WBS 2021/6/10(木)

東芝総会、公正に運営されず
国と一体となり株主に圧力か

去年の東芝の株主総会で一部の株主が議決権を行使しないよう圧力を受けたとされる問題。
今日、調査を担当した外部の弁護士らが会見を開き、東芝は経済産業省と一体となって筆頭株主の投資ファンド、エフィッシモキャピタルマネージメントの株主提案権の行使を妨げようと画策したなどと指摘しました。
物言う株主として知られるエフィッシモは当時、東芝経営陣と対立し、独自の取締役選任案を提案。
総会では否決されましたが、その背後で東芝が一部の株主に対しエフィッシモの案に賛同しないよう画策したとしたのです。

調査では当時の車谷社長らが経産省と緊密に連携していたと認定。
経産省はフェリシモの案に賛同すれば外為法に基づく何らかの措置が取られることを株主側にしたしたと指摘しています。

経産省の関係者は偏った内容の報告書だとした上で
「いいことやってるでしょ、何も悪いことないですし、ちゃんと東芝をアクティビストから守ったということで。」

さらに調査では、当時の東芝の車谷社長が菅総理に株主総会の対策について説明したと推認されると指摘。

コロナ禍で椅子1万脚売却
オフィス家具の運命は?

オフィス家具の中古品買取サービスを手がけるオフィスバスターズの倉庫。
中には企業で使われていた机や椅子、ロッカーが並んでいます。
オフィスの縮小が続き、買い取る数は去年よりも2割ほど増加。
大企業からの依頼が増え、一社で1万脚を買い取るケースもあると言います。

一方で新たな動きも。
オフィスを縮小するものの、使っていた家具は売らずに保管しておくという企業が急増。
預かりサービスの利用者数は去年の2.5倍になっています。

ぐるなびのオフィス革命

飲食店情報サイトを運営するぐるなびは去年11月に本社オフィスの面積を半分に減らしました。
コロナ禍の働き方似合うオフィスにするため大幅な改装に踏み切ったのです。
座席数を75%減らして、社員同士のコミュニケーションを円滑にするレイアウトに変更。
リモート会議用のブースを設置するなどオフィス家具も一新。

ぐるなびの現在の出社率は12%ほど。
社員はほとんど出社していない状況でも改装に力を入れたのにはコロナの先を見据えたオフィスへの考え方の変化でした。
今回ぐるなび本社の改装を手がけたのはオフィス家具大手のオカムラです。

オカムラ 中村社長
「キーワードは集中、プライバシー、コミュニケーション。オフィスの在り方が変わった。」

従来型の机や椅子の売れ行きが厳しい中、個室ブースなどの売り上げは絶好調。
中村社長自身も一時期は赤字を覚悟したと言いますが、21年3月期の連結決算は過去最高益を更新しました。

Q:特需と言えるか

「今回の動きは特需ではなくて、質が変わったので、新しい目が今出て、その入り口にちょうど立っているんじゃないか、そういう意味ではこれからが楽しみ」

新しいオフィスのカタチ

コロナ後のオフィスを狙い、新たな取り組みも始まっています。

パナソニックのオフィスを訪ねると、去年12月に誕生したワークスラボという施設。
1フロアを使った実証実験が行われています。

モニターには人の密度や二酸化炭素濃度など現在のオフィスの状況がリアルタイムで反映されています。
ショールームも兼ねるこちらの施設では実際にパナソニックの社員が働いていて、200個以上のセンサーなどで行動データを収集しています。

特に力を入れるのが感染症対策です。
通常1M程度とると言われている飛沫を天井から気流を流すことで床に落ちるよう誘導し、感染リスクを下げるための工夫を施しています。

こちらは感染対策を取り入れた上で、離れた場所と大画面で会議することができる部屋です。
パナソニックは実験を通じて開発した設備をオフィスの改装を検討する企業に提案していく考えです。

さらに去年始まったコロナなど感染症対策に特化したオフィス認証を企業が取得する際に支援するコンサルティングに来月乗り出します。

新型コロナ関連ニュース

全国で新たに感染が確認された人の数は2046人でした。
重症者の数は1015人。

予約枠が埋まらず64歳以下への摂取も検討します。
自衛隊が東京と大阪で運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約枠が埋まっていないことを受け、政府は全国の高齢者に対象を拡大しました。
電話での受付も始めます。
さらに自治体による接種券配布が進めば64歳以下にも対象を拡大する方針です。

緊急事態宣言下での窮状を訴えました。
飲食店の経営者や有名シェフなどが会見し、飲食産業の18団体の統一見解として提言を発表しました。
感染防止対策を取った店には午後8時までの時短営業の緩和や酒類の提供禁止の撤回を求めています。

飲食業や観光業の支援を盛り込みました。
全国知事会がコロナ後の地域再生に向け、ワクチン接種の加速や飲食業や観光業への支援の強化などを打ち出しました。
雇用対策や財政支援など国への提言もまとめ近く政府に提出します。

牛丼が空を飛びます
吉野家の牛丼が積み込まれたのはドローンです。
これはドローンを使った物流を手掛けるベンチャー企業が公開した実証実験です。
15分ほどかけおよそ5km離れたコロナ患者を受け入れる病院に牛丼を届けました。
今後実験を重ねて物流用ドローンの量産化を目指します。

日本市場に攻勢
海外メーカーEVが集結

今日都内で開かれたイベント。
海外メーカーのEV電気自動車などの販売を促進するため、日本自動車輸入組合が開いたイベントです。
11台の車がメーカーの垣根を越えて集まりました。

ドイツのBMW、国内ではまだ正式発表されていないSUVスポーツ多目的車モデルのEVです。
日本では今月からオンラインで予約を開始。
秋以降に発売される予定です。

こちらはアウディが日本市場に初めて投入したEVモデル。
フル充電でおよそ400km走行でき価格はおよそ1300万円。

特徴はサイドミラーの位置につけられたカメラです。
バーチャルエクステリアミラーと言い、天候が悪いとか夜間でもクリアな映像が映るので視認性がいい。

現在日本市場における海外メーカーのシェアは1割程度。
各メーカーはEVを全面に押し出すことでシェア拡大を狙いたい考えです。

海外勢迎え撃つ日産
秘策は電池リサイクル

海外メーカーが日本市場に攻勢をかけるEV、日本メーカーは。
先週新型EVアリアの投入を発表した日産自動車。
世界で初めて量産型のEVリーフを発売して、およそ10年ぶりとなる第2弾です。
海外勢が続々と新型車を投入する中、日産はこの10年ある秘策を練ってきました。
福島県にある子会社の工場。

積み上げられていたのは一定期間経過したリーフから回収した電池。
EV用電池の再生工場です。
異物を取り除いたり、塗装塗り直したりする作業が行われていました。
EVは走行時にCO2二酸化炭素を排出しないエコカーの代表格ですが、一方である課題も指摘されています。
EVの核とも言えるリチウムイオン電池ですが、生産する際に大量のco2を排出します。
そのためEV1台を作る際の排出量はガソリン車の2倍とも言われます。
そこで世界のメーカーが今力を入れ始めているのが電池のリサイクル。

日産はこれまでに世界で53万台販売。
リーフ1台には96個の電池が使われていますが、1つ1つ劣化の度合いが異なります。
リサイクルする際、状態の良いものはリーフの交換用電池として使用。

そしてやや劣化した電池は意外な場所で使われていました。
案内されたのはJR東日本の常磐線の踏切。
災害時など電力の供給が止まった時の非常用電源として使われています。

これまで鉛の蓄電池を使ってきましたが、短時間での交換が課題でした。
リーフの電池を使うことで10年程度持ち交換の作業を減らせます。
さらに、遠隔でメンテナンスにできるため、点検などにかかるコストを4割削減することができます。
JR東日本の営業地域にある踏切はおよそ7000カ所、その全てをリーフの電池に置き換えることも検討しています。

リサイクルは環境面だけでなく、販売戦略としても重要だと言います。
電池再利用のシステムが構築できればリーフの中古車としての価値も上がりブランド力の向上にも繋がるのです。

菅総理、G7サミットへ
カギは五輪と対中問題

2年ぶりの対面開催となるG7サミット主要7カ国首脳会議。
新型コロナ対策や気候変動問題など、国際的な課題について議論する見通しです。

アメリカのトランプ政権時代に亀裂が深まったG7ですが、今回議論の中心とされるのは台頭する中国への結束です。
これまで中国は台湾への軍事的圧力を強めるなど覇権的な動きを加速。

さらにワクチン外交も積極的に展開し、国際的に存在感を高めています。
こうした動きを牽制するために民主主義陣営が足並みをそろえられるかが鍵となります。
特にアメリカは亀裂の修復とともにワクチンが以降でも巻き返しを図ります。
新たにファイザー社製のワクチン5億回分を購入し、100近くの国々に提供する考えを発表する方針です。
1国のワクチン供与としては過去最大で、ワクチンの世界的な供給に向けて参加国に役割を果たすよう呼びかけると見られます。

一方、観客の上限を今月末までに決めることが決定した東京オリンピックパラリンピック。
国内外で議論が続いていますが菅総理はG7で支持を訴える構えです。

G7サミット日本の課題
中国問題、欧米とどう連携?

課題は三つだと思うんですよね。
1番目は無論、五輪への支持の取り付けということ。
2番目は台湾海峡という安定について明記する事だと思うんです。

今ありました通り、中国への取り組みっての大きな課題になりますよね。

やっぱりヨーロッパの国々は、人間問題というところに力点を置くんだろうと思います。
日本ももちろん人権問題は言うんですけれども、その先に通商、貿易における不公正な行為を是正してほしいということを一緒に中国にプレッシャーをかけたいのは本音だと思うんです。

ただし、ドイツやイタリアはあまり乗り気じゃないという風に言われてます。
貿易関係、経済関係、非常に深いからです。
イタリアに至っては中国のシルクロード構想、一帯一路構想のメンバー国でもありますからね。

バイデン大統領の統一戦線というのがキーワードなんですよね。
まさに民主主義国が実現できるかどうか、菅さんもバイデン大統領にうまくを懐に飛び込むことをやってみる必要があると思います。

アメリカ高速鉄道計画がピンチ
膨らむコスト、大統領が頼みに

アメリカのバイデン大統領が実現を目指す2兆ドル日本円で220兆円規模の巨大インフラ投資についてです。
現在、与野党の協議が続いていますが、予算の1/3近くは道路や橋などの整備やEV電気自動車の普及策など交通の分野とされています。
その中で今回注目するのは日本にも大きく関わる高速鉄道です。

人口54万人カリフォルニア州の中央に位置するフレズノ。
目に飛び込んできたのは建設中の高架橋。
実は全米で唯一建設が進む高速鉄道がここにあります。
現場の取材が特別に許されました。

2008年カリフォルニア州は北サンフランシスコと南のロサンゼルスの2大都市840kmを2時間40分で結ぶ高速鉄道の設置を決定。
2015年当時の安倍総理の直々に訪れました。
シュミレーターを使い日本の新幹線技術をアピール。
しかし今大きな壁に直面。
全線開通の目処が立っていないのです。

予期せぬ事態の一つが膨れ上がるコスト、当初は330億ドル、日本円でおよそ3.6兆円だった建設費用が今では1000億ドル11兆円にも。
2年前州知事は計画は非現実的だとして大幅の変更を発表。
なんと2大都市のサンフランシスコとロサンゼルスには接続させず、内陸の二つの市の間だけで開通を目指すとしたのです。
主に農村地帯を走ることになる高速鉄道で採算が取れるのか疑問視されています。

そんな中で誕生したバイデン政権。
支援することを示唆。
州当局もバイデン政権の支援に期待感をにじませます。

フレズノ市の郊外に広がるくるみ畑。
ここを営むジョン・トスさんも高速鉄道に反対する一人です。

畑を貫くのは高速鉄道のために掘り返された土の道。
3年前に始まった工事は一向に進まないと言います。
畑での移動も制限され、経営にも影響が出始めているといいます。
先月連邦議会に意見書を提出し、高速鉄道計画の中止を訴えています。

市内を走ると目にするのはテントや多くのホームレスの姿。
州の貧困率は25%を超え、州平均の2倍以上になっています。
こうした厳しい現場も。

市の中心部にある食品スーパー。
経営するモーガンさんは高速鉄道に賛成しています。
その理由が駅前周辺の整備計画です。
カリフォルニア州は去年までにおよそ77億円を拠出。
街灯の設置や緑化事業など新たな取り組みが始まりました。

さらに新規の投資も生まれています。
来年オープンする新たなマンションの建設も始まりました。

高速鉄道計画に意欲を見せるバイデン大統領。
フィラデルフィアの列車の前で訴えたのは
「私たちはいま、鉄道が運輸と経済を変える一世一代の機会にある。鉄道への投資はアメリカを軌道に乗せる。」

みずほ銀行、藤原頭取辞任へ

みずほ銀行の藤原頭取が今月中にも辞任し、会長への就任も取りやめることが明らかになりました。
システム障害の経緯や原因を調べている第三者委員会が週明けにも一定の結論をまとめる見通しとなり、経営責任を明確にするため藤原頭取が退くということです。

スー・チー氏、汚職でも訴追

ミャンマーの軍事政権は軟禁されているアウンサンスーチー氏を汚職の容疑で訴追したと10日付の国営新聞を通して明らかにしました。
国営新聞によりますとスーチー氏は元地方交換から現金およそ6570万円や金塊およそ11kgを不正に受け取った疑いがあるということです。
有罪になると最高で禁固15年が課せられる可能性があります。

ソニードローン9月発売

ソニーグループ音響映像制作のプロ向けの業務用ドローンを9月に発売すると発表しました。
高画質の映像が撮れるソニーのミラーレス一眼カメラを搭載できる他、秒速20メートルの強風に耐え、22分間飛行できるということです。
日本での市場推定価格は110万円前後となります。

セコム新型整備ロボット

セコムが人の代わりに巡回警備を行うセキュリティロボットの新型を発表しました。
巡回中に不審な動きを人工知能が検知すると待機している警備員に知らせ警備員が遠隔操作で煙を噴射し威嚇することができます。
またゴミ箱の中に危険物がないかなどの点検作業を自動で行います。
ロボットの導入で警備体制を効率化します。

TSMC熊本に工場検討

半導体受託生産の世界最大手台湾のtsmcが日本で初めてとなる半導体工場を熊本県に建設する検討に入ったと日経電子版が伝えました。
世界的な半導体不足を受けて、日本政府は世界最先端の技術を誇るtsmcの誘致を働きかけていました。
tsmcは今年2月には茨城県つくば市に研究開発拠点を新設することも発表しています。

日本でも忍び寄るインフレ

ワクチン接種の加速とともに世界経済が徐々に回復に向かうなか、懸念されているのが急激なインフレ物価の急上昇です。
日本では企業間での物の取引価格を示す企業物価指数が今日発表され、5月は1年前と比べて4.9%のプラスと12年8ヶ月ぶりの上げ幅となりました。
企業物価が上がれば私たちの身の回りの物やサービスの価格も上がりインフレが進む可能性があります。
インフレが加速しつつあるのがアメリカです。

アメリカ5月消費者物価5.0%上昇

先ほど発表されたアメリカの5月の消費者物価は1年前と比べ5%のプラスと12年9ヶ月ぶりの伸びを記録し市場予想も上回りました
上昇率が最も高かったのはエネルギー価格で、中でもガソリン価格は1年前と比べて56.2%のプラスとなりました。
ただエネルギーと食品を除くコア指数も1年前と比べ3.8%と大きく上昇しています。
特に伸びたのが中古車で29.7%のプラスでした。

アメリカインフレの行方は
失業給付金上乗せ廃止後に注目

滝田さん
12年ぶりということはリーマンショックの前の辺りの物価上昇率ですから、その意味ではちょっと警戒する必要があるという議論にはなってくると思うんですね。
ただ整理をしてみたいと思うんです。

本格的な物価の上昇というのは何なのかということですけど、二つ要素はある。

一つは原材料価格の上昇というようなことですね。
今ニューヨーク市場でもWTI原油相場は70ドルまでまた上昇してます。

もう一つは人手不足による賃金の上昇なんですよね。
ここについてはまだはっきりとそうなるかどうか見えていないということだと思います。
アメリカは今、失業保険、失業した時にもらえる失業給付金に上乗せしてるんですよね。
その失業給付金の上乗せというのを9月に連邦のレベルで辞めるんですけれども、州の中では例えばテキサスとかフロリダといったような州は今月もやめちゃうという方向になってます。

そうすると失業給付金の上乗せもらえなくなると働かなきゃいけないということで労働市場に戻ってくるということで、人手不足がやや緩和されるんじゃないかという見方があります。
この辺のところは物価を抑える要因になるという風に見られてます。

ECB大規模緩和は継続
インフレは年後半に一段と上昇

ECBヨーロッパ中央銀行は先ほど理事会を開いて、大規模な金融緩和政策の維持を決定しました。
物価上昇の見通しについてラガルド総裁はインフレは今年の後半に一段と上昇するが、エネルギー価格の上昇など一時的な要因がなくなれば低下すると見ているとしてヨーロッパでも高まっているインフレ懸念を牽制しました。

レモン系酒類第2弾
コカ・コーラの狙いは

日本コカコーラは今日、新たなアルコールブランド、ノメルズハードレモネードを発表しました。
レモネードに炭酸を加えスピリッツで割ったアルコール飲料です。
定番の甘酸っぱいレモネード味と、酸味が強いタイプ、ほろ苦いタイプの3種類がラインナップされています。

レモン型のアルコール飲料はさっぱりしていて食事に合うなどの理由で人気に。
各社様々な商品を出し、市場が伸びています。
日本コカコーラでは3年前に販売を開始した檸檬堂が人気となっていますが、同じレモン系アルコール飲料も投入した狙いとは。

「檸檬堂は普段からお酒を飲む3~40代の方々に向けて作られたものになっております。今回ノメルズに関しましては2~30代の若者層に向けた、飲みやすい設計になっております。」

まん延防止解除と接種率
自治体トップ手腕問われる

滝田さん
重症化リスクが高い高齢者への接種を進めていく必要がある。
進んでいるところが濃い青、遅れている所は薄いが水色なんですけど、群馬・石川・熊本は比較的摂取が進んでる。

緊急事態宣言を発出してるとか道府県はどうなのかというと、全国平均を下回っている。
これはもう接種を急がなきゃいけない、やっぱりリーダーシップが問われてると思います。