを売りにした店が増えています。

この店は京都の町屋をイメージ。
浴衣に着替えて食事した後は記念撮影も。

上海のマンション高騰
3LDKで1億9000万円

中国経済をこれまで牽引してきたのが不動産投資。
住宅販売は好調です。
75平方メートルの3LDKで1億9000万円から。
大都市の中心部では庶民の手には届かない価格まで高騰しています。

政府はバブルに発展する警戒感からマンション取引の規制を強化。
コロナ前と比べ住宅の新規着工面積は減少しました。
変わって不動産投資の新たな主役となりつつあるのが賃貸住宅。

政府は売買取引ができない賃貸専用住宅の開発を奨励。
バブル回避と投資拡大の両立を目指す狙いです。

さらに商業施設への投資も好調。
上海中心部で急ピッチで工事が進むのは12月にオープンを控える大型ショッピングモール。
日系の大手書店も入居するといいます。

上海ではこうした床面積3万平方メートルを超えるショッピングモールが今年だけで新たに49箇所も開業する見通しです。

課題を抱えつつも成長を続ける中国経済。
しかし成長にブレーキをかけかねない要因があります。
それは原料価格の高騰です。

原料価格の高騰で企業のコスト負担が増え、その結果賃金が伸び悩みば消費の冷え込みにもつながるリスクがあると指摘します。

大和総研 齋藤主席研究員
「こうなってくると景気下振れ懸念というのがより高まっていきます。ですのでこれから先、例えば10-12月のGDPは大和総研では成長率が5%程度まで落ちるという風に見ております。金融緩和によって景気をテコ入れする、こういった政策が考えるかと思います。」

中国経済、実力は約5%成長?

原田さん
7.9%は1年前と比べた数字なんですよね。
日本とか先進国は、前の四半期と比べて年率で数字を出している。
例えれば瞬間風速の経済の姿というものを出してるんです。
今回日本と同じようにして中国の経済を数字を変えて換算してみると、2021年4-6月直近7.9%だったのものは、前期比年率に換算すると5.3%です。
この水準というのは2019年の10-12月期は5%ぐらいなんですけれど、ここに今戻ってるって事ですね。

今年初め春にかけてIMFは中国について8%成長と言ってたんですよ。
中国は6%以上という目標でしたので、随分と低いですね。
輸出の増加っていうのも一時的な部分もありますし、原油高でGDP下押しされています。
新卒800万人もなかなかいい仕事につけないって言うし、中小企業の景況感もあまり良くないと。

Q:だから中国は金融緩和に踏み切ったんでしょうか。問題が山積してるということもありますし、少子化高齢化というのも問題になっていますね。

目をこらすと新しい産業機械などの投資ってのは引き続き堅調なんですね。
工場の無人化において、中国っていうのは世界の最先端じゃないかと思われるんですよ。
日本の産業機械メーカーでそれで潤うんですけれど、問題は日本の工場が同じような投資をしているのか。
ここはちょっと憂慮したいというふうに思うんですよね。

東京メトロ、大型上場へGO
品川地下鉄構想が進む?

午後3時半、急遽テレビ電話で開催された国と東京都の会談。
東京メトロの株式をめぐる協議です。

現在、国と東京都が保有する株式を互いに1/2まで売却し、東京メトロの株式上場を目指すことで合意しました。
これまで国は東日本大震災の復興支援の財源を確保するため株の売却を目指していました。
東京都は東京メトロの経営に関与するため売却に慎重な姿勢でした。
売却で合意したことについて、元東京メトロ職員の専門家は。

元東京メトロ職員 鉄道ジャーナリスト 枝久保さん
「上場が進まなかった最大の理由である東京都の反対っていうものを新線の整備を担保することで東京都には上場を飲ませる上場と新線建設がバーターでなされた。」

東京都が求めた新線の整備とは。

合意は南北線の白金高輪駅と開発が進む品川エリアをつなぐ品川地下鉄構想を進めることが売却の条件になっているのです。

さらに東西線の混雑緩和のため、東西線をまたぐ有楽町線の延伸作業も盛り込みました。
今回の合意は事業を進める大きな一歩ですが、具体的な路線の着工までは時間がかかると見ています。

信用金庫、京都の菓子を
中国ECサイトで販売

今日開業した商社「しんきん地域創生ネットワーク」。
実は全国に254ある信用金庫を束ねる信金中央金庫が全額出資して設立。
融資を本業とする信金がなぜ商社を開業したのか。
狙いは企業と企業を結びつけるビジネスマッチングなど融資以外の方法で中小企業を支援することです。
商社なら食品や雑貨など商品を自ら販売することも可能。
顧客である中小企業と一緒に新商品の開発から販売までを行いより踏み込んだ支援をしていく考えです。
今、中小企業の支援のため信用金庫が新たな事業に着手する動きが広がっています。

コロナでインバウンド消費が消えた京都。
そこで始まったのが京都中央信用金庫が全額出資し中国にECサイトを開設。
宇治抹茶を使ったお菓子など顧客である地元企業の商品の販売を5月末から始めました。
現在110社が参加しています。

コロナ禍、信金が提案で
商談月に500回

神奈川県藤沢市、従業員およそ30人の印刷会社です。
社長の石川さんに新型コロナの影響を訪ねると、経営環境は厳しさを増すばかりですが、売上はコロナ前と比べて1割も減っていません。
その理由は、融資を受けている横浜信用金庫からのある提案でした。

それが、顧客企業を支えるために導入しているビッグアドバンスと呼ばれる企業のマッチングシステム
取引先はビジネスパートナーを探している企業が検索画面で事業に関するキーワードを入れ、選んで買いたいを選択します。

全国5万社以上の候補の中からキーワードに入れた技術や製品を買いたいという企業が出てきます。
この中から気になる企業に取引を申し込むことができるのです。

さらに、兵庫県の印刷業者から一緒にビジネスをできないかとの相談も。
社長の石川さんはこのビッグアドバンスを通じて去年1年だけで、およそ15件の新規取引を実現し、コロナ禍で減った売り上げをカバーしました。

およそ2万社の中小企業を顧客に持つ横浜信用金庫。
そのうち1割の2000社がこのマッチングシステムを利用しています。

横浜信用金庫 加藤さん
「すごい成果につながってる。商談申し込みは毎月500件ぐらいされている。これをやってなければ企業を客に紹介できなかったでしょうし、機会損失につながってた。」

このマッチングシステムを開発したのは、ココペリというベンチャー企業で、今は全国26の信用金庫にシステムを提供しているということです。

追跡!新型火災保険詐欺
被災者につけ込む手口とは

強風などによる被害や水害をカバーする火災保険ですが、実は今、全国の消費生活センターにトラブル相談が相次いでいるんです。
20年度は2019年度のおよそ2倍に急増しました。

おととし、台風15号により多くの家の屋根が飛ばされブルーシートが貼られた千葉県鋸南町。
今でも家に戻れず仮設住宅で暮らす被災者が数多く残っている。
この被災地で人の弱みにつけこんだ火災保険詐欺が多発していた。

目立つのは火災保険の申請代行業を名乗る人物からの電話。
実際には全く支払われないケースもあり、地元の保険代理店には相談が相次いでいた。

そして今新たな手口の詐欺が登場しているという。

AIG損害保険 湯本執行役員
「お客様が知らず知らずのうちに保険金詐欺を犯してしまう状況に陥ってきているというのが最近の傾向にあると思います。」

普通の人が詐欺とは気づかずに業者とタッグを組まされる新たな手口が急増しているという。
見せてくれたのは台風の被害を偽った写真。
追跡取材を続けていると、まさにこのタイプの詐欺にあった人に出会った。

知らぬ間に詐欺に加担

舞台となったのはおととし大きな水害が襲った千葉県館山市。
経年劣化でも大丈夫だと業者に言われ、話に乗ってしまった50代のAさん。

わずかに確認できる程度の傷を写真に撮った業者はAさんに代わって保険会社に対し台風による被害として40万円を請求。
保険会社の審査は通り、Aさんに40万円が振り込まれた。
業者はそのうちの3割を手数料としてAさんからとっていったという。

知らず知らずのうちに詐欺に加担してしまったらどうなるのか。
弁護士に聞いてみた。
「仮に理解していなかったとしても詐欺罪が成立する可能性があります。10年以下の懲役となる可能性があります。Aさんとしては受け取った保険金をすぐに保険会社に返金するべきだと思います。」

業者の元バイトが語る手口

さらに追跡を続けていると悪質業者で働いていたという人に話を聞くことができた。
去年火災保険の申請代行業者で働いていたというBさん。
千葉県など台風型地域に電話をかけていたという。
こうした虚偽の説明を鵜呑みにするのは高齢者が多かったと言う。
この業者は今でも神奈川県内で営業を続けている。

このような詐欺に巻き込まれないためにはどうしたらいいのか。
「保険会社に請求いただければ手数料はもちろんゼロ。」

新型コロナ関連ニュース

新たに感染が確認された人の数は3418人でした。
亡くなった人は22人と累計で15000人を超えました。

行動制限による対策は限界だと語りました。
政府の分科会の尾身会長は、検査の拡充や二酸化炭素モニター、下水のウイルス調査などテクノロジーによる対策の加速が必要だと指摘しました。

ペースを落とすよう求めました。
河野ワクチン担当大臣は講演で新型コロナのワクチン接種が多くの自治体で予想を上回る速度で進んでいるとして、ペースを落とすよう求めました。
これはワクチンの供給が減っていることを踏まえたものです。
また河野大臣は全国知事会の飯泉会長と会談し、ワクチンの供給不足について陳謝しました。

3回目の接種について協議しています。
イスラエルのベネット首相はワクチンの3回目の追加接種について製薬会社と協議していると発表しました。
イスラエルでは人口のおよそ6割が2回の接種を済ませていますが、デルタ株による感染が急増していて免疫力が低い人を対象に3回目の接種をすることを表明していました。

若い世代に人気の歌手が接種を呼びかけました。
歌手のオリビアロドリゴさんがホワイトハウスで収録した動画で若者への接種を呼びかけました。
アメリカではデルタ株が広がるなかワクチンの接種ペースが鈍化していてバイデン政権は若者への接種を促したい考えです。

米中首脳、APEC出席へ

アメリカのホワイトハウスはバイデン大統領が16日にオンラインで開かれるAPECアジア太平洋経済協力会議の非公式首脳会議に出席すると発表しました。
会議には中国の習近平国家主席も出席する予定です。
バイデン大統領は人権や法の支配を尊重する自由で開かれたインド太平洋の実現を主導する姿勢を強調し、アジアで影響力を広げる中国を牽制する狙いとみられます。

政府から削除要請26%増

アメリカのTwitterは14日、報道機関やジャーナリストによる投稿を削除するよう各国の政府から求められたケースが去年の下半期に361件あり、上半期より26%増えたと明らかにしました。
最も多かったのはインドでトルコやパキスタン、ロシアとなっています。
Twitterはこのうち5件を削除したということです。

量的緩和の縮小、まだ遠い

アメリカのFRB連邦準備制度理事会のパウエル議長は14日、議会下院で証言し量的緩和策の縮小開始の条件を満たすにはまだ遠いとの認識を示しました。
パウエル議長は現在のインフレ率の著しい上昇は一時的と明言した上で、FRBとほぼ全ての予測機関が低下に転じると信じている中で、引き締め動くのは誤りだと主張しました。

分身ロボでバーチャル観光

全日空のグループ会社アバターインは遠隔操作のロボットを用いた新たな移動体験サービスを発表しました。
離れた場所に置かれたロボットを遠隔操作することで現地を自由に見て回ることが可能で、その場にいる人と会話もできます。
航空事業が落ち込むなか、秋にはこのサービスを観光施設などに販売していく計画です。

フェイスブックなどが
巨大IT規制は除外要求

アメリカのFacebookは14日連邦取引委員会に対し、日本の独占禁止法にあたる反トラスト法違反の訴訟にリナ・カーン氏が関わらないよう求める要請文を提出しました。
要請文ではカーン氏が以前からFacebookを批判し、訴訟に加わることは公平ではないと訴えています。
またAmazonも先月反トラスト法をめぐる調査からカーン氏が外れるようFTCに求めていて、巨大ITの規制強化に対する抵抗が激しくなっています。

巨大ITと闘う?32歳女性

原田さん
両親がパキスタン系で、イギリスで生まれて、アメリカにわたってエール大学の法科大学院でAmazonをテーマにして反独占の論文を書いた。
大変脚光を浴びてコロンビアの准教授、それでFTCに入って、32歳、新進気鋭の法学者ということになりますね。
IT大手は我々は消費者のために無料や、安い価格のサービスを提供してそれで何が悪いんだということですね。
カーン委員長はそういうことはあるかもしれないが、例えば競合会社を買収して競争をやめちゃうとか、それから取引先に価格を下げるよう圧力をかけるとか、排他的な取引を求めるとか長期の影響が問題だと、そういう風に言ってますね。

バイデン政権はやっぱり独禁法の強い適用、反寡占ということに舵を切ったそういうことが言えると思うんです。
カーン氏をそもそもFTCの委員長にすること、それだけでも明らかですね。

デジタル化で世界は大きく変わっている。
その世界で長く生きる人が設計図を作るっていうのは自然なことではないかなと私は思います。

感染改善時の有観客を要望

IOC国際オリンピック委員会のバッハ会長が昨日を菅総理大臣と会談した際に感染状況が改善した場合は、観客入りを検討して欲しいと伝えていたことが政府関係者への取材で分かりました。

3回接種に批判も、効果は?

原田さん

調査によると感染予防効果が91%以上だったのが6割台に落ちるっていうのがあるんです。
だから若い人に3回打とうということなんですが、途上国まだ1回も打っていない人がたくさんいるので大変不満が出てる。
アメリカもちゃんと打ってない人に打ってもらおうという話になってますね。
国産ワクチンも3回目に間に合うようにしてほしいです。