WBS 2019/11/22(金)

韓国GSOMIA失効回避
期限間際に一転 その裏で何が

日本と韓国が結ぶGSOMIA軍事情報包括保護協定ですが、あと6時間に迫っていた今日の午後6時破棄を通告していた韓国が一転延長を発表しました。

午後6時、韓国大統領府
「いつでも協定の効力を終了させることができるという前提で、終了通報の効力を停止させることにし、日本政府はこれに対して理解を表明した」

韓国政府はGSOMIA日韓軍事情報包括保護協定の期限延長を発表した。
国家間で安全保障に関する情報を共有するGSOMIA。
8月に韓国が一方的に協定の破棄を決定して以来日本政府は撤回を求めてきた。

安倍総理は
「北朝鮮への対応のために日韓、日米間の連携 協力は極めて重要。韓国もそうした戦略的観点から判断したのだろう」

河野防衛大臣
「正常化に向けて判断をいただいたと思っている。誤ったメッセージを発することなく、東アジアにおいて日米間が連携して厳しい安全保障状況にあたっていきたい」

韓国がGSOMIA破棄を言い出したのは輸出管理をめぐる日韓の対立の最中だった。
7月、日本は安全保障上の懸念を理由に韓国向けの半導体材料3品目の輸出管理を強化。
8月には、韓国を輸出優遇国いわばホワイト国から除外する措置に踏み切った。

それに対して韓国も応戦。
日本の対応を非難し、9月WTOに提訴した。
さらに韓国は両国の信頼関係が損なわれたとし、GSOMIAの破棄を決定したのだ。

これに対し日本政府は一貫してGSOMIAと輸出管理の強化は別問題と主張。対立は続いてきた。

この事態に韓国側への働きかけを強めたのがアメリカ。
執行まで時間が迫る中、エスパー国防長官や政府高官らが相次いで韓国を訪れた。

エスパー国防長官
「日韓の摩擦によってGSOMIAが失効して得をするのは北朝鮮と中国だけ。」

アメリカ政府が協定の維持を望む理由、それは非核化への道筋が見えない北朝鮮への対応に加え、軍事力を増大させる中国に対抗するには日米韓の連携が不可欠だと考えているからだ。
21日、アメリカ議会の上院は協定の重要性を再確認し、信頼回復に向けた措置を取るよう日韓両国に促す決議を可決。
ポンペオ国務長官は韓国のカン外相と電話会談し歩み寄りを促した。

保守系最大野党自由韓国党のファン代表は破棄撤回を求め最低気温が氷点下にまで冷え込む中、ハンガーストライキを実行した。

そして今日、韓国政府はギリギリのタイミングで期限延長を発表した。
さらに
「日韓間の輸出管理政策対話が正常的に進められている間、日本側の3品目の輸出規制に対するWTO提訴手続きを停止させることにする」

輸出管理の強化に対するWTO提訴の手続きを中断することを発表した。
日本で開かれる国際会議に出席するため先ほどインチョン空港に現れたカン外相は
「時間を稼いだと思う。我々の目標である日本側の輸出規制措置の撤回のための土台が作られたと評価する」

日本政府は
経産省 飯田貿易管理部長
「韓国側から外交ルートを通じて、WTOプロセスを中断すると通告を受けた。韓国側がさまざまな問題の改善に前向きな意欲を示していると受け取っている。」

WTOの提訴が中断したことを受け、両国は交渉のテーブルにつく予定だ。
しかし、グループA(優遇対象国)に戻す結論ありきではない。とコメント。

韓国が8月にGSOMIAの破棄を通告した背景には、日本が輸出管理を強化したことがあります。
韓国としては今回GSOMIAの延長を決めたことで、日本が輸出管理の問題をめぐり、妥協することを期待しているが、日本は話し合いのテーブルにはつくものの態度を変える様子はありません。

韓国GSOMIA失効回避
思惑外れた韓国は

Q:横堀さんGSOMIAの延長を決めた文大統領の狙いはどこにあるんでしょうか。

韓国としてはGSOMIAを破棄しないまま、時間を引き延ばし、日本との対話で輸出管理強化の撤回に向けた譲歩を引き出したいというのが狙いにあるとみられます。
韓国にとってGSOMIAの破棄は日本に輸出管理強化の撤回を促すとともに、アメリカからも協力を得るための最強のカードのつもりでした。
しかし実際には思ったような結果を得られなかった上に、アメリカとの関係悪化も懸念される事態に陥り、なんとかGSOMIAの失効を回避する大義名分を日本側から引き出したかったのが本音と言えます。
韓国大統領府の関係者はGSOMIAの延長があくまで暫定的な措置であることを強調していますが、こうしたプレッシャーをかけながら日本との対話を通じて、輸出管理の撤回を求めていく考えです。

Q:WTO世界貿易機関への提訴も取り下げました、これにはどんな狙いがあるんでしょうか?

韓国は輸出管理強化を直ちに撤回することを求めています。
WTOを通じた解決には数年を要するため、現実的ではなく対話を通じて前に進めていきたいというのが本音だと言えます。

一方で韓国では今日発表された世論調査で半数以上がGSOMIAの破棄を支持している現状もあります。
ムン大統領はこうした世論を意識するかのように、半導体材料の生産工場を訪問し、日本に対抗する姿勢を強調しました。

文大統領
「韓国の半導体産業の競争力に加えて、素材や部品などの供給が安定的にできれば半導体製造強国である韓国をだれも揺さぶることはできない」

GSOMIAを延長したことで日本との対話の確約を得たとはいえ、輸出管理の問題を解決できるかは不透明で文政権には引き続き難しい局面が続きそうです。

GSOMIA失効回避に
安倍総理周辺は?

Q:篠原さん日本は今回の韓国側の動きどう見ているんでしょうか?

安倍総理に近い関係者はアメリカの圧力で韓国が一方的に譲歩してきたと話しています。
さらに輸出管理の強化を巡る韓国との対話再開についても、GSOMIA継続とは一切関係ない韓国がWTO提訴の手続きを提出すると伝達してきたのでそれならば話は聞くということだと語ります。
総理周辺はそもそも輸出管理強化に対抗してGSOMIAを持ち出してきたのが間違い。
振り上げる拳を間違えていると韓国の姿勢を痛烈に批判しています。
むしろ日本側の関心は日韓関係悪化の根源にある元徴用工訴訟問題です。
日韓議連の河村幹事長はテレビ東京のインターネット番組でこの問題の解決に向けて韓国国会のムンヒサン議長が提案している日韓の企業や国民の寄付による新たな基金案について、来月にも韓国国会で法案が成立するとの見通しを示しました。

その上で法案が成立すれば、韓国政府が基金に拠出することも可能になり、徴用工問題は韓国国内の問題であるとしてきた日本も受け入れやすくなるとの見通しを示しました。
徴用工の問題が前に進めば、輸出管理の問題も一定の進展がなされる可能性もありまして、停滞している日韓関係に少し光が見えてくる可能性もあります。

GSOMIA延長
背後にいるのは

滝田さん
日韓が水面下で色々な交渉をしていたことは間違いないと思うが、やっぱり決定打になったのはアメリカだと思います。
相当強い圧力を韓国に対して加えているのははっきりしてますよね。
その理由なんですけど、中国や北朝鮮に対して睨みをきかせる機能を果たしてきたわけですね。
それを止めてしまうのはとんでもないってのがアメリカの主張で、韓国はそれを丸呑みした格好になるわけですね。

今後の展開ということになりますけども、この輸出管理問題などを含めて調整に入ったと見て間違いないと思います。
文政権としては振り上げた拳をどこで降ろすのかが課題になりますし、日本としてもどんなカードを切ったらいいのかということになります。
しばらく局面は続くとみて良いと思います。

リニア新幹線 新駅着工へ
目指すは2027年開業

東京と名古屋を40分で結ぶ夢の超特急リニア中央新幹線です。

相模原市にある橋本駅。
その目の前の学校跡地にJR東海はリニアの新しい駅の建設を始めます。
この地下におよそ1km、最も広いところで幅50mの駅ができます。

リニアはJR東海がおよそ9兆円をかける一大事業。
2035年の品川-大阪間の開業を目指し、まずは2027年に品川-名古屋間の開業を予定しています。
スピードは最高時速が500km超え、鉄道としては世界最速。
東京と名古屋をわずか40分ほどで結ぶことになります。

すでにターミナル駅となる品川駅は名古屋駅の工事が始まっています。
また路線のおよそ9割が地下になることから各地でトンネルの掘削も行われています。

しかし開業に向け工事が着々と進む中、懸念を表明する人たちも。
強い言葉で怒りをあらわにしたのが静岡県の川勝知事。
実は静岡県が許可を出さないことからJR東海は南アルプスのトンネル工事が未だに進められずにいます。
その理由のひとつが静岡県島田市にありました。
お茶の生産量日本一の静岡県の中でも有数の産地です。
実はリニアの工事がこのお茶の生産に影響を与えると言います。

今回の工事では山梨県側から登るようにトンネルを掘っていきます。
工事によって湧き出た水が山梨県などに流れてると言う。
そのため県内を流れる大井川の水量が減少してしまうのではと懸念されています。

牧之原台地と呼ばれるこの地域の土は水はけがよくお茶の栽培にはうってつけの地質です。
水はけが良い分、大量の水が必要となりますが周辺には水源がないため、農業用水はすべて大井川の水をポンプで汲み上げて使っています。
大井川の水の量が減ると、水圧が下がり畑全体に水が撒けなくなるといいます
さらに大井川の水量が減ることで地下水が減少する懸念もあります。
島田市ではかつて飲み水に使われていた地下水は今でも生活用水として重要な存在です。

流れ出た水を戻すという説明に対して納得のいく説明にはなっていないと言います。
JR東海と地元の意見の対立が平行線をたどる中、2027年の品川-名古屋間の開業計画への影響は、このまま工事が進まないと2027年の開業に間に合わなくなる懸念も。

滝田さん
静岡県の反対の本音の部分は地下を通るんで、メリットが少ない背景にあるんじゃないかなという感じがします。

レクサス市販EV初公開
巨大中国市場で商機は?

中国広東省で開幕した広州モーターショー。
世界各国の自動車メーカーがこぞって出店したのがEVの最新モデル。
トヨタ自動車は高級車ブランドレクサスでEVの市販モデルを世界で初めて公開しました。

新型車UX300eはフル充電でおよそ400km走行可能。
来年春にまず中国で発売し、その後ヨーロッパや日本市場に展開する計画です。
EVを優遇する排ガス規制と、手厚い補助金といった政府のテコ入れにより新規参入が相次ぎEV大国となった中国。
レクサスはさらなる市場の拡大を見越して中国でEV市場に参入しました。

EV大国に早くも異変
生産止まった中国メーカー

巨大な中国のEV市場を狙って海外メーカーもこぞって参入しています。
しかし足元では異変が起きています。WBSが向かったのは中国東部の山東省。

2000年に創業した中小自動車メーカーの華泰汽車。
EVを中心に11車種を展開し2017年にはおよそ13万台を販売しました。
併設する販売店にも人の姿はありません。
数百台の完成した車が工場の敷地に。組み立て前のボディも捨てられていました。
歩道から撮影していると警備員が来て撮影をやめろといいます。
車をモデルチェンジできず、性能が劣った古い車を生産し続け販売不振に陥ったと言います。
2019年の販売台数は4万台程度に激減。
更に給料の遅配なども報じられています。
拡大を続けてきた中国のEV市場ですが、6月に補助金の支給条件が厳しくなり、10月には1年前から販売台数はおよそ45%減少。
競争が激化し技術力や体力のないメーカーの淘汰が早くも始まっています。

香港デモの中の選挙戦
民主派25歳vs親中派

香港の区議会議員選挙は452議席を市民の直接投票で選ぶもので、香港で行われる選挙の中で最も民意を反映しやすいと言われています。
親中派対民主派という直接対決となっていまして、政府への批判が強まるなか民主派がどこまで議席を伸ばせるかが焦点です。

民主派候補の梁凱晴さん25歳。

「政府は民主派の意見に対して責任のある行動をとらないといけない。
 もっと若い人たちの考えを聞くべき。
 数か月後香港の人は民主化運動のためにより戦うと思う。」

選挙戦の最中今週起きたのが、理工大への警察突入。
梁さんはその香港理工大の出身だった。
卒業後は大手会計士事務所に勤務し、6月の200万人デモにも参加した。
そんな梁さん実は選挙に出るつもりはなかったという。

「この地区のためだけでなく、他の香港の人の意識も高められる。今回どの地区にも民主派候補がいる。」

選挙序盤の先月、演説中に何者かに突然、頭を殴打されるという事件が起きた。
一時は選挙戦を休まざる得ない状況となったが犯人は捕まっていない。

対するは親中派のベテランの徐候補。
この選挙区は中国本土から移住してきた市民が多い。
有権者はおよそ7000人。
そんな徐候補の公約は駅のエレベーターや施設の充実など地域密着型。

香港のシンクタンクなどの事前調査では今回は民主派有利で、親中派の苦戦が伝えられている。

梁さんは選挙戦を止めてでも向いたかった場所があった。
香港理工大の学生救出へ、SNSの呼びかけで数千人の市民が集結。
参加者は一般の市民が多数だった。

ローマ教皇あすから訪日

アジアを歴訪中のローマカトリック協会のトップ、フランシスコ教皇が明日から日本を訪問します。
ローマ教皇の訪日は1981年のヨハネパウロ2世以来38年ぶりとなります。
フランシスコ教皇は26日までの滞在中、被爆地の長崎と広島を訪れ、核兵器廃絶の必要性を世界に向けて訴えます。
そのほか東京で天皇陛下や安倍総理大臣との会談も予定されています。

21年度までに赤字事業を撲滅

パナソニックの津賀社長は、会見で黒字転換の見込めない事業を抜本的に見直し、21年度までになくす考えを明らかにしました。
また経営体質を強化するため、拠点が多いアジア・ヨーロッパ・中国など世界規模で拠点の集約を進める方針を示しました。

イスラエル首相を起訴

イスラエルの警察は21日、ネタニヤフ首相を収賄などの罪で起訴したと発表しました。
イスラエルで現職の首相が起訴されるのは初めてです。
ネタニヤフ氏は通信会社に便宜を図る見返りに、傘下のニュースサイトに政権に関する好意的な報道をするよう求めたとされています。
これに対しネタニヤフ氏は政権転覆を狙ったクーデターの試みだと無罪を主張しました。

改正外為法が成立

武器製造や原子力など安全保障に関わる日本企業への外資規制を強化する改正外為法が今日の参議院本会議で可決成立しました。
外国人投資家が日本の上場企業の株式を取得する際、事前届出の基準となる出資比率を現行の10%以上から1%以上に引き下げます。
中国を念頭に海外への技術の流出を防ぐのが狙いです。

外資規制強化へ
海外勢が日本脱出

心配は実はちょっと誤解に基づく部分が多いと思うんですよね。
アメリカを中心とした先端技術の流出防止の流れに日本も同調したっていうのが実態。
むしろ逆に今は外資を呼び込むチャンスじゃないかって感じがするんです。
やっぱり香港問題ですよね。
香港の国際金融センターとしての地位が揺らいでるんですね。
そうした中、アジアでどこが台頭してるのかと言うとシンガポールなんですよね。
ところがシンガポールだけじゃないんです。
東京市場も今シンガポールと並んでチャンスをうかがってる。
興味深いのはファイナンシャルタイムスなんですけども、東京市場の関係者はヘッジファンドに求愛してるって言うんですね。
政省令を作っていく段階で誤解を解いてくようにして行ったらいいんじゃないかと思います。

世界景気回復鈍化

政府は11月の月例経済報告で、世界の景気について全体としては緩やかに回復しているが、そのテンポは鈍化しているとして3ヶ月ぶりに判断を下方修正しました。
これは、米中貿易摩擦の影響による貿易量の減少などを受けたものです。
一方、国内景気については輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復しているとの判断を維持しました。

全国3,000点の旬が集結

全国商工会連合会が主催する日本全国物産展が今日開幕しました。
四十七都道府県から350社以上3000点以上の旬のものが集まりました。
ズワイガニとイクラ、ウニの三色丼や、生チョコでコーティングした長崎の石畳をイメージしたスイーツなどが人気を集めていました。
このイベントは24日まで開催しています。

全国商工会連合会 古柴さん
「15万人ぐらいを三日間で集客していまして、売上ももちろんなんですけども、販路をより多く作っていただく場にしてほしい」

運転中もOKのスマホアプリ

車とスマートフォンを連携させて、運転中でも安全に操作できるアプリを競うコンテスト「SDLアプリコンテスト2019」が開かれました。
優勝したのは目の動きや姿勢などを検知してリアルタイムで運転の診断や教習をしてくれるアプリを開発したチームです。
来月から施行される改正道路交通法により、ながら運転が厳罰化されるのを受け、今後運転中でもスマホのサービスを使用できるアプリの開発が加速しそうです。

トレたま:絡まりにくい傘立て

T.T.File-5142

これは傘が絡まりにくい傘立て。

実はこの傘立ての底にポイントがあるんです。

底の部分は実はすり鉢状に。
すり鉢状にすることで、傘の先端が中心に集まる一方で、持ち手の部分は放射状に広がるので傘が絡まりにくくなるという仕組みなんです。

もう一つ面白い仕掛けがあります。
この底部分はお風呂の足拭きなどでも使われている珪藻土で作られている。
珪藻土の特徴は高い吸水性ですよね。
この珪藻土というのは割れやすいそうなんですが特別な加工をすることで、耐久性と吸水性のある傘立てになりました。

絡まりにくい傘立て
2980円 来年3月発売予定

消費増税後
初の景気判断

11月の月例経済報告発表されましたけれども消費増税を反映した初めての景気判断ということですよね。

滝田さん
今回の月例ですが、気になったのは、この表現なんですね。
企業収益に関する表現なんですけども、11月になってやっぱり製造業を中心に弱含んでいるって言ってるわけですね。
企業収益が下振れると当然お給料も下振れの圧力が働く。それが一つ。
もう一つで税金税収が減っちゃうんですよね。
そうすると税収が減ると来年度の予算どうするんだってことですね。
何とか非製造業で頑張ってるから持ちこたえられるかどうか。
そこが注目点だと思いますよ。