WBS 2021/5/27(木)

NY中心地も観光復活
旅行需要増、民泊も期待

ニューヨークの繁華街タイムズスクエアには
新型コロナワクチンの接種が進むアメリカでは旅行に出かける人が急増。
接種をいち早く終えた60代から旅行需要が回復しました。

TSA運輸保安局によると、今月空港を利用した人の数は新型コロナが流行する前の2019年の7割近くにまで回復しています。

観光復活の恩恵はこんな人達にも。
観光客から貰えるチップで生計を立てている路上パフォーマー。
収入アップに手応えを感じていました。

旅行需要の増加に期待を寄せているのが民泊仲介大手のエアビーアンドビーです。
共同創業者のネイサン・ブレチャージク氏がテレビ東京の単独インタビューに応じました。

「ワクチン接種の開始と規制緩和の影響による需要回復はアメリカで初めて確認された。」

エアビーアンドビーの最新の売上高は1年前から5.4%増加し、予約済みの宿泊代金の総額も50%以上増えました。
各国とも今のところ国内旅行が中心ですが、ワクチン接種が進んだ国同士の国境の解放に期待を寄せます。

「EUがワクチン接種したアメリカ人観光客を受け入れる案を発表した後、一晩で応酬の検索が25%増えた。今後に非常に楽観的だ。」

アメリカ集団免疫へ高い壁
接種急減余るワクチン

ただそのアメリカではワクチンをめぐってある課題が。
ニューヨーク市から車で2時間ほどのところにあるペンシルベニア州フィラデルフィア市。
映画ロッキーのロケ地としても知られる町です。
街の中心にあるコンベンションセンター。
3月3日から新型コロナワクチンの接種会場として使われてきました。

アメリカ最大規模のワクチン接種会場に来ています。
こちらでは12週間にわたって30万回以上のワクチンが摂取されました。
5月25日をもって運営が終了します。

連邦緊急事態管理庁が国防総省や市と協力して運営してきた接種会場ですが、最近では利用者が大幅に減っていたのです。

フィラデルフィア市のワクチン接種率はこの日の時点で35.1%。
集団免疫の目安とされる人口の70%には程遠く、全米平均を下回っています。

このタイミングで大規模摂取会場が終了することについて市の担当者に話を聞くと、フィラデルフィア市では先月の半ばを境にワクチン接種回数が急激に減り始めたのです。

先月下旬、使用期限が迫ったワクチン1100回分がこちらの薬局にも送られてきました。
薬局のオーナーにワクチンを使い切ることができたのか尋ねると、およそ700回分ののワクチンは使用期限が切れてしまっていました。

この薬局では今年の1月から隣の部屋を借りてワクチンの接種を始めました。
3月から4月上旬までは毎週平均2000回分のワクチンをここで摂取していたのです。
多くの人がワクチンを接種した時の気持ちをメッセージとして残していました。
そこにはようやく普通の生活を取り戻せるという希望が溢れていました。
しかし今はワクチンを打ちに来る人が一気に減ったため接種を実施するのは週2回だけに。
準備したワクチンを使い切れない事態も起き始めているのです。

ワクチン接種で先行するアメリカですが、集団免疫の獲得までにはまだ大きな壁がありそうです。

緊急事態宣言再延長へ
9都道府県来月20日まで

一方ワクチン接種の遅れが指摘されている日本。
政府が都内に設置した大規模接種会場では、都民を対象に用意した予約枠7万件のうちおよそ18000件が埋まっていません。
このため政府は埼玉県や千葉県、神奈川県の65歳以上の住民を対象とした予約の受付を当初の予定を前倒しして明日から始めることを決めました。

こうしたなか焦点となっているのが31日に期限を迎える緊急事態宣言の再延長です。

今夜関係閣僚と協議した菅総理大臣。
政府は東京や大阪など9つの都道府県に発令している緊急事態宣言について、さらなる感染拡大を防ぐため来月20日まで再延長する方針を固めました。

明日、有識者を交えた分科会などを経て正式に決定する見通しです。
今後の焦点は宣言の再延長を踏まえた各自治体の判断です。
飲食店での酒類の提供停止については継続する方向で調整しています。
ただ大規模商業施設への休業要請などについては継続するのか緩和するのか検討が続いています。

映画館への休業要請は

休業要請の対象について焦点の一つとなっているのが映画館です。
東京都や大阪府は3回目の緊急事態宣言が出た4月下旬以降、大型の映画館に対して休業を要請。
TOHOシネマズは都内で13箇所、大阪で5箇所の映画館を休館しています。
東宝や松竹など映画会社4社で構成する日本映画製作者連盟はおととい声明文を発表。
クラスターが発生していないことなどを踏まえ来月からの営業再開を求めています。

東京都は今月12日以降、演劇の劇場や演芸場などは収容人数の50%といった上限を設けた上で営業の再開を認めました。
一方で映画観に対しては人流の抑制を目的に協力金を出した上で、休業を求めてきました。
東京都と大阪府は全国の映画館のおよそ35%を占める巨大市場。
休館は映画館だけでなく配給会社や制作者にも影響が出るため東京都の判断が焦点となっているのです。

東京五輪、何としても開催

官邸キャップ 篠原さん
何としてもオリンピックを開催する。
それまでには感染状況を改善しておきたい。
というのが今回の宣言延長の背景にある政府の本音だといえます。
東京オリンピックパラリンピックについて、私たちも政権幹部や官邸の関係者に本音を探る取材を重ねてますけれども、中止ということを口にする人はいません。
むしろ全てはオリンピックのためにという空気感で色々な政策のスケジュールが決まっているというのが現状です。

そもそも高齢者のワクチン二回接種の完了の時期を7月末という風に菅総理が設定したのもオリンピック開催を意識したものです。
昨日も周辺に対してとにかく腰を据えてワクチンをやるんだと意気込んでいたということで、オリンピック開催に国民の納得感を得るため少なくとも高齢者へのワクチン接種の目処はつけておきたいという考えなんです。
また今回緊急事態宣言の延長が6月20日という日程で延長されたのもオリンピックがある7月を前に、余裕を持って国内の感染状況を改善させたいという政府の願望が透けて見えるものです。

今入ってきた情報では、オリンピックのために感染者の推移が上向きになっていたとしても、基礎的な人数が少なければそんなに問題にはならないと、そういう認識を示しています。

Q:国民の間ではオリンピック開催に疑問の声も出ています。これをどう捉えているんでしょうか?

今は堪えどころだと。
オリンピックをやってしまえば、批判している人たちも必ず最後は感動して喜ぶんだという風に話していまして、政権としては引き続きオリンピック開催に向けて粛々と準備を進めていくそういう方針です。

日本もワクチン余る?

滝田さん
100万回という目標が達成できるかどうか大きなポイント。
アメリカと日本の置かれている局面は違うんですけど、一つ似た問題が出てきてるんですね。

これはこのほど使用が承認されたアストラゼネカのワクチンに対する取り扱いなんですよね。
これは摂取の目処が今のとこ立ってないわけですよね。
6000万人分が宙に浮いちゃっている。
血栓の問題なんですけれども、若者に多いという風に言われてるんです。
それを意識してEUヨーロッパ連合の場合は50歳や55歳以上といったような中高年齢層にワクチンを限定するという風に言ってるわけですね。
日本の場合は誰にアストラゼネカのワクチンを打つのかっていう論点になってくるんですよね。
そこで一つ出てくる可能性としては今ワクチンが足らなくて困ってる台湾とかタイと日本の仲間ですよね。
本当にお困りならばどうぞという手を差し伸べるというのは一つの外交的選択肢としてもかあり得るんじゃないかと思うんです。
世界で100か国の国が安全かを承認しているわけで、相手国から申し出があった上での対応ということにはなると思いますけどね。

緊急事態宣言に翻弄
商業施設、段階的にオープン

東京府中市、今月25日新しい商業施設がオープンしようとしていました。
店の外には十数人の行列が。
10時の予定だったオープンを9時半に前倒ししました。

2019年に閉店した伊勢丹府中店の跡地に開業したミッテン府中
地上9階、地下1階、75店舗が入る予定です。
家電量販店を展開するノジマが開発しました。
ウリの一つがデパ地下を意識したという食品フロア。
生鮮食品の並ぶスーパーのほか、できたての惣菜屋。
スイーツなどの専門店も充実しています。

例えばこちらは蜂蜜の専門店。
巣箱から取り出したままのはちみつなど様々な種類の並びます。

他にもこれまでは都心の百貨店まで行かなければ買えなかったものや、地元府中の有名店などを集めたと言います。
地域の経済を担う施設の開業に出店するテナントも期待を寄せています。

この施設の館長が栗原郁夫さん65歳。
栗原さんはトヨタ自動車でカーディーラーを併設したショッピングセンタートレッサ横浜の開業を手がけました。
その実績を買われ、ミッテン府中の館長として白羽の矢が立ったのです。
そんな栗原さんも緊急事態宣言下でのオープンはもちろん初めて。

オープンから1時間、コロナ禍ゆえの対応に迫られます。
入り口での検温で発熱が確認された客がいたと連絡が入りました。
帰宅を促し帰ってもらいました。
発熱で入店を断るのは栗原さんも初めてのことだと言います。

そんな栗原さんに追い討ちをかける出来事は。
緊急事態宣言が6月20日まで延長されることが濃厚だというニュースが入ってきました。
栗原さん施設の幹部を集めて緊急会議です。
実はこの施設、生活必需品を扱う一部の店だけをプレオープンしていました。
グランドオープンは28日を予定していたのです。

1階からエスカレーターに乗ると、次に降りられたのはなんと5階、家電量販店が入るフロアです。
店頭のポスターには20日、25日、28日と様々なオープン日が書かれていました。
緊急事態宣言に対応するため家電量販店を皮切りに食品のフロア、それ以外の生活必需品を扱うフロアと段階的にオープンする計画。
グランドオープンは緊急事態宣言解除後に先延ばしすることを決めました。

運営するノジマはオープンが遅れた分のテナント料はかからないようにするとしています。
しかし施設はノジマがビルを所有する会社から借り上げてテナントに又貸しして運営しているため、オープンが遅れるとノジマが払う賃料の負担が重くのしかかります。

資本提携の解消視野の協議

家電量販店大手のノジマは経営再建中のスルガ銀行に資本業務提携の見直しについて協議を申し入れたと発表しました。
スルガ銀行の経営方針や人事を巡り、両社は対立していて協議の結果によっては提携を解消する可能性があります。
一方スルガ銀行は副会長を務めるノジマ社長の野島氏が6月の株主総会で副会長を退任すると発表しました。

日EU「台湾海峡の安定」で一致

菅総理大臣はテレビ会議形式によるEUヨーロッパ連合との定期首脳協議を実施しました。
東シナ海などで影響力を強める中国を念頭に一方的な試みに強く反対する、とした上で台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すことで一致しました。
まだ協議もに取りまとめられた共同声明では東京オリンピックパラリンピックについて、本年夏、安全・安心な形で開催することを指示すると明記されEUのオリンピック開催への協力姿勢を明確にしました。

アマゾンMGMを買収

アメリカのAmazon.comは人気スパイ映画007シリーズを手掛ける映画制作会社のMGMメトロゴールドウィンメイヤーを84億5000万ドル、およそ9200億円で買収すると発表しました。
コンテンツを増やし競争が激しい動画配信を強化する狙いです。

米中貿易巡り閣僚級協議

アメリカと中国はバイデン政権下で初めてとなる貿易に関する閣僚級の電話協議を行いました。
USTRアメリカ通商代表部のタイ代表と中国の劉鶴副首相が参加し、知的財産権の保護や関税措置などについて議論したとみられます。
成果をめぐっては双方とも率直に意見交換したと表明するに止めました。

新型コロナ関連ニュース

全国で新たに感染が確認された人の数は4043人でした。
重症者の数は1371人となっています。

新型コロナウイルスの起源を巡り、90日以内の報告を求めました。
アメリカのバイデン大統領が新型コロナの起源について情報機関に追加調査を指示しました。
情報機関からのこれまでの報告ではウイルスが動物から感染したか中国の武漢ウイルス研究所から流出したかで見解が分かれているといいます。
一部のメディアがアメリカの情報機関の報告書の内容として、コロナ感染者が初めて確認される1ヶ月前の2019年11月に武漢の研究所で研究者3人が体調を崩し病院で治療を受けたと伝えています。

摂取をすませばマスクなしで観戦できます。
アメリカメジャーリーグのヤンキースはワクチンの接種を済ませた人向けの専用席を設置しました。
隣と距離を取らずに座ることができ、観戦中のマスク着用も義務付けていません。
一方、ワクチンを接種していない人が座るエリアではこれまで通り入場者お客席数のを1/3に制限していて、飲食をする時以外はマスクの着用を義務付けています。

ロシアでは動物も対象です。
何やら不安そうな表情の猫、理由は注射でした。
猫に打ったのは世界初だという動物向け新型コロナワクチンで開発したロシアでは既に大量生産も始まっています。
動物検疫当局によりますと新型コロナは動物を通じて人間にうつる可能性もあり、変異ウイルスなどを防ぐ意味でも動物へのワクチン接種が重要だということです。

在宅時間が延びたことが背景にありました。
電子レンジやオーブントースターなど調理家電に関わる事故が去年1年間で98件発生し、前の年に比べ14%増加したことが製品評価技術基盤機構のまとめで分かりました。
中に食品カスが付いていたり食品を加熱しすぎたりすると発火することがあるということです。

1日50万回超?

滝田さん

新規摂取は40万人台だというわけですけれども摂取合計のところ。
毎日の摂取効果が出てるんですけども、前日との差分を見てみると多い数字なってるんです。
ワクチンを接種したお医者さんが国のシステムに報告をするんですけれども、なかなか忙しいと報告が遅れちゃうんです。
その時間差があるんですけれども、56万回という数字と40万回という数字が全然違う。
印象も違います。
それはやっぱり政府がきちんと前日比の数字を発表しなきゃいけないんですよ。
それが政府の戦略としてもっときちっと僕は示すべきだと思います。

アメリカエクソンモービル
ファンド提案の取締役選出

物言う株主として知られるエンジンナンバーワンは、エクソンの温室効果ガスの削減計画を批判し、取締役会の刷新などを求めていました。
エクソンは賛成しないよう株主に求めていましたが気候問題への関心の高まりなどから、今日の総会ではエンジンが推薦する取締役候補を少なくとも2人が選出されました。

一方ヨーロッパではオランダの裁判所が26日、石油大手のRoyalDutchShellに対して、2030年までに二酸化炭素の排出量を2019年と比べて45%削減するよう命じる判決を言い渡しました。
シェルは今年2月に2030年までに排出量を2016年と比べて20%削減する目標を掲げましたが不十分だと判断されました。

こうした動きを受け世界のエネルギー企業に対して脱炭素を求める圧力がさらに強まる可能性があります。

石油大手にも脱炭素派

滝田さん
金融界全体の流れができたという感じだと思います。
物言う株主に加えて、年金基金、そして大手の運用会社ブラックロックなんかなんです。
みんな一緒になって今回の流れを作ったということだと思います。

エクソンは脱炭素で遅れてるって言うことでプレッシャーが強かったんだと思いますよ。

ダッチシェルの裁判所の判決はペースが遅いと、もっと早めろっていうことですね。
片方で株主、片方で裁判所の圧力非常に強まってる。

日本にも確実に来る。
一つ考えなきゃいけないのは対岸の火事だと思ってていけない。

地球帰還の野口さん会見
コロナ禍の生活アドバイス

ISS国際宇宙ステーションにおよそ半年にわたり滞在し、2日に地球に帰還した宇宙飛行士の野口聡一さんが先ほど会見を開き、帰還の様子について笑顔で語りました。
3度目となる宇宙滞在に臨んだ野口さんは今回の飛行でアメリカスペースXが開発した民間宇宙船クルードラゴンに搭乗しました。
アメリカヒューストンでリハビリ中です。
また野口さんはISS滞在中にはYouTubeで実験や生活の様子などを配信していました。
宇宙滞在の経験から長引く新型コロナ禍の生活についてアドバイスを送りました。

「やはり長期戦になってるので、ストレスは多いと思います。ストレスを減らすという意味では、もうこれがいま自分たちの置かれてる状況なんだって言うのを受け入れる潔さは大事かなと思います。」

ワクチン接種の自治体格差

滝田さん

地方で摂取が進んでいるという風にこう言われてるんですけども、東京でも例えば中野区なんか非常に進んでるわけですよ。
例えば中野区の場合は医師会と協力して個別のクリニックで接種するということを後押ししてるんですね。
いろんな努力をしてます。
見える化が大切なんですけれども、今都道府県については週1回接種率、つまりどのくらいの高齢者に摂取したか発表してるんですが、具体的には、石川県なんですけど、5月23日の段階でも10%のラインに乗せている。
お隣の富山県まだ4%台ですから、早く進めてるところともたもたしてるところに格差が見える。
これをもっと進めるためには市区町村別の摂取状況も公表する。
抵抗もあるでしょうけど。