WBS 2020/10/21(水)

ニトリが買収検討
ホームセンター島忠の強さとは

昨日速報でお伝えしました家具日用品大手のニトリホールディングスによるホームセンター島忠の買収検討についてのニュースです。
島忠をめぐってはホームセンター大手のDCMホールディングスが完全子会社化に向けてTOB株式公開買い付けを進めていて、両社による島忠争奪戦に発展する可能性もあります。
そこに物言う株主として知られるあの投資家も絡みまして早くも混迷の様相を呈してきました。

にわかに注目を集める存在となったホームセンターの島忠。
首都圏近郊を中心に60店舗を展開。
売上高1460億円を誇る業界内のホームセンターです。

新型コロナによる巣ごもり需要で業績好調ながらもライバルであるDCMホールディングスの買収提案を受け入れ、業界ナンバーワンを目指すことにしました。
そこに突如明らかになった、今回のニトリによる買収の検討。
7月WBSが行ったインタビューでニトリの似鳥会長は今後の買収計画についてこう話していました。

Q:企業の買収などのチャンスとしてはどう見てますか?
「それは大いにありますよね。」

やっぱりこういう状況で難しいとか、やっていけなくなるとか、そういうとこも多数出るかわかんないですけど、チャンスがあればM&Aとか」

Q:今どこが興味のある業界は?

「衣食住全部興味ありますから、どことは言えない」

全部に興味があると煙に巻いたニトリ会長ですが、今回島忠に目をつけた理由の一つとされているのが家具。
元々家具店として創業した島忠。
国内外の家具メーカーの商品およそ7000点を取り揃えていて、同じく家具を扱うニトリとは共通点があるのです。
専門家もこう指摘します。

「ニトリはほぼ全ての商品が自社開発したPB商品。島忠はそうじゃなくてほとんどの商品が取引先から仕入れたナショナルブランドの商品。違う顧客層とか違う用途向けに商品やサービスを提供できるので住み分けができる。」

ニトリvsDCM
島忠争奪戦の行方は

その島忠を巡っては新たな動きも。
旧村上ファンドの村上世彰氏が関与する投資会社が島忠の株を8.4%を保有したことが今日明らかになりました。
村上氏側はDCMによるTOBをめぐり、物言う株主として島忠の社長に対して意見書を提出。
島忠の純資産が1815億円あるのに対し、DCMによる買収額が最大で1600億円。
この買収額は割安だと指摘したのです。

今日WBSの取材に対し村上氏は
「島忠の取締役会は会社全体を売却する「FORSALE」と決めた以上、ベストプライスを追求するのがコーポレートガバナンス上の責務である。」

株主のためにもっと高く売れる先を検討すべきだと主張。
さらにニトリの買収検討については

「歓迎すべき事だ。同業の買収が進み、結果として市場に大きくて強い会社が残っていくことが望ましいと思っている。」

こちらは島忠の現在の株主構成。
村上氏が関与する投資会社は3番目に大きな株主となっていて、今回の買収合戦に影響を与える可能性があります。
今後はDCMによるTOBの期限である来月16日までに、ニトリが島忠に対してDCMより上回る内容の買収提案を行うかが焦点となります。

ニトリ関係者
「買付価格は当然DCMの価格を上回るものを出す。余力は十分ある。今月末から来月上旬には決定する見込みだ。」

一方DCMは、
「島忠とは互いにベストパートナーになると思っている。当社としてはTOBを期限の11月16日まで粛々と進めていくだけだ。」

果たして島忠争奪戦の行方はどうなるのでしょうか。

ANA過去最大の最終赤字へ
大型機の保有数も半減に

2020年3月期には276億円の黒字を確保していたANAですが、新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の蒸発を受けて、2021年3月期に過去最大となる5000億円前後の最終赤字に転落します。
ANAは航空需要が当面回復しないという前提で、事業計画を練り直す必要があると判断し、機体の保有数を半分に減らす方針を固めました。
現在ANAは主に国際線で使う大型機をおよそ60機保有していますが、今後30機程度まで削減する方針です。
航空機は使用していなくても定期的な整備などの維持費がかかるため、保有する機体の数を半減させることでコスト圧縮を急ぐ狙いです。

また、すでに成田・羽田・中部・関西の各空港の国際線については大多数を減便していますが、需要の回復時には羽田の発着便から優先的に再開していく方針を固めました。
コロナの影響が長期化すると見てANAは従業員に対して冬のボーナスを全額カットし、年収ベースで3割削減する案を提示していて、メインパンクなどからはおよそ4000億円の資金を調達することを検討しています。

アメリカ司法省がGoogle提訴
今や生活に欠かせない?

メールソフトのGmailに地図、そしてYouTube、すべてGoogleが提供しているものです。
我々の生活に欠かせない存在になりつつあるGoogle。
1998年にアメリカで創業。
今では従業員12万人売上は16兆円に登るIT業界の巨人です。
なかでも中核事業である検索サービスはアメリカでのシェアがおよそ9割。
Googleは多くのサービスを無料で提供する一方、広告を表示させて収入を得ています。
去年の広告収入はおよそ14兆円と破格です。

そして今回問題となったのが、実はGoogleはスマホのメーカーに基本ソフトアンドロイドを無料で提供する代わりに自社の検索サービスなどをあらかじめインストールしておくことを求めています。

さらにAppleのiPhoneなんですが、既定のブラウザを使って検索をしてみますとGoogleで検索されます。
Google1年間最大1兆3000億円をアップルに支払い、iPhoneでもGoogleの検索サービスを標準装備させているのです。

争点は?今後の展開は?

アメリカの司法省はこうした点が公平な競争を阻害しているとし、独占禁止法違反で提訴したのです。

米司法省ローゼン副長官
「Googleの独占的な地位は競争を阻害し、アメリカでは次のGoogleが生まれにくくなっている。」

これに対してGoogleウオーカー上級副社長は
「消費者は強制されたり代わりのものがないから我々のサービスを使ったりしているわけではない。」

IT業界に詳しい専門家の立教大学ビジネススクール田中道昭教授は

「スマホはGoogleの検索エンジンが初期設定されてるということで消費者の選択肢が狭まめてるということも言えるでしょうし、その一方で利便性があまり高くなければ消費者は別の会社を選び直す権利を持ってるわけですから、そこはGoogleが抗弁して来てる中核だと思います。裁判自体をやっぱり数年単位かかるでしょうね。」

これまでもたびたび議論されてきた巨大IT企業GAFAの問題。
7月にはGAFAのトップが議会に召集。
GoogleのピチャイCEOは
「われわれの成功は保証されていないし、新たな競争相手が日々現れている。」

アメリカ議会はGAFAの事業を分割を含めた規制の強化を提言。
しかしGAFAはアメリカ経済最大の牽引役でもあり、米中がテクノロジー分野で繰り広げる覇権争いでも重要な役割を果たしています。

田中教授
「米中新冷戦であり、その安全保障の戦いとテクノロジー覇権の戦いでも表裏一体になってる中で、GAFAというテクノロジー企業はアメリカのテクノロジー覇権を担う4社です。その4社の力をそいで、中国企業の方が覇権を取ってくるような動きは取りづらい。最終的にはなかなか分割しにくい情勢になってるんじゃないかと思いますね。」

感染再拡大にどう備える?
増築など10億円、畑でPCR検査も

埼玉県にあるふじみの救急クリニック。
新型コロナの感染拡大初期の頃から積極的に患者を受け入れてきました。
4月から屋外にコロナ患者用のプレハブ病床を19床設置。
1億円近い借金をしての決断だったといいます。
さらに今後の感染拡大に向けて建物を増築。
来月中旬に完成予定です。
隣接する畑はドライブスルー方式のPCR検査場に整備します。

新しい建物でもコロナ重症患者を優先的に収容することにしています。
増築や新たな機器の導入などにかかる費用は10億円。
病床数は以前の2倍の38床に増やし、国からの補助金は増えるといいますが経営面では厳しい状況が続きます。

対応する職員を6倍超に

また一時はパンク状態のところも多かった保健所でも対応が進んでいます。
江戸川区では主に感染症対策係のうち13人が新型コロナの業務にあたっていましたが先月から体制を変更。
他の部署の職員がコロナの業務を兼務する形を取り、84人で対応することにしました。
患者の健康観察を担当するチームや電話相談のチームなど18のチームに分けて担当する業務を明確にしました。

町のクリニックは手作りで対策

新型コロナ患者の増加が予想される冬に向けて、町の小規模なクリニックも準備を進めています。
開業して20年になるこちらのクリニック。
医師は院長のみですがコロナ患者の受け入れを3月から開始。
こうした小規模なクリニックについてもコロナ患者の受け入れ先として増やしたい考えで、今月からは保健所を通さず直接発熱患者等を受け入れられるよう制度も変更しました。

その先駆けとも言えるこちらのクリニックでは、院内は狭いため空いていた駐車場を借りて車に乗ったままでできるPCR検査場を作りました。
ここにも効率よく検査するための策が。
インターネットで購入したスーパーのカートとパラソルで手作りした検査カート。
何度も行き来しないで済むようにインフルエンザや溶連菌などを他の検査キットも積んでいます。
車で来られない患者は外にあるテントで待機します。

企業側も現場を支える商品を生み出しています。
マスクなどを製造しているこちらの企業「前田工業株式会社」。
体調の悪い人の退避場所や検査場所の確保を目的として不織布テントを開発しました。
2畳ほどを確保できる不織布は1枚13000円ほど。
使い捨てですが建物の改修などを行わず低コストで別空間を作り出すことができます。

コロナ前の水準に回復はいつ?

今日はWBSのスタジオ初登場となります大和総研シニアエコノミストの神田慶司さんにお越しいただきました。
神田さんのご専門は日本経済、そして財政・社会保障ということですが、内閣府に2年ほど出向していらっしゃったんですね。
その時には月例経済報告を作成。
「個人消費を担当しましてちょうど2008年の8月から、ちょうど消費が動いた時を見ておりました。」

神田さん
青い線が大和総研の見通し、赤い線が私が書いたところですね。
4-6月期、コロナの影響で、およそ40兆円、実質GDPが年率換算で落ちましたけれども、9月期はそれに対し15兆円程度回復すると思います。
ただその後は10-12月期は非常に緩やかな回復に止まっていて、水準で見ればV字というよりもカタカナのレのような。

通常の景気後退からの回復とは違って、どうしてもスタジアムとか店舗に人を入れられない。
入れられないということは売上をコロナ前のようにあげられないということなんですね。
そういう中で売上を戻すとすれば、これはのビジネスモデルを変えるとか、あるいはサービスとかいろんなものを変えていく必要がある。
業態を変えるということが必要なんですけれども、我々は1年2年ではなかなか日本全体で難しいだろうかと。

新型コロナ関連ニュース

アメリカで年内にもワクチンが実用化されるかもしれません。
バイオ医薬品企業モデルナのバンセルCEOは開発中の新型コロナワクチンについて、12月に当局の緊急使用許可を得られる可能性があるとの見通しを明らかにしました。
11月にも得られる臨床試験の暫定結果で有効性が示されれば緊急使用許可を申請します。
この他、製薬大手ファイザーも11月後半以降にワクチンの緊急使用を申請する方針です。

一方イギリスでは新型コロナに意図的に感染させる臨床試験が始まります。
この治験は被験者にワクチンの候補を投与し、その後意図的にウイルスに感染させて有効性を調べるものです。
開発を加速させるのが狙いで来年1月に試験を開始し、5月までに結果が得られる見通しです。
イギリス政府はこのヒトチャレンジ臨床試験におよそ46億円の資金を拠出します。
最大90人の枠に166か国からおよそ4万人が応募したということです。

新型コロナの被害で人種による差が現れました。
アメリカのCDC疾病対策センターによりますと1月下旬から10月初めの死者数が統計などから予想される死者数をおよそ299000人上回ったことがわかりました。
このうち2/3が新型コロナによるものでした。

人種別に死者が予測を上回った割合をみると白人でおよそ12%だったのに対し、ヒスパニックが54%、黒人が33%でした。
日常的に受けられる医療サービスや就業形態の違いなどが背景となっている可能性があります。

6ヶ月ぶりに1万人を上回りました。
9月の訪日外国人数は1年前と比べて99.4%減の13700人でした。
前年割れは12カ月連続ですが、ビジネス客の往来が一部再開された他、在留資格を持つ外国人の入国制限が緩和されたことなどから人数は8月から5000円に増え、6ヶ月ぶりに1万人を上回りました。

東京オリンピックパラリンピックについて、85%の人が来年の開催は難しいと思うと答えた調査結果などのニュースが入ってきています。

菅総理初外遊から帰国

菅総理大臣は就任後初めての外遊となるベトナムとインドネシアでの四日間の日程を終え、先ほど羽田空港に到着しました。
この外遊で菅総理はベトナムのフック首相やインドネシアのジョコ大統領らと会談し、中国の台頭を念頭においた自由で開かれたインド太平洋構想や新型コロナウイルスへの対応をめぐる連携を確認しました。
菅総理は来週26日に召集される臨時国会に向け野党が攻勢を強めている日本学術会議をめぐる問題への対応などについて準備を進めます。

17路線で終電繰り上げ

JR東日本は来年春から山手線や東海道線など首都圏の17の路線で最終列車の発車時刻を早めると明らかにしました。
繰り上げ幅が最大となったのは高崎線と青梅線のおよそ37分です。
また始発列車の時刻も5つの路線で繰り下げ最大およそ17分遅くなります。
新幹線や特急は対象外で、実施日や詳細な時刻は12月に改めて発表するとしています。

妊娠届17.1%減

今年7月までに全国の自治体が受理した妊娠届は1年前と比べて5.1%減った513850件でした。
緊急事態宣言が発令されていた5月は17.1%の減少でした。
集計した厚生労働省は新型コロナウイルス拡大の影響を受け、妊娠届の提出や妊娠自体を控える動きが出ている可能性があるとしています。

妊娠届け出数が急減
背景に健康と生活の不安

滝田さん

4月に緊急事態宣言が出て、5月にドーンと17%前年比で落ちました。
6月、7月と落ち込んだ水準でいるという事が一つ気がかりなんですよね。
コロナで巣ごもりで自宅にいる時間増えたらはずなんですけれども、やっぱり健康不安そして生活の先に不安があるんでしょうね。
都市部だけじゃなくて地方でも減ってるということはちょっと気がかりです。
妊娠は出産の先行指標。
ということでこの調子で減った状況が続くと来年の出生数というのは今年に比べて5%減る可能性が出てくるとのことです。
妊婦さんに対する手厚い補助ももちろん重要なんですが、もう一つやっぱりコロナに対する対応と並んで、生活をどうやって立て直していくのかっていうことも大変重要な課題になってくると思います。

アメリカ版はやぶさが着陸

アメリカのNASA航空宇宙局は20日アメリカ版はやぶさと言われる探査機オシリス・レックスを地球や火星の軌道近くを回る小惑星ベンヌへ着陸させました。
1週間から10日ほどかけて岩石などを採取し、2023年9月に帰還する予定です。
成功すれば12月に期間予定の日本のはやぶさ2が持ち帰る岩石と交換し、日米で調査することになっています。

グーグルなど日本向け市場向けPR

大塚商会などコンピューターの販売店企業で作る団体が今日、アメリカのIT大手とのオンライン情報交換会を開きました。
参加したMicrosoftとGoogleはデジタル化が課題となっている日本の中小企業向けの新たなクラウドサービスなどをPRしました。

スーパー売上高4.6%減

日本チェーンストア協会が発表した9月の全国スーパー売上高は1兆150億円となり、1年前と比べて4.6%減少しました。
新型コロナウイルスの流行を受けた外出自粛で衣料品は23.5%のマイナス、家電製品など住居関連品は13.4%の大幅なマイナスでした。
自宅で調理する傾向が続いたため、生鮮食品などを食料品は1%のプラスとなりました。

コロナ禍の消費プチぜいたく
経済回復にはマイナスも

神田さん
外に出なくなった、後は在宅勤務が広がったということで、そこで需要がシフトしたということに加えて、特別定額給付金なんかもあって比較的ゆとりがある人が多かったということも挙げられます。

ここに挙げたのはごくわずかな品目ですけれども、特に挙げられたのがコーヒーとかパンとか惣菜、冷凍食品、あとは肉とか野菜とか調味料とかもそういったところからのプチ贅沢志向強まったと思います。
おそらく哺乳量が増えてるわけですけれども、なかなか付加価値がつきにくい、商品の差別化しにくいというところで節約して2極化した可能性もあると思いますね。

経済全体で見ると決していいことではない。
やっぱり外食をしないということは雇用が失われる、付加価値が減るということなので、貯蓄が増えるとか今いいことは起きてるんですけれども、経済が回らなければやっぱり収入が減ってしまって皆さんの生活が結果的に悪くなる可能性があると思います。
付加価値をどう作っていくか、これからの課題。

巣ごもり需要一服でおいい風も一段落?

新型コロナウイルスの感染拡大以降Netflixは世界での契約者数を大きく伸ばしました。

1月から3月期に1500万人以上、4月から6月期には1000万人以上とコロナ前の倍近いペースで増加してきましたが、7月から9月期は220万人の増加に止まり、急激にペースが鈍りました。
これを受けて先ほど始まった21日の取引でNetflix株は4.6%安と大きく下げています。

マーケット情報

現在のニューヨーク株式相場です。
ダウは50ドル近くの上昇、ナスダックは42ポイントほど上昇しています。
人民元がドルに対して2年3カ月ぶりの高値を付けるなどドル安が進み、ドル円相場も円高ドル安傾向です。
現在1ドル104円台です。
アメリカの長期金利の指標である10年債利回りは現在0.805パーセントおよそ4ヶ月ぶりに0.8%台をつけています。

アメリカ債券市場に見る大統領選
民主党勝利=大きな政府に備え

滝田さん

民主党が仮に政権を取るとなりますと財政支出が増えるわけで、そうすると債券の発行は増えるという格好で債券が売られやすくなる、金利が上がりやすくなる。
そういうことだと思うんです。
それを反映してるっていうか先取りしてるマーケットがあります。
これは債権を売る権利と買う権利が取引されてるんですけど、赤いチャート、売る権利がグンと上がってます。
それはもう端的に言うと、今申し上げたような財政悪化で金利上がるんじゃないかというマーケットが民主党政権に対しての懸念を反映してるんだと思います。

Q:この状況での日本にはどういう風に影響するんでしょう?

金利が上がるとドルが高くなる、円安になるという風に見がちなんですが、金利が上がる背景をみると財政が悪くなるとみるとドル安円高になりやすいだけちょっと怖い。
要警戒ですね。