WBS 2021/8/24(火)

今夜開幕、都内では渋滞も

開会式が行われる国立競技場の前では。
航空自衛隊のアクロバット飛行チームブルーインパルスがパラリンピックのシンボルマークに使われている赤青緑のカラースモークで都心の空に線を引きました。
一方会場周辺など都内各所では大規模な交通規制が引かれました。
また首都高速道路も今日から再び日中は料金が1000円上乗せされます。
そして迎えた夜8時、57年ぶり2度目となる東京パラリンピックが幕を開けました。

分かれるスポンサーの判断

パラリンピックの開幕に合わせて臨海部でスタートしたオリンピックやパラリンピックの競技の体験ができるイベント。
人はまばらながらも親子連れが訪れていました。
実はこのイベントオリンピックでは開催が見送られましたが、共生社会をつくるというパラリンピックの理念を子供たちに学んでほしいと開催を決めました。

感染対策のため、来場は都内在住者に限り、一度に入れるのは1000人までとしましたが、周辺のエリアを見渡すと閉鎖されたエリアも。
感染状況を鑑みて出店を断念したスポンサーブースがある一方、出店を決断したのがNECです。

NECは車いすテニスのツアーに協賛したことをきっかけに30年間車いすテニスの支援を続けていて、体験ブースを設置。
選手などが本人確認に使う際の顔認証システムを担うなど大会を支えています。

Google開会式を支える技術

こうした中、IT大手のGoogleは技術の力で障害者を支援する取り組みを始めています。
開会式のおよそ2週間前、陸上競技場にいたのはGoogleの社員です。

トラックに黄色い線を引いています。
その後、一人の男性が黄色い線に沿って走り出しました。
実はこの男性普段は伴奏者と一緒に走る全盲のランナーです。

コーナーもコースから外れる一人で走ります。
一体なぜこれができるのでしょうか。
Googleが使ったのは画像認識技術です。

男性の腰をよく見るとスマートフォンが。

このスマホのカメラで瞬時に画像を解析しテープの位置を認識します。
走る位置がテープからずれると音が大きくなります。
男性は両耳にイヤホンを装着。
右にずれると右耳から。
どれほどずれているかは音の強弱で表現。
これにより視覚障害者でも伴奏なしで走ることができるのです。

9歳の頃に先天性緑内障で失明し全盲となった御園政光さん。
Googleが去年始めたこのプロジェクトに参加し、5月には伴奏者なしで10km走り切ることに成功しました。

実はGoogleのこの技術、今回の開会式の演出でも使われました。
Googleは今後、画像認識の精度をさらに高め、このプロジェクトを広めていきたい考えです。

緊急事態21都道府県に拡大へ
全国適用求める声も

何らかの措置をとる自治体は33都道府県まで増えます。
しかし都道府県ごとの追加は効果に限界があるとして知事からは全国一斉の発言も。
今日も愛知や滋賀を始め、新たに宣言の対象となる県などで過去最多の感染者の確認が相次ぎました。
そして収束の鍵を握るワクチンでも大きな動きが。

アメリカファイザー製正式承認
ワクチン強にでも接種を

これまで緊急の形で使用を認めてきたファイザー製ワクチンの正式承認。
これを受け学校の教職員に対しニューヨーク市が9月下旬までに1回は接種するよう求めるなど、義務化の動きが広がっています。
アメリカでは免疫が落ちてきた人のための3回目の接種も9月に始めるとしている他、生後6ヶ月からの接種に向け治験もすでに始まっています。
ワクチンでコロナを封じ込めをとする戦いは長期化の様相を呈しています。

鼻から接種するワクチン
そのメリットは

そうした先を見据えて日本でも次世代ワクチンの開発が行われています。
三重大学がバイオベンチャーと共同で開発を進めているのが、注射のワクチンではなくて鼻からスプレーで投与するというタイプのワクチンです。
デルタ株やラムダ株などに対応するワクチンの開発を進めています。

しかし鼻から投与とはどういうことなのでしょうか。
実はインフルエンザ向けのワクチンでは既に日本でも使われています。

形は注射器のようですが、先端に針がありません。
ワクチンを鼻の中で噴射し鼻の粘膜に吹き付けるのです。

また医師は新型コロナでも鼻から投与する経鼻ワクチンが開発されれば接種の拡大につながると期待します。
経鼻ワクチンのメリットは痛みがないだけではありません。

痛くないコロナワクチン
実現に向けて各国で開発

注射による接種では直接体に入ったワクチンに反応して抗体が大量に作られます。
ところが鼻から投与する経鼻ワクチンの場合、まず感染しやすい鼻や喉で抗体が作られウイルスの侵入を防ぐ他、増殖を抑えるため、他の人に感染させることも防ぎます。

ハムスターにワクチンを投与すると、人と同じように鼻の中で増殖するウィルスを抑制する効果も確認できました。
メリットの多い経鼻ワクチン。
世界でも開発競争が激しくなっています。

イギリスのオックスフォード大学は今年3月人間に投与する1回目の治験を開始。
新型コロナワクチンを開発したインドのバーラトバイオテックも治験を始めています。
三重大学などでも今後1年以内に治験に入り、2年以内の実用化を目指しています。
実用化できれば医療従事者の負担を減らす可能性も広がると言います。

若年層へのコロナ感染拡大
課題はワクチン、行動変容

滝田さん
足元ではコロナの感染拡大とワクチンとの競争ですから非常に重要なニュースだと思います。
直近のコロナの拡大で気になるのは若年層なんですよね。
東京都でここ一週間に20歳代の方が1万人近くコロナに感染してる。
このペースでいくと1年間で52万人ではないですか。
東京都の20代の人口174万人ですから今のペースっていうのは1年間にすると3割の20歳代が感染してしまうという事態なんです。
二十歳代の人にまずワクチンの接種を急ぐってことですね。
例えば渋谷区の場合だと1回接種した人が38%なんですけど、2回目接種率はまだ12%ですから、急ぐ必要がある。

それともう一つはやっぱりワクチンと並んでリスクのある行動ってのを具体的に示しておく必要があると思うんですよね。
岐阜県は発表した感染した方の具体的な行動例ですね。
20代男性発症前に県内の実家へ帰省した、そして友人5人と居酒屋をはしごした。
また20代の男性発症前に夫婦で結婚式参加した、その後2次会から4次会まで参加していたそうです。
さらに20代の女性自宅や河川敷で友人とバーベキューをした、福数日に友人と飲み歩いていたということですね。

誰が感染してもおかしくないという状況ですから、ハイリスクの行動について具体的にやっぱり行政の方が示す必要があると思います。

3密回避レジャー、次の一手
ゴルフ初心者専門店

今月決算発表があった3社の営業利益です。
何もコロナ禍で大きく業績を伸ばしました。
三密を開始できるレジャー関連が好調でした。

スポーツ用品店のアルペンが明後日オープンする新たなゴルフ専門店
初心者向けのゴルフショップということなんです。
日本一ゴルフをはじめ安いゴルフショップがコンセプトのこの店、試し打ちできるスペースではクラブの握り方や構えなど教えてくれます。

カメラやセンサーでスイングのスピードや飛距離などを計測して、床に表示。
専門のスタッフが自分に合ったクラブをすすめてくれます。

さらに、こちらの店舗にはこれからゴルフを始めるという方に向けた相談カウンターが設けられています。
他にも初心者向けのゴルフデビューツアーを予定している他、2000円から借りることができるレンタルクラブも。

コロナ禍での運動不足の解消の目的などで若い世代を中心にゴルフを始める人が増加。
アルペンの今年6月までの1年間の決算では、ゴルフ関連の売り上げは18%伸びています。

オフィスにアウトドア製品

三密を回避できるレジャーで業績を伸ばす企業はこちらにも。
キャンプなどのアウトドア製品を展開するスノーピーク
今売れているのは日よけになるターフと呼ばれるものとテントのセットです。
初心者向けで価格は55000円ほど。
この店では1日に8セット売れることもあると言います。
コロナ禍の今、密を回避できるレジャーとしてキャンプを新たに始める人が増えています。

スノーピークの今年6月までの上半期の売り上げはコロナ前の2年前と比べて70%も増加。
株価も右肩上で時価総額は今月中旬に一時1000億円を突破しました。

そして新たな傾向も。
椅子や食卓で使うタンブラーなどキャンプだけでなく家でも使うという客が増えていると言います。

スノーピーク 山井社長
「在宅中にテーブル・椅子を我々のスノーピーク製品で代用して、今ワークスペースを確保する人やベランダでバーベキューなどキャンプ気分を家でも味わう方っていうのが非常に増えました。」

さらにsnowpeakはコロナ後を見据えた取り組みも進めています。
企業のオフィスにテントやテーブル椅子といったアウトドア製品を導入するビジネスです。
アウトドアで感じられる心地よい空間を再現し、社員のモチベーション向上や働き方改革につなげる狙いがあります。

「人が生活する一週間7日あったら5日間は都市生活をしている。都市生活にこそ自然志向のライフスタイル、ライフバリューを提供するべきなんじゃないか事業規模っての拡大していけると見込んでおります。」

車の保険料引き下げ、意外な理由も

事故や故障など自動車に関連した損害を補償する自動車保険。
保険料は平均で年間7万円あまり。
これが来年から2%前後、1500円ほど下がる見通しです。
長期間上昇傾向が続いていましたが2018年に減少に転じ、今回さらに下がります。

ここに来て引き下げが続く自動車の保険料、一体何故なのでしょうか。

スバルの生産開発の拠点。
ここに保険料引き下げのヒントがあるといいます。
それは、車が障害物を検知して自動で衝突を回避するシステムです。
搭載されているのは運転を支援するシステムアイサイト。
スバルはこうした安全に関わる技術の開発を30年以上続けています。

2010年アイサイトに衝突を回避する機能を追加。
他のスバル車と比べ追突や歩行者との事故が6割減ったといいます。

さらにスバルは車内の安全性を高めるなど2030年までに死亡事故ゼロを目指しています。
安全技術を巡っては各社がしのぎを削っていて、衝突の被害を軽減するブレーキを搭載する車両は3割まで拡大しました。

技術の進歩もあり、交通事故の死者数は去年統計開始以来最少を記録。
保険金の支払いが減ったことも料金の引き下げに繋がりました。

さらにもう一つ、新型コロナも関係しているといいます。
車に乗る距離や頻度が全体的に減っているといいます。
感染が収束すれば車の利用は前の状態に戻る可能性もあります。
それでも長期的に保険料の下げ基調は続くと見ています。
保険収入の半分を占めるという自動車保険、保険会社は困らないのでしょうか。

損保ジャパン 岡崎さん
「自動車保険には頼らず、新たに社会環境の変化と共に現れてくる新しいニーズに応えるべく新しい商品を提供していく。」

例えば損保ジャパンが年内にも始めるドライブレコーダーの新サービス。
緊急時の安全サポートの他にも特徴があります。
走行データを分析し運転技術を見える化する機能です。
こうしたデータの蓄積が自動運転など将来のビジネスに活かせると考えています。

新型コロナ関連ニュース

今日新たに感染が確認された人は21569人でした。
重症者は1935人と12日連続となっています。

コロナ後の成長を見据え船出します。
居酒屋チェーンを運営するカバハウスホールディングスなど4社は品川駅港南口のビルの地下に横丁風のフードコートを26日に開業します。
コロナの影響で物件に空きが出たため、およそ5000万円かけて和食や中華など、9つの店舗が入るフードコートに改装しました。

旅行需要の回復が遅れています。
全日本空輸は10月31日から来年3月26日までの冬ダイヤで羽田広島間や羽田富山間など国内12路線の便数を減らすと発表しました。
一部の便については傘下の格安航空会社に移管します。

アフガン情勢でG7首脳会議
国外退避や撤退延期が焦点

G7主要7カ国は先ほどからアフガニスタン情勢をめぐる緊急の首脳会議を始めたと見られます。
自国民などの国外退避問題や今月末に迫る駐留アメリカ軍の撤退期限の延長などが議論される見通しです。
関係各国は首都カブールの空港から自国民や現地の協力者などの退避を進めていますが、出国を求める人は多く、アメリカ軍の撤退期限である今月31日までに全員が退避できるかどうか懸念が強まっています。
事態を受け、議長国イギリスのジョンソン首相は会議でアメリカに対し、軍の撤退期限の延長を要請する見通しです。
イスラム主義組織タリバンを政権として国際的に承認するかどうかも焦点となります。
これに対し、タリバンは撤退期限の遵守を求めた上で、その後の国の再建に関わるよう求めました。

こうした中、アメリカのワシントンポストは24日、CIA中央情報局のバーンズ長官がカブールでタリバンの幹部と23日に秘密裏に会談したと報じました。
内容は明らかになっていませんが撤退期限の延長が議題になった可能性があります。

セブン、全国で宅配開始へ

コンビニ大手のセブンイレブンジャパンが国内のほぼ全ての店舗で宅配サービスを始めることがわかりました。
東京などの一部地域では既に実施されていて、2025年度をめどに全国へと拡大します。
専用サイトなどで注文は受け付け、業者が最短30分で商品を届けるというもので、新型コロナで高まる宅配事業を収益の拡大につなげます。

スーパー売上高4.6%増

チェーンストア協会が発表した7月の全国スーパー売上高は1年前と比べてプラス4.6%で5カ月連続で前の年を上回りました。
巣ごもり需要が続いた他、猛暑と東京オリンピックが追い風となって、ビールやチューハイ、アイスクリームなどが好調でした。

ビットコイン用ATM200台
中南米エルサルバドル

世界で初めて暗号資産のビットコインを法定通貨として承認し、来月7日に施行する中南米のエルサルバドルがビットコイン用のATMを設置すると発表しました。
エルサルバドルのブケレ大統領はツイッターでビットコインを米ドルに交換し、24時間手数料なしで引き出せるATMを200台設置すると述べました。
ビットコインを法定通貨とすることで国外に住む移民から本国への送金などにかかる年間4億ドルの手数料を削減を狙います。

ビットコインは昨日、およそ3ヶ月ぶりに一時5万ドルまで回復しました。
アフガニスタン問題で地政学的リスクが高まるなか、ビットコインに資金が流入した事やアメリカのオンライン決済サービスのPayPalがイギリスで暗号資産の売買を可能にするサービスを今週にも始めると発表したことなどが上昇につながりました。

今週、株式市場が注目
アメリカ金融政策で重要発言?

滝田さん

量的緩和とはFRB政策金利を0%まで下がったんですけれども、そのあとに何をするかというと、じゃぶじゃぶにお金を供給する事ですよね。
それが量的緩和なんですよね。
景気が今よくなってますから、その量的緩和の蛇口を少し閉めようとしてるわけで、ただ元々の金利ゼロのままですから、その意味では金融緩和は続くわけです。

今後見る上でポイントになるのは景気の実勢から見た金利、理論金利と言っていいんですけど、どの位の水準にあるか。
テイラールールって言うんですけれども、ジョンテイラーという経済学者が作った物差しですね。
それとくらべて、現実の金利はどうかと判断をする必要があると思います。

赤が理論金利、そして青が実際の政策金利ですね。
理論金利が現在4%ぐらいになるはずだと。
政策金利0%ですから、乖離している状況なんですよね。

その意味では株式の市場にとってはいい湯加減ということになりまして、量的緩和をやめたとしても金利の方はその次に動くわけですから、マーケットはその順番考えて動いてるわけですよね。
株式の市場はもうちょっとゼロが続くんだったらまぁいいかということなんじゃないでしょうか。

緊急G7サミット開催へ
日本に求められるものは?

滝田さん

今回のG7で難民の方どうやって救援するかって言うことが重要な課題になってるわけですよね。
呼び掛けたのはイギリスジョンソン首相なんですけれども、アメリカと一緒にアフガンに介入してますから、その意味でもこの問題を真剣に受け止めてるんだということだと思います。
ドイツの場合もそうなんです。
NATO北大西洋条約機構軍の一環としてアフガンに関与してますから、その意味でもドイツも関係が非常にあるということだと思うんですね。
日本の場合は、大量の難民を日本が受け入れるってことは今までの経緯からして、僕は残念ながら難しいと思うんですが、ただひとつ言えることはアフガンでいろんな形で日本に協力してくれた方がいるわけじゃないですか。
その人たちの身の安全を確保するということは重要な仕事になってくると思います。
そこをやるべきだと思いますし、やらないといけないんでしょうね。