WBS 2020/3/23(月)

コロナショックどうなる世界経済
緊急出演:西村担当大臣に聞く

今夜は新型コロナウイルス対策の担当大臣でもいらっしゃいます、西村経済再生担当大臣にお越しいただいています。
これまで経験したことのない局面ですけれども、人類そして経済にとって今どういう状況になっているという認識でいらっしゃいますか。

西村大臣
日本の中での感染も広がってきてます。
何より世界、欧米を中心に、南米・アフリカ・東南アジア、全世界に感染が拡大している状況になってきてます。
日本も何とか持ちこたえてるっていう状態。
一部の地域で感染が拡大していて、少しでも手を緩めると、オーバーシュート、急激に爆発的に患者が増える状態になりかねない。
専門家会議に出席をいたしましたけれども、相当強い危機感を専門家の皆さんで共有をされておられまして、我々も共有してるところです。
なんとか持ちこたえている。

オリンピックの延期もやむなしということなんですけれども、オリンピック延期した場合の経済損失、これが3.2兆円規模になるという見方もあるんですけれども、大臣ご覧になっていかがでしょう。

西村大臣
私どもでは試算を行っておりません。
ただ当然予測をしていたインバウンドを含め様々な消費、これが万が一この時期から伸びた場合には後ろ倒しになるということですので、影響はある。

FRB無制限緩和で株価は

FRBは臨時のFOMC連邦公開市場委員会を開き、国債などを買い入れる量的緩和策で買い入れを当面無制限とすることを決めました。
FRBとしても前例のない政策で市場に大量の資金を流し込む構えです。
さらに雇用主・消費者・企業向けの信用を維持するため、3000億ドルおよそ33兆円規模の基金を創設します。
資金繰り等によるリストラを防ぐ狙いがあるとみられます。
FRBは市場の安定と企業の資金繰りの支援に向け、矢継ぎ早に政策を打ち出しています。

欧州感染拡大 東京も過去最多

今感染拡大の中心地になっているヨーロッパ。
イギリスでは感染拡大を防止するためパブやレストランなどの営業を大きく制限しています。
さらに今後は街全体が封鎖されるとの噂が出回り、すでにほとんどの店が閉まっている状態です。

死者が5000人を超え、世界最多のイタリア。
街中には銃を持った警察の姿が。
生活必需品を購入する場合などを除き、自宅からの移動を原則禁止していて取り締まりを強化しています。
またイタリア全土で暮らしに必須な生産工場を除き、自動車から衣料品まで全ての生産工場を来月3日まで停止すると発表。

そのイタリアに次ぎ、死者数が多いスペインは除雪機を使い、町中を消毒。
今月中旬に出した非常事態宣言を来月11日まで延期するとしています。

一方日本でも、都内では今日1日では過去最多となる16人の感染が判明。
うち5人がヨーロッパなどへの渡航歴があるとしています。
収束の兆しが見えない新型コロナウイルスが及ぼす影響は計り知れません。

FRBはできることは何でもするという姿勢ですよね。アメリカは財政も金融も一体になってやりますという状況。
日本もやはり平時とは違う非常時の対応が求められると思うんですが。

西村大臣
日銀とは完全に危機感を共有をしておりますので、日本銀行もETF・REITも買い入れるということ、記者会見で黒田総裁が80兆円まで国債を買い入れることにしてるんですけども、現在行われてのは十数兆円規模ですのでかなりの金額を買い入れができるので金融緩和をさらに強力にすることはできます。
さらに言えば、今回民間の金融機関に資金供給をすると決めてくれましたので、民間の金融機関に過去の債務返済を猶予することも含めてお願いをしてる。
日銀と政府は今一体となっているとこです。

滝田さん
例えば日本銀行が直接民間企業にお金を貸して、ロスが出たら政府の補填するというような格好の財金一体のやり方もあると思うんですが。

西村大臣
禁じ手的だと思うんですけれども、現時点では既存の金融機関、政府系金融機関は無利子無担保で、しかも小口のものについて、3,000万円までは二日で審査を経て出そうということでかなり強力に行ってくれてます。
それに加えて既存の債務の返済猶予を民間の金融機関にお願いをしてます。

大江キャスター
今回の状況っていうのはリーマンショックと比べられることが多い。
リーマンショックの場合は、金融がまず止まってしまったわけなんですけれども、GDP成長率これは年率換算でアメリカ6.4%マイナスとなったんですね。
日本はマイナス15.2%でした。
そして今回どうなりそうかということで、アメリカのゴールドマンサックスが試算しているんですけれども、アメリカ4-6月期マイナス24%になるのではないかという衝撃的な予測を出しているんですね。
ということは日本も2桁は覚悟しなければならない状況でしょうか。

西村大臣
これまで出された民間の試算では3%減ぐらいなんですけども、状況は日々悪くなってます。
昨年末の段階でGDPギャップが8兆円ぐらい、つまり需要が8兆円ぐらい少ないということがありますので、そこからさらに落ち込んでいると思うので考えながら経済対策を打つ。

滝田さん
経済対策の規模感なんですけれども、リーマンの時、日本15兆円の財政支出ですよね。
今回アメリカで検討されてるのが150兆円希望ですよね。
GDP日本アメリカの1/4ですから、規模感として30~40兆円ぐらいの財政支出が必要になるんじゃないかと思いますが、規模感はいかがでしょうか。

西村大臣
マクロからの視点と、それから積み上げていくのと両方で全体で考えていかなきゃいけない。
年末の時点で8兆円のもうすでに需要が低い。これをどういう形で埋めるかと。
どこまで落ち込むかということをしっかり見極めた上でマクロ的な規模を考えなきゃいけない。
他方でいろんなアイデアが出されてますので、本当に必要な人に必要な金額が行かなきゃいけない。
と思いますのでそれと合わせて全体として考えていくことになりますので

滝田さん
マクロの規模感はリーマンを上回らざるを得ないってことになりますか?

西村大臣
景気ウォッチャーのマインドも相当落ち込んでますし、いろんな数字はリーマン並みかそれ以上の数字を示し始めてますので、そういうことも頭に置きながら考えていかなきゃいけない。

減税?現金?何が必要?

こちらは西日本の家電メーカーの工場で派遣社員として働くことになっていたAさん39歳。
突然契約解除されたと言います。
その理由はコロナウイルスの影響で、中国から部品が入ってこないとか連絡取れないところもあると。
契約書を見せてもらうと、時給1610円、残業代2013円。
1日8時間と残業代2時間で一か月およそ40万円を収入として得る予定でした。
生活が不安定になってしまったAさん、急遽UberEatsに登録し配達の仕事をしています。

経済対策の中でも、皆さん気になっているのが現金給付。
その規模なんですけれどもアメリカの場合、共和党の案ですが国民1人当たり1200ドル。
さらに必要であればこれを2回行うという案もあります。

西村大臣
リーマンショックの後、定額給付金ってことで12000円をお配りをして、その後子育て世代とかに子供一人あたりで36000円を追加でやってるんですけども、高額所得者にやる必要があるのかどうか、それが実際に消費に回るかどうか。
一方、商品券というはもあります。でも商品券は印刷したり時間がかかる。
即効性があるのはやっぱ現金だと思います。
本当に必要な人に生活を守るための必要な額と、それから消費をV字回復させていく時にみんなで消費を喚起しようとちょっと種類が違うと思います。

滝田さん
本質はやっぱり所得の補填補償。
そういう人たちにどんとお金をいま渡すというのは待ったなしなんじゃないでしょうか。

西村大臣
今の小口の資金というのを用意をしてまして20万円なんですけれども。
社会福祉協議会でお渡しして、返済はしてほしいんですけれども状態が悪ければ返済免除するということになってます。
さらに貸付で2人以上の世帯でしたら20万円、お1人でした15万円を3ヶ月分貸すことはできます。
これも返済免除はある。
まずはこれを使っていただいく。

山川さん
現金給付である場合ってのはもう5月にしか間に合わない、4月は無理ですか?

西村大臣
予算の成立の後に補正予算を組むとすれば早くても5月末ぐらいではないか。

大江キャスター
皆さんの関心が非常に高いのが消費税の減税についてなんですけれども、消費税減税ってのはズバリあり得ることですか?

西村大臣
全額社会保障に当ててます。
それから昨年10月からは幼児教育保育の無償化の財源として当ててますので、これはまさに今子育ての世代の負担軽減につながってますから、相当重要な財源として使ってるということを頭に置きつつ、下げるとなったら買い控えも起こります。
一定期間後にあげるとなったらその時にまた駆け込み需要があります。
その後また落ち込むということもありますので、経済の影響も考えながらどうするかっていう判断をしてかなきゃいけない。

山川さん
西村さんがそうおっしゃるだろうと思ったんでちょっとあの私なりの案を。

もちろん緊急経済対策ここ一番大事なこともはっきりしてます。
それから現金給付のところ、生活保障の部分が意味合いがあるってのは分かります。
なので減税を例えば準備もありますから7月ぐらいから1年限定。
そしてオリンピックが仮に1年後に開かれるとしますね、そうするとおっしゃった買い控えのところを現金給付で何とかカバーしていく。
今度は最後の反動減の直後にオリンピックがあるということでオリンピック消費でカバーする。
この1年限定を与野党でちゃんと約束してここで始める。
ポイント還元も継続すれば、5%に仮に減税した時には合わせ技で実質税負担ゼロ。
これぐらいのことをやらないと消費喚起については足りないんじゃないかと思うんですがいかがですか。

西村大臣
ポイント還元の継続は、実は大手のスーパーが反対をしている。
生活保障をしっかりやって、それから収束した後に消費喚起、そういうことをまさに切れ目なくやっていく中で、
税も財政出動も、規制改革なんかも含めて前例にとらわれることなく全てのものを検討している。

3か月で資金が底 中小企業

神奈川県の自動車部品メーカー。
この工場ではドアや計器盤などを製造しています。
新型コロナの影響で中国などから輸入していたボルトなどの部品が調達できず生産量が減少。
1月から3月の売り上げは去年に比べて3割ほど減少。
現在従業員の残業時間を半分以上減らし人件費を節約することで何とか対応しています。
ただ固定費として工場や機械の維持費が重くのしかかっています。
追加の融資が受けられなければ3~4ヶ月ほどで資金が底をつくと言います。

日本政府も対応を進めています。
雇用を維持するための雇用調整助成金。こちらの対象拡大する。
財政措置として保護者の休暇取得の支援なども行なっている。
そして金融支援として特別特別貸付制度。
それから危機対応融資を行っていまして、これは1.6兆円規模に上るということなんですけれども、ちょっと小出しなのではないかというような声もありますね。

西村大臣
リーマンの時ほど補助率はあげてませんので、それも含めてそれから貸付制度も無利子無担保で早く出そうと。
毎日ヒアリングをしてまして、さらに何をやればいいのかっていうことを今練り上げてるところであります。
やはり固定費がどうしてもかかってしまう部分を何か軽減してやることはできないのか、事業継続していくのに何かできないのか。
今中小企業補正予算の中で成立した中小企業向けの補助金の公募が始まってまして、この中にはサプライチェーンを今休んでる間にもう1回再構築しようと設備を入れたり、デジタル化でやれるなことを増やして行こうとか、それから持続化補助金というのは非常に規模の小さいところも前向きに取り組んでいくのに補助してるんですけども、さらに充実ができないのかといったことも今検討してるとこです。

滝田さん

もう一つ強調したいのはの資本の問題。
このまま売上減少が続くと中小企業は債務超過になるリスクが出てきます。
債務超過になると銀行なかなか追加のお金を貸してくれない。
だから資本をどうやって強化するのかってのは中小零細企業は死活問題だと思うんですね。

西村大臣
まずは資金繰りでなんとかつないでいただきたい。
いろんな手法があって、債務を資本に変えて行くとか。
あるいは中小企業同士の後継者がいないっていう方の廃業が増えてますので、この時期に少し再編をしていくといったこともあります。
何かこういう資本注入するというのは最後の最後の手段だと思います。
その前段階でいろんなことでできればなと思います。

大江キャスター・滝田さん

企業の売上高が2/3程度に落ち込んだ場合、利益が23.3兆円減るということなんですね。
その場合、債務超過が続出するという事態を防ぐためにはどれぐらい必要かと言いますと、5~6兆円の公的資金の注入を中小零細企業にする必要はあるんじゃないかと。
試算されたのは金融危機の時に銀行のトップをやっておられた方の試算なのでとても説得力あると思うんですね。
企業への資本注入は禁じ手とおっしゃるかもしれないけど、選択肢としていかがなもんでしょう。

西村大臣
その前に各種ファンドもありますのでファンドを使って手を打つっていうことはあり得るかと思います。
そうならないようになんとか下支えをして色んな施策を考えていきたいと思ってます。

国内の感染者もじわじわじわじわ増えてきてる状況。
さらに最近は海外から帰って来られた方が感染をしてる。
ここも要注意なんですね。

大規模イベントをやる場合、基本的には対応は慎重にお願いしたい。

密閉空間で密集して人がたくさん集まって、そして密接近い距離で会話をするこの三つが揃ったところで感染が拡大している。
この三つの蜜を下げてください。

1番目が予防対策。
3番目も不特定多数の人が集まって感染があるとも全国散らばり麻疹感染経路がわからないということありますので、できるだけ参加者の連絡は取れるものしてくれということお願いしてます。

最大4.5兆円の資産売却

ソフトバンクグループは保有する資産のうち、最大4兆5000億円分を売却し、現金化すると発表しました。
確保した資金は最大2兆円の自社株買いの他、負債の削減などに充てます。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って市場が混乱し、ソフトバンクグループの株価も大幅に下落していることから財務改善策を打ち出して株価の回復につなげる狙いです。
孫正義会長兼社長は過去最大の現預金などの増加に繋がるもので、事業に対する揺るぎない自信に基づくものとコメントしています。

滝田さん
ソフトバンクグループの株価が急騰したんですね、今のような金融危機の局面で一番重要なのはキャッシュを確保することなんです。
4兆5000億円の資産売却というのは正解。
ただし、自社株買いに2兆円も使ってしまうと借金の返済がなかなか出来ないわけですよね。
財務の改善はあんまり進まないと思います。
瀬戸際の展開がソフトバンクは続くと思います。

KDDI26日に5G開始

auを展開するKDDIは5Gのサービスを26日に始めると発表しました。
対応する新機種7種類も順次発売し、超広角や望遠などを三つのレンズを備えたSonyのXperia1MkIIのほか、中国のZTEやXiaomiなど低価格のスマホも登場します。
5Gならではの動画コンテンツも導入します。
データ通信量は使い放題となるデータMAX5Gプランで8650円です。
5Gサービスをめぐってはドコモが25日に、ソフトバンクが27日に開始する予定で、本格的な5G時代の幕開けとなります。

白物家電出荷10%減

2月の白物家電の国内出荷額は1年前と比べて10.8%減の1655億円でした。
去年10月から5カ月連続で前の年を下回りました。
消費増税前の駆け込み需要の反動減の他、新型コロナウイルスの感染拡大が影響したとみられます。
品目別では冷蔵庫が23.2%減だったほか、洗濯機も16.6%減と大幅なマイナスでした。

巣ごもり消費が活況
自宅でビールを贅沢に

外出を控える動きが広がる中、好調なのがインターネット通販。
大手通販サイトヤフーショッピングでは、避難生活用品の売り上げが去年のおよそ2.4倍になりました。
さらに外での飲み会が減り、消費が増えた影響で売り上げが1.7倍になったのがビール類です。

こうした中、サントリーが明日から行うのがプレミアムモルツのケースを買うと家庭用の電動ビールサーバーをプレゼントするなどのキャンペーンを始めます。
超音波がきめの細かい泡を作り出すことでビールサーバーで入れたのと同じようなビールを家庭でも楽しめるといいます。
この神泡サーバー。去年は200万台出荷されたそうです。

新型コロナウイルス関連ニュース

日本国内の感染者数は39人増え1125人となりました。
退院した人の数は13人増え270人となっています。

G20主要20カ国の財務大臣が電話で会談し、世界経済や金融市場安定化での連携や治療薬の共同開発を進めることで一致しました。

聖火リレーはランナーが走らず日を格納したランタンを車で運ぶ方法に変更する方針を大会組織委員会が固めたことがわかりました。

トレたま:凸凹アートを印刷

T.T.File-5213

本当に凸凹アート印刷で本物そっくりにできるのでしょうか。
最初に行ったのは作品のスキャンです。
数回行うことで色彩や質感のデータを集めます。

白地のキャンバスに白インキを吹きかけて形を作っています。
何回も塗り重ねをすることで絵の表面の凹凸や質感を忠実に再現していたんです。
印刷開始から4時間ほど待ってようやく色付けが始まりました。

 リコー
 UVインク立体版画
 サービス提供中

W解説キャスターの視点

現金給付については早くても5月の下旬以降だということでしたよね。

山川さん
アメリカは4月から給付しようと今準備進めてますよね。
ちょっと遅すぎるんじゃないかと。
今回は経済対策の規模もさることながらスピードが大事。

滝田さん
やっぱり景気の落ち込みの深さでしょうね。
アメリカのブラード総裁は4-6月のアメリカのGDP50%減るんじゃないかって言ってるわけですよ。
日本の景況感もガラっと変わって、より厳しくなってる。
その中で対策が後手に回るの本当に禁物だと思いますね