WBS 2021/3/24(水)

トヨタ、日野、いすゞが提携
背景にドライバー不足・脱炭素

トラックの国内販売シェアが合わせて8割を超える商用車のツートップ日野といすゞ。
国内市場でしのぎを削ってきたライバル同士が提携しました。
両社の背中を押したのがトヨタの豊田章男社長です。

今回の提携でトヨタはいすゞに対し、株式のおよそ5%にあたる428億円を出資。
いすゞもトヨタへ同じ額を出資
します。

さらに顧客である運送会社向けのサービスの開発を加速するため3社で共同出資して新会社を設立することも発表しました。

今回の提携の背景にあるのは運送業界の人手不足です。
ドライバーの有効求人倍率は2.17倍、これは求人数に対して求職者数は半分しかいないという状態です。
ネット販売の普及により配達量が増加。
コロナ禍の巣ごもり需要も加わり人手不足は深刻さを増しています。

トラックで効率よく配達するシステムを共同で開発します。
これまでこうしたシステムは日野といすゞが別々に開発してきたため、両者のトラックを使っている多くの運送会社にとって効率化に限界がありました。
統合することで運送会社はより効率的な配車や配送ルートの作成ができるようになります。

さらに取り組まなければいけない課題が。
トラックなど貨物車の二酸化炭素排出量は自動車業界全体のおよそ4割を占めています。
今回の提携を機にトヨタの技術を生かし脱炭素を加速します。
トヨタは水素で走る燃料電池車ミライなど脱炭素の技術で先行。
こうした技術をトラックにも応用します。
さらに運送会社などにも提携を広げ、サービスやトラックの開発を加速したい考えです。

世界初の自動運転レベル3試乗
高速道路でDVD鑑賞も

ホンダが今月5日に発売した新型レジェンド
世界で初めてとなるレベル3という水準の自動運転の機能を搭載しています。
今日公道を使った試乗会が初めて行われ、番組スタッフがその実力を体験しました。

自動運転のレベルは5段階に分かれています。
高速道路でハンドルから手を離せるレベル2は既に他社が実用化していますが、あくまで運転の主体はドライバーです。
それに対しレベル3、一定の条件の下では運転の主体がドライバーではなく車側になります。
手を離すだけでなく視線を前方から外すことも可能です。

今回ホンダが投入したレベル3は高速道路上で渋滞している状況が作動の条件。
GPSなどで走行場所を認識し、速度が一定以下に落ちると自動でシステムが作動します。

高速道路をしばらく走行すると自動運転システムが作動しました。
一定の速度を保ちながら、車線の中央を自動走行。
この時ドライバーはハンドルから手を離すことが可能です。
ただ手を離すだけなら運転の主体がまだドライバーにあるレベル2の段階です。

そのまま走行続けると、渋滞が発生。
自動で時速30km以下に落ちました。
すると新たな反応が。

渋滞時に作動するこのシステムが世界初のレベル3の機能です。
ドライバーは手放しだけでなく、前方から視線を外してカーナビの画面でテレビやDVDを鑑賞したりすることが可能になります。

ただドライバーの顔を常にカメラで認識しているため、極端に違う方向を向くと警告音がなる仕組みです。
またホンダは目線や表情を読み取りやすくするためにマスクを外して運転することを推奨しています。

100台限定のリース販売ですが、開始からおよそ3週間で半分となる50台程度の注文を受けたというホンダのレジェンド。
世界初のレベル3を実用化できた背景には法律面の整備が日本は海外に比べて進んでいたことがあると言います。

本田技術研究所 先端技術研究所 エグゼクティブチーフエンジニア杉本さん
「道路交通法、道路運送車両法とも20年の4月に法改正されました。そこで自動運行装置を使っていて、使ってる時にはシステムが運転操作を代行する。したがってドライバーは周辺を監視する義務がなくなるということが可能になっています。これも世界初ですので、日本政府の取り組みにも感謝をしているところでございます。」

レベル3の自動運転機能の実用化の動きは海外でも。
ドイツのBMWはレベル3の機能を搭載した乗用車iXを今年中にドイツ国内で発売する計画です。
日本での販売は未定です。
メルセデスベンツもレベル3を搭載したSクラスを今年後半に市場投入したい考えです。

自動運転技術の開発競争が熱を帯びる中、ホンダは今後レベル3を渋滞時だけでなく高速走行でも作動させることを目指します。

ホンダが世界をリード

山川さん

レベル1というのフットオフですから自動ブレーキ機能とかが入ってる。
2になるとハンズオフですから一定の条件下でハンドルから手を離せる。
そしてレベル3はアイズオフ。
一定の条件下で今度は目を離してもいいということになります。
レベル4になるとマインドオフですから、運転から意識するものを離してもいい。
ブザーもならなくなります。
レベル5になるとドライバーオフですから無人運転ということ。

Q:これでホンダは自動運転で一歩先に出たと言っていいんでしょうか?

そこまで甘くはないんです。
実は2から3と非常にハードルが高いと言われてるんですが、ビジネス上の旨味は少ないと言われてるんですね。
やっぱり4から5運転手がいなくなると、タクシーもトラックのバス会社もみんなこれはもう人手不足対応だったり、コスト削減に繋がるわけですね。

2、3を飛ばして最初っから4、5を狙ってる企業、例えばアメリカとか中国のテック企業なんかそうなんですが、ですからホンダを含む日本企業も2とか3で培った技術を最終的には4、5で勝たなきゃいけないですね。

自動車業界の少し先
日本が世界で勝つには

Q:日本の自動車業界世界で勝っていくためにはどのような課題があるんでしょうか?

日本共創プラットフォーム冨山和彦さん

二つの挑戦に直面してるんですね。

ひとつは地上戦で物を作って、物が走ってるっていう世界に加えて、物流もそうですけど今度はサイバー空間、ネットの空間で色んな新しいサービスや技術を使って、新しい価値を生んでいく。
アップルやGoogleやそういった会社が音響機器の世界でやったようなこと。
これが一つあります、それに対してどう対峙していくのか。

それからもう一つが環境規制。
日本の自動車メーカー内燃機関型の車できましたからエンジンから電動化。
非常に大きなパラダイム、転換が起きますね。

日本にとって自動車産業は唯一残った巨大な中間層雇用を生む製造業型の産業です。
本当に多くの人がいて、豊田章男社長言ってますけど570万人。
ここがそういう挑戦を受けてるって事はほんとにがんばりところで、チャンスでもあるので是非とも今回は日本の経済産業の成長につなげてほしいなと思っています。

ほんと頑張りどころ、オールジャパンで頑張りたいところ。

リバウンド傾向?ワクチン懸念も

1都3県の知事は4月1日から21日までをリバウンド防止期間とし、午後9時までの時短要請を来月21日まで延長することで合意しました。
リバウンドの傾向は各地で出ています。
一足早く緊急事態宣言を解除した大阪府では新規感染者数262人と今月最多を更新。
宮城県でも過去最多の171人を記録。
この一週間の合計を10万人あたりに換算すると、東京の2倍以上です。

地方でも感染が拡大していることに日本医師会は
「行政的にも住んでいる人も緩んでいるのではないと言われてますが、このままではリバウンドの強い懸念があります。」

この状況の中、明日から始まるのが東京オリンピックの聖火リレーです。
第1走者を務める2011年サッカー女子ワールドカップを制した日本代表メンバーのうち、澤さんは体調不良を理由に辞退を表明。
高知県を走る予定だった広末涼子さんもスケジュールの都合でキャンセル。
著名人のランナー辞退が相次いでいます。

海外ではワクチンについて懸念が。
アメリカ国立アレルギー感染症研究所は23日、イギリスのアストラゼネカが発表したアメリカでの臨床試験結果について、有効性に関する不完全なデータが提供された可能性があるとの声明を発表しました。
アストラゼネカはアメリカでの治験について発症を防ぐ効果は79%、重症化を防ぐ効果は100%だったとする暫定結果を出していましたが、実際にはより低い値になるとの指摘が出ています。
アストラゼネカは有効性に関する最新データを48時間以内に公表する方針を表明しています。

世界で半導体が足りない
米国で巨額投資、日本は?

先月中旬アメリカテキサス州を襲った大寒波。
氷点下の気温が一週間以上続き湖は完全に凍結。
400万世帯以上に停電の被害が出た他、この寒波による影響は思わぬところにも。

世界2位の半導体メーカーサムスン電子の工場が停電のため製造ラインがストップしたのです。
世界的なテレワークの拡大でパソコンの売り上げが伸びたほか、中国などでの自動車生産が急回復する中で半導体不足に深刻な打撃を与えました。

アメリカ政府は早速、アメリカのバイデン大統領は先月半導体の製造強化に日本円でおよそ3兆8000億円を投資すると表明。

これを受けインテルは今月23日、アリゾナ州に工場を新たに二つ建設すると発表しました。
投資額は日本円で2兆円を超えます。

このアリゾナ州には台湾のTSMCの工場もできる予定でアメリカでは国内工場の建設準備が進んでいます。

世界的に対応が進む中で起こったのがルネサスエレクトロニクスの工場火災だったのです。
4月から9月の国内自動車大手の生産は165万台減少するとの試算も出ています。

経済産業省は今夜、半導体の安定供給に向けた方策などを話し合う初の検討会を開きました。
参加した民間企業は半導体メーカーのルネサスやキオクシア、車部品大手のデンソーなど11社。
検討会では生産拠点を国内に建設することを促す方向性が確認されました。

検討会のメンバーを務める専門家は

東京理科大学大学院若林教授
「これまで半導体にあまり戦略的な認識がなかった。いざとなれば台湾・中国から取ってくれるるという認識だった。今の国際情勢・地政学リスクを考えた時に日本に全く大きなファウンドリー(製造受託会社)がないってのはやばいよねと。ある程度日本にファウンドリーの工場をつくるべき。」

かつて世界の半導体の売り上げの半分を握っていた日本。
80年代をピークに今やそのシェアは10%程度まで落ち込んでいます。

一方で半導体の需要は5Gや自動運転車などの市場拡大により今後もますます伸びていく見込みです。

そこで必要なのは政府による支援です。
アメリカでは3.8兆円の支援が行われているだけでなく、中国では国と地方を合わせて10兆円規模の予算が投じられています。
一方、日本政府の支援額は2000億円ほどに止まっているのが実情です。

「ゆっくりのんびりやってるとアメリカにどんどん工場ができます。アメリカからも見放される。やっぱり日本は何も決められなくて遅いねっていうことで。これは国家安全保障上も大きな問題になる。この5年が勝負だと思います。」

白熱ランキング:キャンピングカー

人気を集めているキャンプ。
こうしたキャンプ人気で今売れ行きを伸ばしているのがキャンピングカー。
そこで今回はいま人気のキャンピングカーをランキング。
果たして一番人気のキャンピングカーとは。

今回は比較サイトキャンピングカー比較ナビの人気車種ランキング。

9位にランクインしたのが軽自動車の給電くん。
小さな車体でもその中を見てみると、電子レンジやコーヒーメーカー、シンクなどの設備も取り付け可能で、キャンプでも快適に過ごせます。
さらに屋根の上のポップアップルーフでも寝ることができるので最大で大人四人が宿泊可能です。
給電くんという名前の通り屋根にはソーラーパネルが設置されていて、電気設備が充実、災害時でも安心です。

7位から5位にはキャブコンと呼ばれる大型のキャンピングカーがランクイン。

7位に入ったこのキャンピングカーを作っているのがナッツRV。
国内と海外に四つの工場を持ち年商は85億円と業界最大手。
数多くのキャンピングカーを製造するこちらのメーカーで一番人気なのが7位の車。
車内には人が立てるほどの広々としたスペースに。
冷蔵庫やベッドの上にはエアコンまで完備。
4時間ほどエンジンをかけるだけでフル充電することができる独自の急速充電システム。
これにより電力消費の大きいエアコンを毎日使っても大丈夫です。

4位にはミニバンのキャンピングカーがランクイン。
普段使いの車が広々とした空間にゆったり過ごせます。
こうした乗用車などを専門に取り扱っているのがホワイトハウス。
実は今回ホワイトハウスの車は上位に3台もランクイン。

その1位は軽の商用車をベースにしたキャンピングカーです。
特許も取得した独自の技術で運転席が180°回転するので、商用車の空間を最大限活用することができます。
そしてもう一つの特徴が充実したオプション装備。

この春はキャンピングカーで快適なアウトドアを楽しむのもいいかもしれません。

かんぽ処分3300人に

日本郵政グループは今日、かんぽ生命保険の不正販売問題で営業担当の郵便局員や上司など新たにおよそ1300人を処分すると発表しました。
これまでに処分された人を合わせるとおよそ3300人に上ります。
また全国に13ある支社の支社長全員を交代させるなど体制を一新させたうえで、自粛してきた個人向け営業4月からおよそ1年9ヶ月ぶりに本格的に再開することも決めました。
行き過ぎたノルマで不正が起こったため、当面は販売目標を設けない方針です。

ミャンマーデモ628人釈放

ミャンマーでクーデターへの抗議デモに参加するなどして治安当局に拘束されていた628人が今日釈放されました。
理由は明らかにされていません。
一方、第二の都市マンダレーでは昨日7歳の女の子が治安部隊に銃撃され死亡しました。
一連の弾圧で最年少の犠牲者です。
父親の膝に座っていたところ腹部を撃たれたということです。

デンマーク電動自転車上陸

デンマークの電動自転車ブランドメイトバイクが日本初上陸し、都内の旗艦店を報道陣に公開しました。
メイトバイクは安定性を重視した太いタイヤが特徴で折りたたんでキャンプ地などにも持ち運べると言います。
コロナ禍で自転車通勤のニーズが高まっていることを受け、30代から40代のビジネスマンをターゲットに年間1万台の販売を目指します。

東電に運転禁止命令へ

東京電力柏崎刈羽原発でテロ対策の不備が相次いだ問題をめぐり、原子力規制委員会は今日、東京電力に対し核燃料の移動を禁じる事実上の運転禁止命令を出す方針を決めました。
期間は自律的な改善が見込める状態になるまでとしています。
規制委員会が行政処分を出すのは廃炉になった高速増殖炉もんじゅを運営していた日本原子力研究開発機構に次いで2例目となります。

東証上場セレモニー再開

新型コロナの影響で一時取りやめとなっていた東京証券取引所での上場セレモニーが今日およそ3ヶ月ぶりに再開しました。
今日ジャスダックに上場したのは半導体の検査装置の開発などを手掛けるシキノハイテックです。
世界的な半導体不足を背景に公開価格は390円でしたが買い優勢で今日は初値はつきませんでした。

日経平均が4日連続下落

または東京株式市場ではヨーロッパで新型コロナによるロックダウンの延長などを受け、景気回復期待が後退したため日経平均株価は4営業日連続で下落し、終わり値は昨日より590円安い28405円でした。
この4日間の下落幅は1800円を超えました。

ニューヨーク株式市場現在の動き、ダウは320ドル近くの上昇、ナスダックは40ポイントほど下落しています。
円相場1ドル108円90銭台で取引されています。

重要度増す半導体市場
日本にもチャンスが

冨山さん
元々半導体って付加価値として一つは作る側、精算とか材料とかっていう部分と、それから設計と二つあるんです。
どちらかというと今はやっぱり素材強いですし、今でも製造装置メーカーとかトップを占めるようにこちらが強い。
今また生産のところが大事になってきてますから巻き返しのチャンスですね。

それからもう一方設計の方なんですけど、ここは日本は弱い部分ってのは標準的な設計ををハイレベルでやるのが弱いんですよね。
ただここは本当にグローバルに人材集めれば本当はできるところ。

それからもう一点、巻き返しの絶対の条件は強いリーダシップ。
半導体激しい産業なのでトップダウンで強烈な意思決定がパンパンパンとできるような形にしないと巻き返せないんで、そういうことをクリアしていけば私はまだまだチャンスがあります。
自動車産業と並んでデジタル化が進むと頭脳。
すべての産業にとって重要な産業になるんで絶対頑張んなきゃだめですね。

トレたま:クラブハウスラーメン

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今日のトレたまは飲食店を救おうとクラブハウスの中で出たアイデアを形にしたクラブハウスラーメンです。
一見普通のラーメンに見えますがそこにはメッセージが。

フードコネクション 石田さん
「料亭の方が辛い(つらい)業界だから辛い(からい)ものがいいんじゃないかと」

アイデアを形にしたのはクラブハウスに参加していたラーメン店主の早坂さんです。
ラー油を混ぜた辛味噌に練り込んだのは数種類のゴマ。
辛さの中にゴマの香ばしさが引き立つと言います。
一味足すことで幸せを呼び込んでほしいという思いが込められています。

完成したレシピを来月無料で公開します。
今後は焼き鳥店の売上を上げる方法を議論するなど、クラブハウスを活用した取り組みを広めたい考えです。

トヨタ・いすゞ資本提携
仲間作り、こだわる理由は?

山川さん

元々トヨタは一回いすゞに出資してたことがあって、その時っていうのはアメリカのゼネラルモーターズGMがリストラをやんなきゃいけなくって、その株を持ってくれということで受け皿になった経緯があった。
ところがその時は乗用車とま商用車でしたからあんまり提携しても何かやることがなくって、結局解消したんですが、今回それをもう1回復縁したということは今回やっぱり相当電動化に向けてやっぱり組まなきゃいけない。
本気度がすごく感じられる提携ですよね。

今のトヨタはとにかく仲間づくりに注力してるんですね。
ここにあげたのは日本の自動車メーカーとの関係だけ示してますけども、実際は世界的にいろんなメーカーと提携したり、あるいは世界的なテック企業とも提供しています。
この背景にあるのは実はトヨタの苦い経験なんですよ。
仲間外れにされたことがある。
ハイブリッドカーの時に当時のプリウス、これがあまりに凄すぎたんで世界中の自動車メーカーがトヨタの同じ土俵で戦ってもかないっこないと思ったんで、EVシフトに入ったんですね。
結果としてトヨタはハイブリッドのシェアを世界的に伸ばせなかったんで、今回はとにかく仲間づくりだというところに力入れてるわけですね。

特に自動運転と燃料電池車です。
この二つっていうのは一般向けの乗用車よりもはるかに早くトラックの分野の方がいろんなニーズが出てくるんです。
トヨタとしては先々の戦略を見据えた時、電動化を見据えた時に、いすゞと日野が組み合わさるとシェア8割。
ここの仲間づくりをやってくっていうのは自分たちの将来戦略に向けた欠かせないパズルのピースだったということですね。